令和の怪作漫画「チー付与」

追放されたチート付与魔術師は 気ままなセカンドライフを謳歌する。

通称「チー付与」。
近年のラノベタイトルは長すぎてもはやあらすじであるが、これもまた例に漏れず。
Twitter(X)上ではしばしばトレンド入りする。主に漫画の方が。

などとはこんなnoteにたどり着くような人なら既に知った話だろうね。

これはただの感想。雑感。それ以上でもそれ以下でもなく、インターネットの大海に放った小便みたいなもん。

本題。
そもそもこれは「なろう系」と一括りにされるタイプの作品群のうち、これまた「追放系」に括られるやつ。
主人公はノリで冒険者ギルドを追放される──

漫画版の99割は原作小説にない話で構成されるという、原作付きと呼んでいいのかも怪しい作品である。

剣と魔法のRPGをやったことのある人ならスっと理解できるタイプの語彙が頻出する漫画……と思いきや唐突に東京出身のキャラが出てきたり、ワークマンのパロディであろうボウケンマンが出るなどギャグが激しい。
主人公が追放されるのも正直納得がいってしまうアホさとウザさを持ち、しかし馬鹿がつくほどのお人好しさと善性のキャラだと思う。現状は。

「半分」なるおよそ人名とは思えない名前のキャラクターが出てきたあたりから、HUNTER × HUNTERのヨークシン編が好きな人なら間違いなく好きな展開なんだろうなと思う。なんだろうこの……アウトレイジ感は……

いや正直な話、偏見と暴論だと自分でも認識しているのだけれど、いわゆる「なろう系」のメディアミックスにはあまりいい評判を聞かない。ただチート+ハーレムのご都合展開のオンパレードっていう偏見。20代以上の、これといった特技もなんもなくうだつの上がらない非モテ……しかし性欲だけは人三倍のような、ここ最近ネットではチー牛などと馬鹿にされるタイプの男性向け娯楽作品群、そんなイメージしかなかったんだよな。

そんな系譜のエッセンスは残しつつ(なんせよく考えると主人公と長く関わるキャラはほぼ全て女である)。
漫画である以上は美人である。しかしどいつもこいつもしばしば作画が崩壊するギャグ?の変顔を晒すのだった。

暴力組織と暴力組織の抗争が絡んでくる。この辺がアウトレイジだのヨークシン編だのと言われる所以だろうが、「そう」なっている事態の中心には主人公と一行がいる。全ての回の中で、主人公勢が出てこなかったことはない(※R6.2.17時点、35話まで)。
ヒリつくような一触即発の空気感を出す中で、唐突にぶち込まれるボーボボみたいなノリの変顔とギャグを清涼剤と思えるか、アウトレイジな雰囲気をぶち壊してると思うか、ここは好みが分かれるところだと思う。


ところで、そのアウトレイジやってる2つの組織のうちで「半分」の率いる組織と、「暗殺の母」なるどう見ても大阪のおばちゃん的キャラデザのおばちゃんも原作小説にはいないんだという。どういうことだってばよ……

チンピラみたいな男達の仲間内の雑談すら伏線として使ってくるので、やっぱりHUNTER × HUNTERの雰囲気はある。念能力みたいなの出てくるしな。
んで、それなりに文明はあるみたいで、しかし魔力を保持するには科学技術から離れた生活をする必要がある。ここら辺はfateの魔術師を思い出した。
銃火器を使う衛宮切嗣が異端の魔術師になる世界観なのでね。

原作小説は未読なので言及は避けるが、漫画はハンターハンター+fate+ボーボボをなろう系でやってる感じだろうか。カオス……


個人的にはわりと好きな方。
とはいえ原作からの改変が大幅どころではない大幅なので、ここ最近のメディアミックスに関する話題と併せると手放しで褒める気になれないというのが本音だったりする。
原作者の心が太平洋並みに広いと言ってしまうと他のあらゆる作家に対してまずいことになりそうである。色々な意味で「チー付与」は規格外の作品であるので、生半可にああいうのやりたいと思っちゃいけないね。大怪我の元にしかならんぞね。

漫画担当の人、極道とか任侠モノ好きなんだろうなー。というのがちょっとした感想。

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