「データ分析」をやめよう

「データ分析」をどんな意味で使っているか答えられますか

「データ分析」という言葉はずいぶんと広まった。仕事をしていれば聞かない日はないぐらいだ。

ところが「データ分析」が何を意味しているのかがはっきしりない。何となくやっていることに対して何となく使っているのではと思うことも度々ある。

そこで、「データ分析」という言葉の使い方にどのような問題があり、代わりにどうしたらいいかについて書いてみる。

「データ分析をする」はサッカーでいえば「ボールを扱う」ぐらいの表現

「データ分析」といっても範囲が広い。そのためデータを加工してダッシュボードを作ることを指している人もいるし、分析から示唆を出すことや具体的な提案まですることまで含めている人もいる。

なぜこれだけの認識の違いがあるのか。それは「データ分析」がサッカーで例えてみれば「ボールを扱う」ぐらいの言葉だからではないだろうか。

ボールを扱うといってもシュートを打つこともキャッチすることも含まれる。ドリブルで要求されるレベルはポジションによって違うだろう。ゲームに勝つために必要であるが、それだけでは成立しない。

そのため「ボールを扱う」ことを主語にして話すことはあまりないだろう。範囲が広すぎるし、各個人の課題、ポジションに求められることなどの中で話されることだろう。

「データ分析」がつかみどころがないのは「ボールを扱う」のと同じぐらい漠然としているからなのではないか。しかも何がどのぐらいのレベルを求められているのかといった前提なしに「データ分析」を主語にするからますますよくわからないものになっている。

「データ分析による〇〇」という表現

「データ分析による〇〇」も良く聞く。〇〇には課題や問題の解決とかが入る。サッカーのたとえにするなら「ボールを使ってゲームに勝つ」あたりになるだろうか。

「データを(他の企業よりもうまく)使って」というニュアンスがあるのかもしれない。だとしても他とはどう違うのかより具体的な表現がされるだろう。

しかしそのような表現は少ないので、どうやら明確に意識して使われている言葉でもなさそうだ。だとすると、あまり意味がない表現なのかもしれない。

「データ分析」を使わずに表現する

「データ分析」を使わないのであれば何を使うか。アウトプット(つまり、責任範囲)から話をするのが良い、というのが筆者の主張である。アウトプットを分けてみると

  • 提案:ある課題に対しての具体的な施策

  • インテリジェンス:特定の意思決定に使えるように処理と洞察を行った情報

  • データ:インテリジェンスではないすべての情報

の3つに分かれると考えられる。これらの詳しい話は「データ分析」の3つの仕事を整理するを参照のこと。

インテリジェンスとデータは合わせて「情報」と呼ばれる。なので「提案(あるいは企画)」と「情報」の2つに分けることも考えられる。

本来は2つで考えるのが自然なのだろう。しかし、現状ではインテリジェンスの存在があまりに希薄であり、2つだと「情報」=「データ」になってしまう。なのでインテリジェンスの存在が希薄である、という認識を持つためにも3つにしておく方がよいと考える。

「データ分析」を主語にするのをやめよう

「データ分析」は漠然としており混乱を生みやすいので主語にするのを止めてみるのはどうか。ちょっとした雑談や日々流れてくる情報をその都度「この”データ分析”はどんな意味でいっているのだろうか」を考えなければならないのは大変だ。

さらに言えば、現状の「データ分析」は「インテリジェンス」がなく「提案」と「データ」のどちらかとなっているところが大半だ。なのでまったく別の話を「データ分析」でくくっている。これでは話がかみ合わなくなるのも当然だ。

このことに気づいて以来、「データ分析」という言葉はできるだけ使わないようにはしている。しかし直接じっくり話をする場合はともかく、日常ではいちいち説明してもいられないので「データ分析」を使ってしまいがちなのは反省している。

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