増床要請の批判の矛先は

「病床を増やしてくれ」という自治体からの要請(増床要請)は現実には効果がないばかりか、空きのベッドがあることで「受け入れ余力があるのに受け入れない」と、医療関係者が怠慢であるかのように捉えられ、批判される問題があり、弊害が大きいように思う。

増床要請は、自治体の長である知事に二つのメリットがある。病床の数を増やせば仕事した感が出せること。病床の空きがあると批判は医療者に向けられ、知事は批判されずに済むこと。どちらかというと後者の狙いの方が強いかもしれない。実際、批判は知事よりも医療者の方に向いている。

病床を増やしても、対応に当たる医療者の増員がままならず、受け入れ余力を増やせないということは何度も報道されている。なのに病床に空きがあるということで「お金をもらってるのに受け入れないのはけしからん」と、批判の矛先が医療者に向かう構造。知事はお金で批判から逃げられる。

知事はそんな姑息な方法で批判の矛先を医療者に向けるようなマネはやめ、医療者が前向きに取り組めるお金の出し方を工夫してはどうだろう。正直、増床要請は構造から見て知事が卑怯に見える。もっと医療者と市民に寄り添ったリーダーシップを発揮して頂きたい。

以前からこの構造には気がついていたが、ようやく言語化できるような気がしたのでまとめておく。

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