タクト

金のいかずち　空を切り分け
こぼれだす銀の紙吹雪
雲と大地が　嘘と真実を揺らし
闇に浮き彫りになる輪郭

マスカラで束ねられた長いまつ毛が
シャッターを切るたびに、頬が
桃の香りをのせて薄紅色を取り戻していく
指先はこんなにも冷たいのに

天へ昇っていく　愛しき塵を見送り
鼻先に残る冷たさに　この身の形を知る
ぼんぼりが映し出す影絵
結ばれた手と手

雫が滑り落ちる長いまつ毛が
シャッターを切るたびに、胸が
静寂の中に音を落とし続けていく
指先はこんなにも冷たいのに

あなたの目から降り注ぐきらめきが
この短くて冴えない爪の先に降り注いで
ネイル　仕上げてくれる
指先はこんなにも冷たいけど