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Roxy Music - Siren

ずっと以前にも、何気なくブライアン・フェリーやロキシー・ミュージックを耳にしたことはありました。そのときには、このフェリーという人は何か疲れた顔をしているなとか、なぜタキシードを着ているのかなという他愛もない感想を持っただけでした。肝心の音については、あろうことか、何かかったるいなと感じた覚えもあります。特定のバンドやジャンルに入れ込むと、忠誠心というわけでもないのでしょうが、他に見向きもしなくなるのが嘗ての私でした。

ところが、半年ほど前、やはりたまたま「スレイヴ・トゥ・ラヴ」を聞いたところ、いっぺんにブライアン・フェリーのボーカルのファンになってしまいました。適度にダンサブルな楽曲にその妙に色気のある歌声が乗ってくる格好よさに胸を打たれました。

それで、その後は作業中によくブライアン・フェリーやロキシー・ミュージックを流していたのですが、ある日、このSirenというアルバムをかけていて、はっとしました。私が引き続きブライアン・フェリーのボーカルのファンであることは間違いのない事実ですが、いつしかその歌声を背景に置いて、耳はベースを追っていました。私がもしベーシストだったら、こんな音色を作りたいと思うベースの音――とても心地よい音が適切に、欲しいところに鳴ってくれる。そんな感じです。

いやあ、シックですね。このベーシストは、ジョン・ガスタフソン(John Gustafson)といい、既に2014年に72歳で亡くなったとのことです。ロキシー・ミュージックで彼がベースを担当したスタジオアルバムは、ストランデッド(1973)、カントリー・ライフ(1974)、そしてこのサイレン(1975)の3枚。どれを聞いても頷きたくなるところが多く、首が忙しいやら、痛くなるやらで実は作業中には向きません。

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