たんぽぽの憧れ4
次の日も雨。雨は土をとかし、セロハンを破り、リボンもヨレヨレにし、ビーズもなにもかも真っ黒にしていきました。
悲しくて、冷たくて、寒くて、泣き出すたんぽぽ。でも、だれも気づいてくれません。
そのうちたんぽぽは、泣きつかれて寝てしまいました。
どれくらい寝たでしょう。雨がやんだようです。
声がします。子供たちです。
「見ーつけた。」
冬真君が、雨で重たくなった土を、スコップでどけてくれました。
久しぶりに、外の世界に姿をだしたたんぽぽ。
でも、たんぽぽは、花を閉じ、心を閉ざし、顔を見せません。
だって、雨や泥で汚れた姿を見られるなんて、とっても恥ずかしい事ですから。
渚ちゃんが、たんぽぽの汚れをはらってくれました。
「あ、お日さまだ。」
さっきまで雨を降らしていた雲の合間から、お日さまがでてきました。
たんぽぽにも、そのお日さまの光が届きます。
「さあ、こちら向いてごらん。」
恥ずかしさで、ギュッと花も心も閉じていたタンポポにも、お日さまは優しく、暖かく声をかけます。
ゆっくりゆっくり顔をあげるたんぽぽ。
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