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温泉旅館で働いてみた


静岡県の下田に10日間おてつたびに行ってきた。



おてつたびを知りたい人へ↓


京都や山形の宿も応募したが、落ちた。

3回目で受かったのが、今回の温泉旅館。
決め手は

・前から温泉宿で働いてみたかった
・伊豆が好きだから
・日程がちょうど良かったから

の3つ。

合格のメールが届いた瞬間はワクワクした。やっぱ新しい環境って楽しい。


↓当時の日記


5月15日
 始発の次くらいの電車に乗る。早朝の静かな車内が好き。
 日本一周の時と同じリュック。あの旅を思い出す。下田まで”たった”4時半だ。日本一周で会った人で、海をこよなく愛してる人がいた。俺も今日から海辺で暮らしてみるよ。

伊豆急下田駅に到着すると、宿の人が明るくバスでお迎えに来てくれた。
見た目は反社だが「今日からよろしくね!」と明るく声を掛けてくれた。
バスに乗ると1人若者が乗ってた。彼も東京の大田区から来たみたい。同じく初おてつたび。

バスで10分、宿に到着。

今日からお世話になります

宿に着くと、もう1人合流。今日から男3人で頑張ろう。

今日はマネージャーが休みらしく、まだ11時半だけど、寮に案内されて今日の行程は終了。
え、終わり?と思ったが、横になったら気付けば夜になってた。
20時から賄いを食べることになったので、3人で合流して食べる。

 1人は27歳のSさん。行政書士の勉強しながら、おてつたびをしてるみたい。台湾で会社経営したり、インドネシアで1年サーフィンしてたらしい。
 もう1人は30歳のTさん。転職しながらおてつたび。寡黙な人だった。


寝て温泉入っただけで今日は終了。

今日から毎日温泉に入れる


5月16日
今日はマネージャーが来て11時半からガイダンス。だからその前に朝活。
海を見ながら朝ごはん。カフェでコーヒーをテイクアウトして、パン屋でパンを買う。

海辺まで来るのに40分歩く。見かけたバスにはサラリーマン1人しか乗っていなかった。その人は微笑みながら外の景色を見ていた。
 毎日満員電車に乗って、高層ビルの一室で働くサラリーマンより、幸せそうに見えた。ここは時間がゆっくり流れてる。

ある映画を思い出した。
「Perfect Days」。トイレの清掃員が主人公。毎日カセットを聴きながら車で通勤し、自分のペースで働き、毎日同じ店で夕飯を食べる。そんな日々がperfectなんだと教えてくれる。
個人的にかなり好き。働き方を通して、人生について考えさせられる。

明日からしばらく働くから、せっかくだし宿から片道9kmの爪木崎まで来てみた。
前も来た、すごく好きな場所。心の拠り所と言ってもいい。

↓2年前の写真

The 灯台

旅行好きになってから、心の拠り所が全国に数カ所ある。思い付くだけ書き出してみよう。

ここ、爪木崎
福島の安達太良山
大分の福貴野の滝
山梨のフルーツ公園
茅野の雨池
松本のカフェ「哲学と甘い物」
群馬の志賀高原
京都の出町柳

とかかな。落ち込んだ時は、このどこかに行く。

たまに参考にする旅YouTuber
散歩するアンドロイドさんも言ってるわ

宿への帰り道。道路で遊んでる子供とそのお母さんがいた。全然知らない人だけど、「こんにちは!」と挨拶された。50mくらい離れてたのに。温かい場所だな。




5月17日
今日からやっとお仕事。自分は接客担当。
朝7時に集合。仕事は朝と夜の二部制で、昼に5時間休憩が挟まる。

先輩はちょい年上くらいの男性Yさんと、ミャンマー出身の年配女性Nさん。
冷蔵庫のビールを補充したり、机と椅子を拭いたりと、あっという間の4時間。分からないことだらけだけど、聞けば優しく教えてくれる。

昼休憩の散歩
今日から3日間、屋台やパレードや花火
で盛り上がる



5月20日
全然日記書いてなかった。結構疲れた。
18日は宴会で40人の団体が来た。ひたすら皿をキッチンに持ってったり、持って帰ったりしてた。

宿の中で、こんな歩いてたのか

ここでプチハプニング。
料理は提供する時間が決まっている。例えば夕食が18時なら、30分前になったら金目鯛のしゃぶしゃぶを出して、10分前に白米を出すなど。
この日宴会で忙しいから、しゃぶしゃぶを2時間前に出し、指導してくれてるNさんが、料理長に怒られてた。
気まずいし、申し訳ない。指示はNさんだが、用意したのは自分なのだ。自分で責任が取れないのが口惜しい。


