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大企業の5割がキャラを持っているタイで今アツい企業キャラ事情

初めまして、クオンタイ代表の奥川です。タイに15歳の時から住んでいて、人生のほぼ半分をタイで過ごし、正直自分はタイ人なのかもしれないと最近思ってますw。(生まれは横浜です)

タイの支社に着任して3年、年間の9割を東南アジアで過ごし、顧客は東南アジアのローカル企業が8割を占めてます。

主に自社キャラクターの展開やSNS上での企業プロモーションを行うSNSマーケティング事業を行なってきました。

東南アジアのキャラクター市場はまだ小さく、商品化は一部の超有名キャラ(サンリオ、ディズニー、ユニバーサル等々)のみ。そのほかは輸入品を、限られたファンが通常より高い値段で購入する程度で、日本でよく見かける企業とのタイアップを見る機会は殆どありませんでした。

これはタイに長くいて感じたことですが、年代が上になればなるほど「キャラは幼稚なもの」という認識が強く、彼らがまだ決裁権を握ってるので、ライセンスの案件は決まりにくいのかなと。

ですが、タイでは企業のキャラ起用がこの3年でかなり活発化して、多くの企業がキャラとタイアップを行なっています。

200万人フォロワーいるタイ現地キャラと企業の漫画コラボ画像1

ワンピースと銀行のATMカードコラボ画像2

電車ICカードとガンダムのコラボ画像3

セブンイレブンとサンリオのポイントキャンペー画像4

セブンイレブンとリラックマのポイントキャンペーン画像5

携帯キャリアのキャラと現地キャラノベルティコラボ画像6

このようにいろんな形でタイアップコラボが行われる中、同じくして爆発的に増えたのが、日本で一昔前に流行った、企業キャラです。 
上場企業TOP50社の半数は既にキャラを持っており、そのほかにも行政キャラや中小企業キャラなど細々したものも合わせると数百体はタイに企業キャラが存在してます。

元々、キャラは幼稚と思われていると思っていたので、この広がりは意外でした。

タイで企業キャラが流行ったきっかけはいくつかあると思いますが、大きなきっかけの一つはLINEスポンサードスタンプ。公式アカウントにフォロワーを一気に増やせるため、多くの企業が自社キャラを作り、こぞって実施しました。

いくつかタイの企業キャラの成功事例を紹介します。

日本式に学んだ企業キャラ

BBQ Plazaのバビゴン(英語名: Barbgon)はタイ式焼肉チェーン店の企業キャラとして30年の歴史があります。ただの置物として店頭に置かれていたドラゴンの置物は、日系の広告代理店が入り2008年にデザインの一新がされ、今までに無かったキャラの世界観構築をもとに多角展開が行われてきました
今ではBBQPlazaに誘う際に「バビゴン食べに行こう」のフレーズをよく耳にします。画像7

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見ていて、うまいなと思う点としては、「話題作り、SNS展開、着ぐるみ」の3点です。

話題作りにおいて一番インパクトがあったのは旧デザインから新デザインへと移行したタイミングに行われた施策です。

この施策は「ある男」が全国のバビゴンを盗み出し壊すというもので、
なんとか最後に残った1体は無事救出され、蘇生施術の末、新たなBabgonに生まれ変わるというストーリーです。

TVCやYoutubeで「ある男」の犯行声明を流したり、最後の1体の救出劇がバンコクの中心地で行われたたり、かなり人目を集めたイベントでした。
ただ単にデザイン変えるだけなのに仕込みがガチすぎて引くレベルだなと思うぐらいです。
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SNSではコンテンツを通し、世界観や設定を伝えつつ、一般的にはサポートが返答を行うFBのコメント欄でバビゴンとして直接会話する施策を打ち出したことによりバビゴンとユーザーの親和性が非常に高くなりました。

バビゴンはただの置物ではなくオンライン上に実際に存在し、コミュニケーションが取れるものという考えをユーザーの思考にすりこむことができたのだと思います。

結果的にバビゴンと話すことを目当てにしたコメントは絶えず、現在ではFBページに90万人以上のフォロワーがいます。

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そして最後に、着ぐるみですが、デザイン一新した数年後に制作されました。

日本製の高品質なもので、制作中の一部始終をストーリー仕立てにし、まるで現実世界にようやくバビゴンが生まれましたと言わんばかりの演出が紹介動画で見れます。

デビュー後はくまモンのように社内での役職をもらい” CEO - Chief Enjoyment Officer ”として人々の幸せを作るミッションを持つ役職に着任してます。

