医師が医療経営管理学を学ぶ

この記事は九州大学医療管理・経営学専攻22期 Advent Calendar 2022  7日目の記事です。

こんにちは。私は、九州大学医療管理・経営学(MHA)専攻22期の稲石佳子です。2008年より医師として主に福岡市の病院で働いており、途中産休、育休を挟んで、だいたい14年目くらいの内科医です。専門は脳神経内科で、最近は在宅診療に興味をもって仕事をしています。
 
九州大学医療経営・管理学専攻で学び始めて、半年が過ぎたところで、「医師が医療経営・管理学を学ぶ」という視点で今回振り返ってみようと思います。
 
私が、周囲に「九大の医療経営管理学専攻の大学院に入学して勉強することになった」と話すと、ほとんどの人から「将来開業するの??」と言われました。私自身の大学院への進学の動機は、これを学びたいという強いものがあったわけではなく、臨床ばかりで系統的な勉強があまりできていなかったところで、子どもが産まれてれてからは、さらに目の前の仕事をこなすだけの日々を過ごしていたことから、なにか勉強したいと思っていたことでした。開業を見据えた勉強ではなく、医療を取り巻く周囲の環境、特に行政や社会保障などについて興味があり、進学を決めました。開業をすると思われることに、やや違和感を覚えていました。

実際学び初めてみると、医師として14年間も働いてきたのに、知らないことばかり!!と思うことばかりです。特に保険診療のしくみなどは、仕事でいつも関わることなのに、分かっているようで、わかっていないことばかりでした。ずっと病院で仕事をしてきたので、一般企業の話と医療界の対比を聞くのはとても刺激的です。統計学はまだまだわかっていないので、これからも勉強しなければと思っています・・・。

半年間学んだ中で強く残っているものは、いろいろありますが、中でも「医師の心構えが大事」「測れないものは良くならない」「組織とは」ということです。ものごとを考えるときの視野が広くなった気がしています。(詳しくは説明できないので、興味ある方はぜひ大学院へ入学してください!)。

視野が広がったと思う一例として、あいまいな言い方にはなりますが、今までは病院を評価するときに、「良い病院」「悪い病院」という感じで、一面的に捉えてしまうことが多かったのですが、大学院で学ぶ中でいろいろな面があることがわかってきました。経営の面、人材の面、経営者の考え方、組織の成り立ち・・・いろいろな要素があって病院が成り立っていることが、授業を通してわかりました。
最近、家族が入院することがあり、患者の家族として病院と関わることがあったのですが、そのときに、この病院はどのようなことを大事にしている病院なのか、職員に対してどのような教育をしているのか、など気になるようになりました。良い面、悪い面が見えたときも、その裏にはいろいろなことが隠れているんだろうと想像を膨らませることができるようになった気がしています。

患者さんにとって良い医療を提供すること、地域の医療をよくするためには、医療経営、管理がとても大切であり、医師が学ぶ意味はとても大きいと感じています。特にこの大学院では、医師だけではなく、多職種で一緒に学べる、ということの意義が大きいように思います。

私は馬場園先生のゼミに配属してもらい、これから研究をしていくところです。先生は、独立することを薦める、という考えをお持ちで、先生のお話を聞く中で、私自身も、人生の選択肢の一つとして、独立することも考えていきたいと思うようになりました。最初に感じた、「開業するの??」と聞かれたことに対する違和感が、「経営・管理」とは、単語だけでは説明できないような、医療を取り巻くいろいろなことを含んでいる、ということがわかったことで、少し自分の中ですっきりしました(よくわからない文章になっていてすみません・・・)。

という感じで、今は視野が広がった気がしています。
レポートが大変なときもありますが、入学してよかったと思っています!
同期の皆さま、これからもよろしくお願いします。


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