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「あなたがリーダーになったから、私たちはリーダーって呼ぶんだよ」


前の投稿で、プレーヤーとして生きてきた新卒が、社内ビジコンを機にチームリーダーとして苦戦する様を書き記した。

今回はその話の続きである。

ビジネスプランを詰めよう!ということで右も左も分からないままに進むものの、明確な戦略がなくリーダーとしてうまくチームメンバーに指針を示せない日々が続いた。

ファッションなんて全く分からないし、そもそも合計2回しか自分で服を買ったことがない。そんな自分が単に知的好奇心から、ファッション関連のビジネスプランに取り組んでいた。

それまでは「こんなプロダクトがあったら良いなあ」という空想から出発していた為、現実的なものに落とし込むべく想定のターゲット層に深くインタビューをすると、次々と自分たちの課題や限界が見えてくる。


そんな調子なので、チームのモチベーションも下がってきてしまい、ミーティングを設定しても自分の他に1人しか参加しない事態が続いた。

社内ビジコンの運営事務局に自分たちのプランをまとめた書類を提出しなければならないのだが、その3日前にもプロダクトはうまく定まっていなかった。

焦る新卒は、なんとか自分で事態を巻き返そうと本業そっちのけで取り組むのだが、どうも頭が働かずこれまでの議論の堂々巡りが始まってしまう。

そんな中、自分の中で限界がきた。

知的好奇心さえ満たされていればよかったのに、今や全く楽しくないのである。

良いエネルギーをもたらした責任感が義務感に変貌し、圧迫感をもたらしてくる。自由人な新卒が一番嫌いな感情を、毎日のようにひしひしと感じていた。

ここで、友人に感謝しなければならない。

「素直にSOSを出しなさい」とアドバイスしてくれなければ、自分はそのまま自爆していただろう。

自分のプライドが高いのはよく知っていたが、それよりもこのプロジェクトを完成させたかった。やっていた仕事を途中で投げるのは逃げだと今まで思っていたが、それでも構わなかった。

そうして、「もう1人でやるのは無理です。皆様のお力が必要です。休日一緒に作業出来ませんか?」とはっきりとSOSを発信した。

そうすると、驚いたことにチームメンバーが次々と自分の空いてる時間を返信してくれ、今までにない団結力が生まれたのを感じた。

やっと、自分が自分のこだわりを捨てたことで、別の方向に向き始めていたチームメンバーがこちらを振り向いてくれた。

今までは遠隔参加でミーティングを済ませていたけれど、今回は自分からメンバーのいる拠点に赴き、対面でプロダクトについて話し合った。

その結果、自分が考える以上に色々な話が引き出され、プロダクトが今までよりもずっと良い形に仕上がってきたのを感じた。

やはり、素直であることは大切だった。素直に自分の限界を伝え、チーム一人一人の力が必要であることをしっかり言葉で伝えることが何よりも大切だったのだ。

その後、一緒にご飯を食べたときに、自分が思っていたよりメンバーはこのチームに期待していることが分かった。あんなにグダグダやいざこざがあったにも関わらず、可能性を感じてくれていた。

そして、一番胸にくる言葉があった。

「リーダーっていうのは元から決まっていなかった。あなたがリーダーになったから、私たちはリーダーって呼ぶんだよ」

最近ずっと、リーダーとはどうあるべきか考えていた。名ばかりのリーダー、もはやリーダーにさえ向いてないと思っていた。しかし、相手はリーダーだと認めてくれていた。自分の空回りばかりの努力を認めてくれていたのだ。

近日感じた苦しさが、その一言をもらえただけでいっぺんに報われた気がした。

その一言があるからこそ、また楽しくなってきたし、もっと頑張ろうと思えてきた。やはり、メンバーありきのリーダーなんだな、としみじみと心の中で思う。


こんな頼りないリーダーだけれど、何があってもこのプロジェクトには責任を持って、進めるところまで突き進む。審査に向けてあと数日間、悔いがないよう精一杯頑張ろうと思えた1日だった。

先輩方からアドバイスやサポートをいただけると新卒は飛び上がって喜びます。