ゆずPのミュージックレビュー vol.2 King Gnu「白日」


新年明けましておめでとうございます。
昨年の12月31日という年末ギリギリのタイミングでnoteを始めるという、良く言えば思い立ったらすぐ行動出来るタイプで、悪く言えば良い歳して我慢が出来ないお子様タイプといった所ですが、
今年はボカロP活動と並行してこうした音楽レビューも定期的に発信していこうと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

さて、昨晩のCDTVの年越しライブをちょっとだけ見ていたのですが、皆さんご存知の大人気ロックバンド「King Gnu」が常田さんの祖母の自宅から演奏するという、ある意味前代未聞のパフォーマンスを披露していましたね。
しかも「McDonald Romance」というガチファンしか知らなそうな初期の名曲をアコギテイストで演奏するという、よくもまぁCDTVも了承したなぁ〜というぐらいのマニアックなパフォーマンスでした。
まぁこんなパフォーマンスが出来るぐらいKing Gnuは人気という事だろうか。

兎にも角にもこのCDTVでのパフォーマンスから久々にKing Gnuを聴き返してみようと思い立って色々と聴き漁っていくのだが、その中で改めて彼らの代表作である「白日」の完成度の高さを実感して、今回レビューを書いてみようと思った次第である。


白日といえば、言わずと知れたKing Gnuの代表作であり彼らの最大のヒット作である。
ピアノとボーカル井口さんのハイトーンボイスのみという静かなオープニングから始まり、そこから徐々に歪んだギターやうねりまくりのベースライン、スクラッチ音とファンキーなミクスチャー系のサウンドで盛り上がっていき、サビで一気に爆発というお手本のような盛り上がりの曲構成である。
しかし曲構成自体は王道であるがサウンドは一般的なバンドやJ-POPのヒット曲と比べると極めて異質なものであると言える。

約4分半の間にバラード調、攻撃的なミクスチャーサウンド、ノスタルジックなサウンドとあらゆる要素がふんだんに盛り込まれている。
そもそもこの曲はジャンルがいまいちわからないのだが、あえてバラード(歌詞は全然恋愛系ではないが)の括りにして見ると、バラードにスクラッチ音が使われているのが珍しいし、バラードでこれだけベースラインがうねっているのも珍しい。
さらに言えば、ボーカルのメロディーラインもうねりにうねっているのも珍しい。サビのメロディーなんかは高低差が激しく行ったり来たりを繰り返していて、並の歌唱力では喉が追いつかないだろう。

曲構成自体は王道ながらもそうした独自のテイストを加えることで、どこのジャンルにも属さない、強いて言うなら唯一無二のミクスチャーサウンドを築き上げているのがこの楽曲の魅力と言えるだろう。
そして王道とは離れていながらもメロディーはキャッチーでインパクト大な為、一般リスナーでも聴きやすい仕上がりになっている。
J-POPのヒット曲に必要な要素をしっかりとおさえた上で、自分達の色を足していくというこのバランス感覚がヒットした要因の一つと言えるだろう。


先程も言ったように、この曲はジャンルがいまいちわからないため、他に似たような曲も存在しないので特に異彩を放っており、他では味わえない聴き心地なのが中毒性に繋がっていると思う。YouTubeのコメントでもよく見かけるが、何度聴いても飽きないと言う感想を抱くリスナーが非常に多い。

流行りの音楽をマネしてヒットを狙うのも勿論有効な手ではあるが、それだけではなく”独自の王道”を追求するのも、ヒット曲を生み出す有効な手段と言えるのではないか。
このKing Gnuの白日はその事を我々クリエイターに強く示しているように筆者は感じるのである。



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