19日は通常のお客さんの量に戻った。
この日初めて実際にお客さんに料理を提供した。日本酒「下田美人」を持ってっただけだけど、緊張した。
お客さんは優しかった。タクシーやってた時と客層が違いすぎる。タクシーやってたら、どんな接客業もできる気がする。


20日。
初めてお客さんの前で、みそ汁をぶち撒ける。お盆の上だったし、お客さんも「重くて大変よねぇ」と優しい人だったから助かったけど。反省。

この日ミャンマー出身の若い男性の先輩Mさんと仲良くなった。
10ヶ月前に日本来て、ずっとここで働いてるみたい。3日間で宿のこと、つまり配膳、接客、ベッドメイキング、当直とか全部覚えさせられたらしい。なんてこった。
「大変でしたね」というと、「辞めたかったけど、ビザもあるしやるしかないから。」
何人もの外国人、日本人がきつくて辞めてたらしい。辞めなかったMさん、Nさんたちはすごいよ。見習わなきゃ。

日本語で料理の説明しなきゃいけないからね



5月21日

働いてから5日目。もう慣れてきて、楽しくなってきた。と同時に、飽きてきてしまった。そのことに自分でもびっくり。
自分は常に新しいことをしたいタイプなのかな。

2日目に行ったShimoda one cafeが美味しくて毎日通ってるんだけど、いつもテイクアウトして海辺で飲んでた。
この日は勇気出して「おすすめはありますか?」と聞いてみた。すると、
「いつもアイスコーヒーですもんね」と。あ、覚えててくれたんだ。

「ハーブが大丈夫ならチャイとか、夏みかんのソーダですかねー。」

「じゃ今日はチャイで、明日ソーダお願いします」と言ってチャイを頂く。

地元の人なんですか?と聞かれたので、10日間だけ旅館でお手伝いしてる旨を伝えた。

「明日感想聞かせて下さい!」と言われた。行きつけの店っていいな。

この昼休憩があるから頑張れる

午後の仕事中、先輩のYさんがお客さんに出してる、金目鯛のあら汁を飲ませてくれた。お客さんが美味しいって呟いてるの聞いて、気になってた。
飲んだらめっちゃ美味しい。
ずっと仕事の話しかしてなかったけど、一人前って認めてくれたみたいで嬉しかった。

配膳中、ふと横を見ると庭園が


5月22日
久しぶりに1日休み。5連勤頑張った!自分。
いつものカフェへ。昨日言ってた通り夏みかんソーダを頂く。
1日休みだし、初めて店内で飲むことにした。

座ってから、出身地とか今までタクシーやってて、日本一周して、夏からワーホリ行く予定でー、とか色々話した。うんうんと、優しく聞いてくれる。自分がこれからやろうとしてることにも、大賛成ですと応援してくれた。

 常連らしきおばさまが入ってきた。会話するのもあれかなーと思っていると、店員さんが話を振ってくれて、3人で話すことに。
昔は終身雇用だったのに、今転職のCMばっかりよね〜とか、今この瞬間が1番若いですよね〜とか、そのおばさまも店を出る時頑張ってね!と応援してくれた。
良い店には良いお客さんが集まる。


何分後かに、白髭でグラサンの外国人が何人か入店。
「shaved ice?」と言ってる。なんだそれ。調べたらかき氷だった。
その外国人は連れと、日本人はフレンドリーだね、とか、ここの店員さんオシャレだねとか言ってた。会話に入ろうとしたけど、逡巡してしまった。夏からは自分から話しかけないといけないのに。


もう2時間くらいカフェいる。こんな休日の使い方初めて。
お客さんが結構来るので出ようとすると、

「いいですよ、居心地が良いカフェで有名なんで!」と言ってくれた。

少し話してから、店を出る。
出る時に、いつもありがとうございますと言ってくれた。嬉しいね、この言葉。こちらこそですよ。

本っ当に居心地良い店なのよ

夜20時過ぎ、宿から「明日お客さん少ないから1日休みで」というメールが。
拍子抜け。


5月23日
休みなのに、習慣で5時半に起床。
あと虫に刺されたのか、左目が腫れた。伊豆は虫が多い。

下田まで徒歩40分。毎日歩いてると、長く感じなくなる。自分は多分田舎でも暮らせる。


昼に気になってたインドカレー屋へ。

めっちゃ美味しい

チキンカレーセットを注文。
インド人店員に「なんですか?」と聞かれる。一瞬?となったが、ライスかナンか選べるから、それを聞いたのね、分かりにくいわ!


