怒られが発生、という言い回し

　「怒られが発生」という言い回しを目にします。雷が発生のような自然現象っぽい雰囲気がして、とてもおもしろい表現だと思います。雷が通常は、上から下に落ちるものと認識されているように、怒られも上から下への垂直的な関係が想定されているようにも思います。
　「わからせが発生」という言い回しも目にします。これも怒られと同様に垂直的な関係が想定されているように感じます。誰かから無理矢理わからさせられたかのような現象が発生したのかな、と思うわけです。
　海外駐在員の奥様から「わからせが発生」のエピソードを昔聞きました。海外駐在員の自宅では、現地の使用人を雇うことがあるようです。手慣れている奥様は、使用人とは決して一緒に食事をしたり、お茶を一緒に飲んで休憩したりすることはないそうです。それをすると、多くの使用人はつけあがるとのことです。食事はトイレで食べさせる、というわからせを発生させることで、強いリーダーシップが発揮できるのだそうです。物を盗んだり、ゴミをあさったりすることがないように、わからせを発生させておくことは確かに必要なのだろうとも思いました。身分をわきまえさせるためのあれこれには、わからせが発生の言い回しがしっくりきます。
　先日床屋に行きまして、そのときに私にもわからせが発生しました。その床屋のサービス自体は、早くて安かったためとても満足しました。襟足をカットしてもらうときにはかなり強めの力でグッと頭を押さえられ、襟足の髪を払うときは、かなり勢いを付けて指でビッ！と払われるなどしました。そんなとき、わからせが発生したように思います。急いでるんだから！こういうサービスなんだぞ！というわからせが垂直方向に私に向かって降りてきたわけです。
　そんなことがあったってことを、書いておきたかった。わからせが私にも発生したのでした。