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伝説の教師

中学生の時、有名な生活指導担当の教師がいました。
毎週の朝礼で怒鳴るのは日常茶飯事。
体育祭の時はサングラスをかけ、まるでヤ●ザの風貌と化し、校舎周りを巡回していました。
また、
「生徒を怒鳴って鼓膜を破った」
「地毛で茶色っぽいだけなのに黒く染めさせた」

などの噂もありました。

合唱コンクールでは、彼が担任となった組だけ完成度が際立っていました。
ある有名な洋楽を歌い上げ、断トツで金賞を受賞しました。
3年生で金賞を受賞した組は、アンコールとしてもう一度歌うのが慣例となっていました。そして、生徒が担任の名前をコールし、担任も壇上に上がって感動のフィナーレという要領です。

生徒一同がステージに並び、スタンバイ完了。
そして、指揮者の一振りで全員で担任のあだ名をコールするという、卓越した連携プレーを披露。保護者を含め会場はドッと湧きました。
「ふざけるんじゃない!!」
生活指導の担任が会場の後方から大声を挙げました。
聴衆はこれを聞いて歓声と拍手で迎えます。皆、照れ隠しの一言だと思っています。そして、
「お前ら最高だよ。愛してるぜ!!」
こう叫んで壇上に上がるシーンを、誰もが思い描いていたでしょう。

お膳立ては完璧に整いました。
しかし・・・
彼は腕組みし、ゆっくり通路を歩きながらよく通る大声で説教を続けます(残念ですが、内容は忘れてしまいました)。会場は『おいおい、何か様子がおかしいぞ?』と、段々不穏な雰囲気に変わっていきました(生徒は慣れていますが、保護者は彼の演説を初めて聞くので、さぞ驚いたことでしょう)。

スポットライトを浴びて威圧的に歩くその様は、まるで「女王の教室」に匹敵するくらい出来過ぎていました。
「さっさと歌えよ!!」
1分間あまりの説教のあと、彼はこう吐き捨てました。
感動のフィナーレどころか、お通夜みたいな雰囲気の中、アンコールの合唱は行われました。

今の時代では、彼のようにエッジの利いた教師はもういないのかもしれませんね。”泣く子も黙る”とは、まさに彼のような存在なのだと学びました。


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