これは言ってるだけでなく、のちにCSR活動などに結びつけるための付箋であり、非常に考え込まれた日本っぽい展開の仕方だと感じました。

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お話ししたポイントは彼らの成功のごく一部分ですが、こうしたキャラクターの世界観や背景設定をユーザーに伝えるためのタッチポイントをいくつも用意し、継続的に発信してきた結果、今の愛される企業キャラへと生まれ変われたのかと思います。

100万回再生を記録した着ぐるみ企業キャラ

続いてはアユタヤ銀行のバナナのキャラクター、クルアイクルンシー (英語名:Kluay Krungsri 、タイ語名: กล้วยกรุงศรี)です。着ぐるみから始まったキャラで、一番バズった動画はFB上で100万回以上再生されていて、流行った理由は銀行のキャラとは思えないほどに狂ったダンスでした。

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キャラに限らずタイでバズるコンテンツには共通点として、ぶっ飛んだコンテンツほど流行りやすい

日本だと企業イメージ諸々でやりにくいことでもタイでは流行ったもん勝ちなので、許されます

もちろん、狂ったダンスばかりしてるわけではなく、きちんとエンタメとして楽しめるコンテンツも配信されています。最近話題になったのはクルアイクルンシーの日本旅行でした。

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タイでの企業キャラにおける致命的な問題

今回挙げた事例はタイの中でも優秀な企業キャラです。実は多くのキャラが彼らのようにうまく展開できているわけではなく、それには理由があります。

冒頭で多くの企業キャラはLINEスポンサードスタンプがきっかけで作られたと話しましたが、当時の彼らの目的はとにかく早くスタンプを作り、フォロワーを稼ぐことだったので、キャラをただのデザインとしか認識していなかったのです。

日本で企業がキャラクターマーケティングを行う場合、スタンプだけでなく幅広い展開が行われ、キャラクターの世界観や設定は基本どんなキャラにも大なり小なりあるものです。

しかし、この時期に作られたキャラはフリーランスが数千円~数万円という安価で作った中身のないキャラが多く、スタンプ展開後には殆どが定着せずに消えて行きました。

最近、企業キャラ関連でご相談お受けする際によく言われることは、

とりあえず作ってしまい、コンテンツの企画・制作が出来ない。

これが一番多いです。

色々ヒアリングしてみると、ヒアリングできるほどキャラに関しての情報が出てこない。それもそのはず、あるのはスタンプに使ったいくつかのポーズかデザインのみなのですから。

その状態でコンテンツ考えろと言われても出来ないことはないでしょうが、おそらくすぐに限界が来る。中身のないキャラは展開が非常に難しいという結論です。

クオンタイ としてのソリューション

僕らは今までに自社のキャラを展開し、企業のSNSのマーケティングも行なってきた経験から、SNS上でキャラを上手く展開していくノウハウを持っています。

設定や世界観など、無いものは後付けでも作る。
それに沿って人格を形成しユーザーとコミュニケーションに励む。
コンテンツは着ぐるみがあれば動画、なければイラストや4コマ漫画などを用いてストーリーを読み知ってもらう。
たまにタイムリーなトレンドネタを挟み多種多様なコンテンツを試すことで、どのようなコンテンツが受けやすいかノウハウをためていく。

この運用方法は企業キャラのSNS展開でも変わらないと考えてます。

企業キャラが真の力を発揮できるのはユーザーがキャラを本当に好きになった後なので、僕らはキャラをまず定着させるためのプランと実行を提供しています。

3ヶ月で300万リーチ、120万エンゲージメントを作る

企業名は出せませんが、某エネルギー会社の上場企業で12年の歴史を持つキャラのSNS展開をお願いされ、今までやってきました。
元々認知度はあったのですが、運用チームのSNSでのキャラ展開に対するノウハウがあまりなく、コンテンツの企画やクリエイティブを作ることに悩んでいました。

我々が入り、1からFBページの戦略設計、コンテンツの方向性、運用、制作まで一括でお受けしました。
主に4コマ漫画とインフォグラフィックスをメインとした、キャラのストーリー紹介と世界観の共有を行い、隔週でいいね数増加用のキャンペーンを行ないました。

結果、3ヶ月で300万リーチ、120万エンゲージメントを達成し、フォロワーはほぼ広告なしで3万人集めることに成功しました。

今後の展開

新しいことに挑戦し続けたいと思っています。コンテンツは時代と共にフォーマットもどんどん変わります(今やTIKTOKの15秒動画が普通だったり)。
SNSだけに限らず、多種多様なテクノロジー(vtuber、AR、着ぐるみなど)を屈指して、タイで死にゆく多くのキャラクターを助けていくことができれば、もっと企業キャラが定着していき、最終的に僕の目標である日本のゆるキャラグランプリならぬ、タイゆるキャラグランプリを実現し、東南アジアに広げていくことができるのではないかと考えています。


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