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犬の生活

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近代日本の犬の生活、または日本に生きた犬達の受難
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犬の生活「受難」

その昔、江戸の町は野良犬であふれて居た。
兎に角辻々にいるのだから大変な数だ。

――伊勢屋稲荷に犬の糞

江戸に有り触れたものとして、上掲の様に揶揄された程である。
野良と言ってもその大半は放し飼いの飼い犬で、今でいう地域猫のようなものであった。
そして、そういう犬は里犬と呼ばれていた。

明治に入り、そんな里犬に転機が訪れる。それも悪い方へ。
「畜犬規則」だ。

名目上は狂犬病対策ということだ

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