しじんのはか

詩「しじんのはか」


おとこにもおんなにも
こどもにもおとなにも
ぜんにんにもあくにんにもなれるこころを
しじんはかみのうえにさかせていきる

ゆえに
はいゆうがしをかくことはたやすいかもしれないが
はたしてかくことでうたえるだろうか

しじんは
〈こころというものにかたちがあったのなら
 このゆびでふれたのに〉
などとかきとめておきながら
ことばがことばというかたちをしていることを
あわれにおもっている

しじんは
はかのかたちがそこはかとなくむなしい

しじんでないあなたは
しじんにいいはなつだろう
へいぼんなこうまんさで
おもちゃをなげるように

「あなたにこころはないの
 くうきとおなじなのね
 あなたのなかみはからっぽ」

そうすればしじんはきっと
あなたというかたちのあわれさを
かきとめてくれる


(2012年8月ブログ「NёüT♴」にて発表)

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