B・ヘリー「十全なるヴァイオル奏者」とはどういう教本か

新しくシリーズが始まりました。

ヴィオラダガンバの教則本は
現代に出版されたものもあり
よく体系化されているので
レッスンで使用することはあります。

そして、私が必ずレッスンで使用しているのは
17世紀末にロンドンで出版された
B・ヘリー「十全なるヴァイオル奏者」です。

生徒さんの中には
ヴィオラダガンバという楽器だけでなく
当時の時代背景に強い関心がある方が多いです。
バロック時代の教則本は
そういった関心に直接お応えする
魅力のあるものだと思います。

B・ヘリー「十全なるヴァイオル奏者」は
ヘリーの死後、お弟子さんたちによって
彼の指導法を伝えるために出版されました。
出版にあたっては
ヴィオラダガンバ製作家として有名な
B・ノーマンも尽力したことが
記されています。

序文では、記譜法について
詳しく書かれていることが特徴です。
このことにより
当時は統一された記譜のルールが
認識として浸透していないため
地域によって、出版社によって
様々なルールで記譜されていたことが伺われ
他のファクシミリを読むための
予備知識となります。

中盤では、「詩篇の旋律」を
ヴィオラダガンバ1台で弾くために
楽譜が載せられています。
これは当時、よく知られたものだったようで
J・プレイフォードによって
3声の楽譜が出版されています。
そこには、長調、短調、
知られた教会旋法のみならず
大聖堂の名前などがついた
独自の旋法があったことがわかります。

後半は、B・ヘリーによる
ヴィオラダガンバ1台のための
アリアや舞曲の楽譜が載せられています。

学術的なアプローチではなく
演奏のためという、実用的な視点から
解説を進められればと思っています。

よろしくお願いいたします。

B・ヘリー「十全なるヴァイオル奏者」解説①
【藍原ゆきのヴィオラダガンバレッスン】

https://youtu.be/JLTMIysw_9E?si=tOLFkxSetNtQI_0O

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