化学農薬は今後も安価に手に入るのか

先日、日本は高温多湿で病害虫が多いから化学農薬を手放せず、欧米中国で有機栽培が盛んなのは乾燥冷涼な気候で病害虫が少ないから、という事情を書いた。https://note.com/shinshinohara/n/n65d774b2bd3d
そんな病害虫についてシビアな日本でも、化学農薬の使用を控える技術を開発すべき時期に来たように思う。石油など化石燃料が高騰してるから。

化学農薬が安価に買えるのは、石油化学というシステムが機能してるから。石油化学では、原油を加熱してガソリンや軽油、重油などを分離し、様々な化学製品を作る原料としてナフサを製造したりしている。その量は膨大で、化学農薬を製造する際の原料も安価に手に入れることができる。

しかし今後、石油の入手が困難になると、化学農薬を安価に合成できるシステムが維持できるのか。天然ガスを改変してナフサを製造する技術もあるらしいけど、石油から作るほど安価にできるのだろうか。

太陽電池や風力発電でエネルギーを得たとしても、石油のように化学農薬の原料を提供することはできない。木材など天然原料も、化学農薬の原料にするにはちと難しい。石油化学に変わる工業システムを再構築することは容易ではない。

石油化学という産業システムが下火になっていくと、化学農薬の製造も難しくなる面が出てくるだろう。安価に製造することは難しくなるように思う。石油はエネルギーとして優れているだけではなく、化学製品の原材料として非常に優れ、かつ大量・安価だった。こんな材料はほかにない。

石油減耗時代に、これまでのような安価な化学農薬を提供し続けることができるか、安易には考えられない。化学農薬をろくに使えない時代が到来することも覚悟した上の農業生産技術を開発せねばならないかもしれない。

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