ぼくの考えた最強の水滸伝

ますます妄想がひどくなっているこのごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今日は水滸伝を題材に、後半はこんな水滸伝翻案があればいいのに、という絵空事を書きたいと思います。

こんな水滸伝が素敵

これまでの水滸伝

私が最初に遭遇した水滸伝は、図書館の世界文学全集の水滸伝でした。
遭遇というのは、読み切ることができない挫折をしたからです。
その後、気合を入れて吉川版を買いましたが、未完とのことで読んでも仕方ないじゃん、と思って辞めました。※70回本として終わっている。
さらに気合を入れて岩波文庫版を読みはじめたのですが、これは訳語がダメで挫折しました。大家である吉川幸次郎先生の翻訳がだめだったのです。
先生はギャグとかシャレを諧謔という古風な言い回しをする方である一方で、やさしい配慮が仇になり、都督とかを軍務大臣とか警察長官みたいに現代語に訳してくれてしまったせいで、何時代の本を読んでいるんだろう、な気持ちになってしまったのです。親子二代の漢学者らしく硬いままの方がよかったのでは、と思う次第。トールキン作品における山本先生のようです。(一方で学術的翻訳のサー・ガウェインと緑の騎士はとてもよい)
一応は、岩波版を買いそろえましたが、途中から清水先生訳になるという。
脚注はとても面白く、脚注で先生も不明な点があると、ご教授願いたい、とか教えを乞う姿勢が素敵でした。
文章の統一感を求めて、ちくま版駒田訳を読みに至り、一旦は水滸熱が冷めるのでした。

すごい水滸伝

北方謙三先生の水滸伝は、すごい水滸伝です。
日本史作品でも北畠顕家や佐々木道誉など選んだ素材が面白いのですが、私自身もやってみたかった水滸伝と岳飛を合体するという超大河作品なっているところがすごい。いや水滸伝、岳飛はいつかだれかやるだろうと思っていました。北方先生のすごいところは北宋のはじまりの頃の楊家将を描き、水滸伝の途中から楊令を登場させ、オリジナルの展開ながら、方臘編と水滸後伝の暹羅ような島が登場する。ここで終わらずに岳飛伝につながる。マジすごい。

やばい水滸伝

高島俊男先生の『水滸伝と日本人』という作品があります。※これはやばくない名著。
昨今の原作者問題について考えさせられるのが、翻案の定義が辞書によってまちまち、水滸伝のような白話小説・通俗小説・作者はたぶんレベルで不詳、当然著作権なんていう権利の無い時代だからよいとしても…『翻案』改作者の嗜好のままに書いてよい、なんて辞書もあるのにびっくり。高島先生の原作・原案・翻訳・翻案を辞書で調べてみたの話が面白かった。
翻案小説で歴史があり有名なのは『本朝水滸伝』と思っていたけれど、
『傾城水滸伝』が著名な翻案水滸伝らしい。豪傑が皆女性。クイーンズブレイドか、一騎当千級にやばい。SNSがない時代でよかった。炎上しなくてかさねてよかった。※一騎当千は中国でウラヤマケシカランで炎上した。

妄想水滸伝

幻想水滸伝みたいに語感(サウンド)はいいけど、字面がやばい。
北方謙三先生の水滸伝の登場により、私の妄想を超える作品が実際に現れたことで欲求は満たされたけど、こんな水滸伝も見てみたい。

・先ず金瓶梅。今はやりの?NTRの古典文学のミックスを見たい。
・新法・旧法の争いの余波で徽宗時代に優れた官吏がいなかったこと。
※首魁?の王安石と司馬光の後、派閥闘争が続き死ぬか飛ばされるか。
・同時代著名人(蘇東坡)の絡み(高俅との関係や、耶律楚材に嫁いだ玄孫)。

何か普通過ぎる。
故栗本薫さんの新・魔界水滸伝とか立派な妄想だ。※誉め言葉

斜め上の水滸伝

本稿を書くにあたり、また各国のwikipediaにお世話になりました。
AI翻訳と違って、従来の機械翻訳が素晴らしく
・フオバイ松江
・ジェイド ユニコーン ルー ジュンイ
・サンダーボルト ファイアー泰明
・義理の妹グさん
・デュシェンヌ
・赤毛の幽霊リウ・タン
・ムホンは対象外です
とか謎の登場人物に、物語への期待感が高まりました。
やっぱり翻訳は機械翻訳に限るなと思いました。


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