培養肉、藻類、微生物の食糧としての実力は?

培養肉や藻類、微生物を食料にしよう、というブームがここ数年続いている。私は研究は続けたらよいと考えている。その中から画期的な成果が突如として生まれる可能性があるから。でも、私たちの腹を満たす食糧として考えるなら、現時点では難しいように思う。エネルギー的に大赤字になるだろうから。

これらを培養するには、微生物がいない状態(滅菌)にしなければならない。滅菌は通常、120℃の加熱処理を行うので、かなりのエネルギーが必要。また、培養液も滅菌しなければならない。液体を熱滅菌するのはとてもエネルギーが必要。このため、エネルギー的にかなり赤字になる恐れがある。

100kcalのエネルギーを消費して50kcalの食糧しか作れないのなら、エネルギー的に赤字になってしまう。培養肉や藻類、微生物はこの手の話が多い。このため、エネルギー的に黒字が困難。

もし滅菌せずとも、他の微生物の混入(コンタミ)があっても培養できるようになったら、画期的。熱滅菌する必要がなくなり、その分エネルギーの消耗が減り、エネルギー的に黒字になる可能性が出てくる。けれど、私が聞く限り、これに成功した事例は一部藻類を例外として、聞かない。

雑菌まみれの中では培養できないとなると、エネルギー的に黒字の食糧は生産できない。「培養~」というのは、そうした問題がある。だから、食糧問題の解決になるか?と尋ねられれば、「現時点ではまったくめどが立たない」と答えるしかない。
ただし。面白い技術がそれらから生まれる可能性はある。

ビタミンが無茶苦茶豊富とか、お薬になるような成分をたくさん作るとか、そうした技術がそこから生まれてくる可能性があるから、研究自体は盛んに行うとよいように思う。ただ、食料問題解決の重要な候補か?と聞かれると、その可能性は低い、というしかない。

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