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馬に会える本。(4)

    馬が好きだから、馬の近くへ行ってみたい。そんなふうに、物心ついた頃から思っていた。

    大人になって、いざ乗馬クラブのサラブレッドの前に立ってみたら、かわいいだけではなく、ちょっと恐怖を感じた。それは相手が馬だからではない。どんな動物が相手でもそうだ。筋肉も、牙も、鋭い爪も、角もないこの体は脆弱すぎる。一撃されたら、一蹴されたら、私なんて遠くまで吹っ飛ばされてしまうはずだ。

    あんなに馬と触れ合いたいとか思っていたのに。いざ馬の目の前に立ったら、どうコミュニケーションをとればいいのかわからない。敵ではないことを伝えたい。そう思っているのに、私はずっとオドオドしていた。馬の方も、私の感情をすぐに察知し、なんだこいつ?って、訝しげにするばかり…。

    この本は、馬の気持ちやファーストコンタクトの取り方が、絵と短い文でかかれている。絵本なので、小さなお子さんに読み聞かせてあげることもできる。絵がとにかく可愛くてシンプルで、ほっこりとあたたかい気持ちになる。馬に会う前に、馬が出すサインの意味をいくつか知っているだけでも、お互いに誤解が生まれにくくなるだろう。

    誰かと信頼関係を築くのは、とてもゆっくりすすんでいくものだという、当たり前だけど忘れがちだったことを思い出させてくれた本だ。

    『ウマと話すための7つのひみつ』
                            著者:河田 桟
                            発行:偕成社


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