見出し画像

到着ロビーのゲートへは行けません!

 半世紀以上も前にTV放送されていた”少年ケニア”という番組をご存知だろうか? 日本人の少年と白人少女がケニアのジャングルで色々な困難に遭遇しながら、それを克服して成長していくといったストーリだったと思う。そして、自分に長男が誕生した時になぜかその主人公の名前が真っ先に浮かんで、そう名付けてしまった経緯がある。
 ポルトガルに駐在していた約20年前の夏にケニアへ行こうと思い立った。妻と次男は帯同していて、当時長男は日本で学生生活を送っていたが、この旅行先のケニアに一番ゆかりのありそうな彼を同行しない手はないと、呼び寄せることにした。3人はポルトガルから、1人は日本からヒースロー空港に集合して、そこから一緒にナイロビに向かう手はずを整えた。
 長男とは日本から到着したゲートで待ち合わせていたので、ポルトガルから着いた直後に案内所でどの様に移動すればよいのかを確認したところ、なんと”NO ❢"の答えで、こっちは"えっ?なぜ?”と一瞬パニックに 。”日本への出発ゲイトへは行けるが、到着ロビーへ行くためには一度イミグレを通過して入国し、空港内の一般交通手段で移動するしかない”と主張する。到着ロビーのあるターミナルへ行ってもゲートへは到達できないし、そもそもそんな大移動をやってたらナイロビへの便に乗り遅れてしまう。日本からの便の到着時刻が迫ってくるし、いつまでもここで時間を費やしている暇はない。
 そこでピックアップを諦めて、長男の乗っている便の航空会社のカウンターを見付けて事情を説明し、直接ナイロビ便の搭乗ゲートへ行くように到着した本人へ伝えてもらうことにした。当時は日本から持ち込んだ携帯電話で海外で使えるものはごく少なかったので、名前を書いたプレートを掲げて気付いた本人にメッセージを伝える方法しかなかった。
 ナイロビ便の出発ゲートへ移動して、 ”果たして気付くか? ちゃんとここまで来られるか?”と気を揉みながら待っていた我々の前に、のんびりと現れた長男の姿を見て一気に気が抜けたことを今でも鮮明に覚えている。
 到着前のドタバタで出鼻を挫かれかけたケニア旅行も、国立公園となっているサファリまでの移動中に遭遇した景色に圧倒され、どこまでも広がる真っ赤に見える大地や対岸が判らないほど広大な大地溝帯を目の当たりにして、来て本当に良かったと実感した。現地で購入した現地シンガーのCDは頻繁に自宅で再生されて、いつまでもアフリカの雰囲気を思い起こした。
 ジャンボ! ハクナ マタタ! ポレポレ  サッサ!・・・


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?