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貫を入れる 伝統構法について(2017/5/29)


僕がこの度建てている家は、「伝統構法の家」です。
なぜこの構法を選んだかというと

・身体に悪いものは使いたくない
・なるべく土に還る素材でつくりたい
・身近にある材料でつくりたい
・でも丈夫なものがつくりたい
・自分で補修や点検ができるつくりにしたい

動機は単純にそんなものです。
それを満たす方法を突き詰めると、結局は昔から行われている(現代は激減している)伝統構法に行き着きました。

僕が解釈している伝統構法の特徴とは、

・躯体となる木材を、「仕口」と呼ばれる細工を施して、噛み合わせたり差し込んだりして木を組んで強度を出す「木組み」の家。
・石を据え、そこに柱を乗せるだけの「石場建て」の家。地面と家とが連結されていない。
・貫と竹小舞を下地にして寝かせた土を塗って壁とする、「土壁」の家。
・木と竹と 土といった自然素材で構成する、「呼吸」する家。
・基礎コンクリートを打ち、そこに金物や筋交いを用いてガッチリと固定する「耐震」の家に対して、石場建てと貫構法、そして木組みの粘りによって、揺らすことで地震の力を逃がして家を守る、「免震」の家。

そのような感じです。
日本人が脈々と受け継いできた、日本の風土に適した、自然の摂理に沿う理にかなった家。

対して現代の家とは、人の身体や環境への配慮よりも、施工性や生産性を追求した、経済優先の中から生まれた新建材や工法で作られる家。
どんだけ人体に害のあるものを使おうが、どんだけ環境を破壊しようが、少しでも「お金が儲かる」ほうを選ぶ。
さらにはそのためにわざと傷みやすい家にするなんて…。

いくらお金が多くあっても、命や環境を害してしまっては、なんの意味もなくなるのに、不思議なもんですね。

建築に限らず、この経済優先の現代社会では、ほぼすべての物事に共通することだと思います。本当に大事なものはどっちなのか、手に入れたいもの、失いたくないものはなんなのか。冷静に考えれば答えなんて決まってます。

けど、分かっているのに止められない今の世の中。
なんとか抗い、立ち止まり、方向転換していきたいですね。

今回貫に使った材の寸法は、幅が6分(18mm)成が4寸(120mm)のものを使っています。
長さが4mの材と3mの材を用意して、適宜必要な寸法に切りながら行いました。

この材のサイズの材に対して、貫穴の幅は少し大きめの7寸(21mm)に掘ってあります。これは貫を入れやすくするため。
最終的に貫は楔を打って固定するので、縦方向は、120mmの材に対して、135mmで穴を開けています。

刻みの時に行っていたコレですね。
あらためて。これはチェーンノミという機械で掘っています。

こういった形に収まります。

この作業はさすがに一人では厳しく、度々手を貸してくださる村の区長さんの元生さんに、手伝ってもらいました。
2人がかりで貫をしならせ、木槌で叩きながら少しずつ入れていきます。
けっこうキツいです。

柱に傷がつかないように、柱カバーを当てながら行います。

無事、貫入れ完了です。これは西面。

北面。

東面(玄関側)。


この後、楔で貫をがっちりと固定し、仮止めしている筋交いをはずします。

うむ、また少し、進んだ気がします!!


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