【2018夏の高校野球南埼玉大会決勝】浦和学院VS川口の試合結果、感想とドラフト注目選手の蛭間、渡邉、佐野の評価
【試合結果】
南埼玉決勝:浦和学院17-5県川口
浦学251 000 054=17
川口200 000 120=5
※浦和学院は5年ぶり13度目の甲子園
・投手
浦和学院:渡辺→永島→美又→河北
川口:岩城→伊藤大→宮田→伊藤翼→武井→井樽
・本塁打
浦和学院:蛭間
川口:
【感想】
思わぬ展開で序盤に試合が決まってしまった。
戦力、実力的にも少し差があり過ぎた一戦。
伝統的にはポカでコロッと負けてしまう悪癖がある浦和学院だけに少し心配していたが、その心配の必要はなかった。
各学年世代でも屈指の選手を集めている浦和学院が、順当に決勝戦に進んだ。
甲子園本戦でも、試合の中で成長して欲しい。
過去の甲子園優勝校も、結果的には圧倒的な強さで勝ったように見えて、実はそうでもない。
一戦一戦ギリギリの試合を勝ち抜いたことで、チーム力は増していく。
去年圧倒的な強さで優勝したように見えた花咲徳栄も、予選の決勝では浦和学院との接戦の末に甲子園出場。
他競技ではあるものの、2018年のロシアワールドカップで優勝したフランスでさえ、勝つことでチーム力を高めていった。
タレント軍団・浦和学院がここからどこまでチーム力を高められるのか。
実力的にはベスト4~8に進む力はある。
【浦和学院の甲子園注目選手】
試合中盤以降は、ドラフト候補になりえる三選手に注目して観戦。
去年の予選決勝から楽しみにしていた逸材たちがどこまで成長したのか、しそうなのか。
軽く寸評する。
・蛭間拓哉外野手 左投左打
右の野村(花咲徳栄)、左の蛭間と言われるほどの、2018年の埼玉高校野球を代表するスラッガー。
この試合でも目の覚めるような弾丸ライナーの一発を放った。
174cm82kgと、非常にがっしりした体型。
2年夏の県予選では7試合で打率.444、4本塁打をマーク。
最後の夏となる2018年の県予選でも猛打をふるっている。
この選手の面白いところは、走・守にもアピールポイントがあること。
2018年の南埼玉大会では9盗塁をマークと、走力も一定水準以上。
守備もセンターを任されており、肩もそこそこ強い。
プロでもライトを任せられる程度のものがあるので、スカウトとしても指名しやすい逸材ではある。
問題は左投げ左打ちの高卒外野手である点。
よほどのセールスポイントがないと指名しづらいタイプの選手だけに、これという長所が欲しい。
※一塁手以外へのコンバートがしづらい。
そう考えるとやはり長打力をどこまで見せられるかがポイントになる。
同じ埼玉の高校野球界で活躍した斉藤彰吾(春日部共栄)は高校通算本塁打52本で高校生ドラフト会議7巡目。
昨年の西川愛也(花咲徳栄・現西武)ほどのアピールを甲子園で出来ない限り、現時点では良くてドラフト下位の逸材。
全国レベルの投手相手にも通用することを見せつけて欲しい。
・渡邉 勇太朗 右投右打
190cm87kgと、堂々とたる体格が魅力の右腕。
ポテンシャルはミレニアム世代でも屈指。
10年後に振り返ってみれば、ミレニアム世代は渡邉世代だったと言われてもおかしくない素材。
肉体的ポテンシャルを限界まで使っている印象の根尾昴(大阪桐蔭)よりも、伸びしろは上。
ただ、そのポテンシャルが最大限活かせているかと言われると微妙。
ストレートの最速は146キロとのことだが、この試合では良くて140キロ前半。
投げているボール自体にも凄みは感じられず、根尾投手のように打者を押し込むボールはあまり見られなかった。
ただ、そんな中で非凡なものを感じたのは投球フォームの美しさと緩急。
エンジェルスの大谷翔平投手のようなセットからのフォーム。
投げ終わった後に体勢を崩すこともなく、大幅なフォーム矯正の必要はなさそう。
また、縦スラが勝負球とのことだが、印象的だったのは110キロ台のカーブも操れること。
140キロ台のストレートと、130キロ台のスライダーに、110キロ台のカーブ。
制球にはアバウトさは残すものの、突如四球で乱れることはなく、右打者の内角も突けていた。
余計な修正要素が少ないので、プロに入ってフィジカルをもっと強化すれば、早い段階から1軍で活躍する可能性も秘めている。
まだまだ怪我明けとのことなので、技・体が揃ったところでどのような投球をするのか期待したい。
そういった意味では甲子園での活躍を楽しみたいと思いつつ、高校年代では無理はせずにプロに進んで欲しいのが本音。
長身高卒右腕投手の育成に長ける、日本ハムや阪神、広島当たりに入団すると面白い。
※埼玉西武ライオンズファンの私としては西武でみたいが...
現時点ではドラフト中位級だが、甲子園で活躍してブランド力が高まればドラフト2位で消える可能性も。
浦和学院は進学の可能性もある高校だが、出来れば高卒でプロに
・佐野 涼弥投手&外野手 左投左打
この夏最も残念だったことの一つが、佐野選手が怪我で順調に成長&登板できなかったこと。
2017年の花咲徳栄との埼玉大会決勝を見ていて、両チームの中で一番目を引かれたのが佐野選手。
恥ずかしながら試合終了後にまだ当時2年生だったことを知り、驚かされました。
投げては強打の花咲徳栄打線をストレートで押込み、打っては場外本塁打。
順調にいけば2018年のドラフト候補になりえただけに、残念。
この試合では背番号20を着けて6番レフトで先発出場。
打撃ではタイムリーを放つなど、非凡なものを見せたものの、やはり佐野選手は投手として見たい。
ポテンシャル的には高校の先輩であり、選抜優勝投手の小島和哉(浦和学院→早稲田大学)以上のものがある。
怪我持ちをプロがどう判断するかだが、個人的には大学に進学して、じっくり4年間作り上げて欲しい。
出来れば甲子園で観てみたいのが本音だが、森監督が無理せず将来を優先してくれることを願う。
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