主人のいない城

割れたステンドグラスの切先は鋭く

色とりどりに床へと落ち刺さっていく

わたしも浴びようと両手を広げてみるも

小指を少しかすっただけ

ぱらぱらと光る音を立てながら落ちていくガラスの破片たち

さびしさを感じたまま身体を揺らしていると

割れた場所から吹いた風が破片とわたしの小指を撫でて

秋風冷たく、唇は熱く

むなしさもって影だけを置き去った

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