「バラ色の日々」が私のロックの原体験だった

「バラ色の日々」


MOROHAの方ではない。あれも良いけどね。
私が初めてこの曲を聴いたのは中学生の頃だった。
兄が当時持っていたiPodで聴いたのが最初だ。
刺々しくも艶やかな吉井和哉の歌声、レスポールの似合うエマらしい一音一音に存在感あるギター、全編に渡ってうねるヒーセのベース、着実にビートを刻むアニーの歯切れの良いドラム。最初にこれを聴いたとき、心の底からただただカッコいいと思った。当時私の周りではONE OK ROCKが流行っていたが、私が初めてロックンロールを感じた、原体験は間違いなくこの曲であると思う。その時の私はスマホを持っていなかったので、代わりに買ってもらったウォークマンに兄からこっそり拝借した「8」のアルバムを入れて繰り返し聴いていた。そのおかげで今でも最後の「I Want Power~」の下りは今でもそらで歌える。あそこマジでカッコいいよね。その前の「そう、満たされ~」ももちろん最高。ただしこっちは自信ない。どうしても「騙され」が2回出てきてしまう。


今回この文を書くにあたって改めて聴いてきたが、本当にかっこいい。上手く言語化できるかわからないが、思ったことを書いていこう。

この曲は最初にギターとボーカルだけのサビから始まる。まずこのサビのメロディが強いよね。吉井和哉のまっすぐな中音域がよく響いている。
そしてアニーのフィルからイントロが始まる。このリフですよ。これこれ。
めちゃくちゃシンプルなのに超カッコいい。またギターがシンプルなのに対してベースはズンズカ動く動く。これが上手いこと邪魔にならない塩梅で主張してきて良いんだ。

Aメロはまず「バラ色の日々を、君と探しているのさ」と始まる。イエモンって音色とかは間違いなくロックンロールなんだけど、メロディはいい意味でどこか歌謡曲っぽさがある。海外文化であるロックを日本人のフィルターを通して構築したものとして、私はイエモンを日本語ロックのひとつの正解だと思っている。
ここの「スパァーン!コールを~」はこの曲聴いた人全員好きだと思う。

Bメロ「雨の中を傘も差さずに走るのは、過去の悲しい思い出のように大事なような」
この一節、今でも雨が降った日に歌ってしまう。
こんな歌詞を思春期に聞いて影響されないわけがないだろ!!!カッコいいじゃん!!!
「だけど茨が絡みついて、運命は悪戯 乾いてしまうのは寂しいね」
ここで寂しいね、という少し砕けたような表現になるが吉井和哉らしくて非常に良い。ロックンロールの享楽的な精神性がよく表れていると思う。

サビは冒頭と全く同じ歌詞だが、頭だけ少しシンコペーションしている。
これがまたカッコいいんだ。最後の吐き捨てるような「バラ色の日々よ」もいい。

そしてギターソロを挟んで二番。Bメロから始まり、ラスサビへとつながっていく。
この展開の仕方がすごい好きなんです。
「雨の中を何も見えずに走るのは、とても深く生かされているのを感じたような」
「だけど、茨が絡みついて偶然の生贄、試されているのが悔しいね」
同じ雨から始まる歌詞だが、こちらの方がより葛藤に悩まされている感じがする。

「それでも」
ここ超カッコいい
「あの時感じた夜の音、君と癒したキズの痕、いくつもの星が流れていた、慰めの日々よ。」
在りし日のバラ色の日々を慰めの日々と嘲りながらも、星の流れる夜と情緒的に唄っている。星とは涙の事だろうかと勝手に思っている。どうしようもない悲しみを“君”と慰めるしかなかった日々を、星のように美しく流れる涙を共に流した夜であると美しく回想しているのではないだろうか。

「そう、満たされ、流され、汚され、捨てられ、騙され、心まで奪われ」
一番最後。ここがいっちゃんカッコいい。最後が心まで奪われってたまんないよね。
最後は「I’m just a dreamer, Are you believer? 」と締めくくる。
そのあとのギターソロがまたいいんだ。

そうそう、この曲ギターソロが二か所あるのだが、ライブではエマは結構崩して弾いている。というか全体的にオブリガードが多いので、その時々である程度アレンジして弾いているようだ。私はライブのギターソロはバンバンアドリブをかましてほしい派なのだが、その趣向を作ったきっかけの曲でもあるかもしれない。
ちなみに私が一番好きなバラ色の日々のギターソロは富士スピードウェイで吉井和哉と9mmの菅原拓郎、菊地英昭がコラボした時のギターソロだ。イエモンじゃないんかい!と言われそうだが、ギターとボーカルは本人なので許してほしい。
吉井ソロ名義のため少し速めに演奏されており、その疾走感とエマのギターの泣きっぷりがたまらなくかっこいい。YouTubeにあがっているが、いつ消されるかわからなくて結構怖い。自分で探してほしい。てかこの時のメンツ凄いな、生形さんとか日向さんもいるんだ。まじかっけえ。

ちなみに高校の軽音で私はこの古い曲をバンドメンバーに無理を言ってやらせてもらった。
具体的には演奏曲を決める日の朝に人数分のバンドスコアを持ってメンバーを待ち伏せ、下駄箱で渡した。古い曲で観客も軽音部の部員も知らない人だらけだったろうが、すごく楽しかった。高校最後の文化祭だっただけに思い出深い。
またいつかバンドで弾きたい。

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