暇だから散歩。

遠くからも見えて気になってた
こういう道好き
この石は何ですか?

サーフィンやってる人が20人くらい。海は温かいのかなと触ってみたら、普通に冷たかった。

足湯入りながらボーッとする
この夕暮れの景色も最後かな
夕飯


明日で仕事は最後。あっという間だ。



5月24日
朝の仕事は、お客さんが少なくて一瞬で終わった。先輩たちに「今日最後?」ってめっちゃ聞かれる。10日間でもやっぱ去るのは少し寂しいな。


例のカフェ。いつも通り雑談。
下田の中学生は放課後100均とかで時間潰してるらしく、店員さんは、それが勿体ないんじゃない?と感じてるみたい。ドイツでは10歳で学問の道と、アートの道を選択する。自分の子供が別に学問の道に進まなくてもいいけど、選択肢があるよってことは親として提示したい、だから毎年1度は海外に行って子供に色んなものを見せるようにしてるらしい。

自分は高校大学就職と、みんながするからしてきた。他の選択肢を知らなかったから。今こうして仕事辞めて、この話の大切さの話がよく分かる。
仕事辞めたことをイジったり批判してくる友達もいた。わざわざ”アドバイス”してくれる人も。でもそういう人って失敗した時に何かしてくれる訳じゃないから無視で良いよ、と。

同年代の友達とか、会社員とはこういう話中々出来ないよなぁ。ありがたい話を聞けてる気がする。

この日常も明日で最後


店員さんの、自分が東京に帰ったらめっちゃ暇になりますね、って言葉が嬉しかった。



午後、最後の仕事。
特にミスもなく、無事に終了。
あっという間だったな。仕事覚えて慣れてきた頃なのに。10日は短い。でも、最初だし10日で良かったかな。


5月25日
最終日。
朝9時過ぎに宿に行って、お世話になった方々へ挨拶。
ミャンマーのNさんは、「これからも転々とするんですか?」と聞かれ、そのつもりと答えると「良いですね!」全部肯定してくれる。
Mさんには肩を叩かれ「元気でね。気をつけてね。」
Yさんは「また会えるからさよならは言わないよ。」
マネージャー「またいつでも待ってるから。」
送迎バスから手を振ってお別れ。寂しいけどいい思い出になった。

ありがとう。


カフェも最後。
今日は1時間ちょい後の電車で帰る。

今日は、未来日記書くと引き寄せの法則で実現すること多いよって話をしてくれた。目標あるとないで、全く違うよなぁ。
この店員さんもnote書いてくれたらめっちゃ面白そう。カフェの店員さん視点とか気になる。

途中でお客さんが入ってきた。
またまた店員さんのおかげで3人での会話が始まる。
東京の港区出身のお姉さん。workawayとかで転々と働きながら移動し、最終的に香川の手島に辿り着いたみたい。でもその島も観光地化され、今は下田に住んで、シェアハウスを作ってる。
自由だな〜。すごいかっこいい人だった。
このお姉さんも出て行く時、「また会ったらよろしく」と言ってくれた。

電車の時間が近づいてきたのでお別れ。お店の入口まで出向いて見送ってくれた。
ありがとう。また必ず来ます!

最後ということで、オリジナルステッカーを頂いた。大切にします。


〜完〜


おてつたびの感想
 地元のことを知る、地元のファンになるって点で素晴らしいサービスだと思った。深く知る点は旅行では到底及ばない。
 働くことで地元出身の従業員と会話は必須だし、地元じゃなくても、違う地方出身の人と話せるのは貴重。

 旅行では、同じ場所に10泊することはないだろう。従って行きつけのお店は基本的にできない。
おてつたびでは、お金を稼ぎつつ、自由時間も多いので行きつけのお店も見つけられる。旅行よりも、その土地を深く知ることが出来るのがメリットだなと思った。

しかし、仕事を覚えた頃に帰る日になったと書いた通り、受け入れる側にメリット少なくない?って思った。
一応志望理由とか自己紹介文とかの判断材料あるけど、どんな人が来るかというリスクはあるし
宿側は、仕事を覚えさせるより、自分らでやった方が早いしミスも少ないのでは?と思った。Yさんもせっかく教えてもすぐ居なくなっちゃうって言ってたし。
あと今回はおてつたび仲間とは、持ち場が違い、交流がほとんど無かったのが少し残念だった。

今、別のおてつたびに応募している。また新しい場所に行けるのが楽しみ。


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