貧しさ故に結婚できない時代、再び

昔の人はみんな結婚したと思われがちだけれど、日本に重工業が発達する前は、長男しか結婚できない状態だった。農家の次男坊以下、嫁ぐことのできる娘以外は町に出稼ぎに行き、実家の経済を支えた。なぜこの人たちは結婚しなかったのか?あまりにも低収入だったから。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD11D7P0R10C23A7000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1691523268

日本で次男坊以下が結婚できるようになったのは重工業が発達し、家族を養える収入が得られるようになってから。もともと結婚できるとは思えなかった人が結婚できるようになったという反動が、「結婚はみんなするもの」という常識にまで育った様子。けれど日本に軽工業しかない時は無理だった。

いま、若い人が結婚できないと考える大きな原因は低収入のように思う。大阪では関関同立を出ればそこそこの収入の仕事に就けたのに、働いて数年になっても手取り16万という。これでは貯金しようとすると実家暮らしでもないと無理。そして実家暮らしだと結婚へのハードルも上がる。

若い人たちのあまりの給料の低さが、結婚をためらう大きな原因になっているように思う。給与水準を上げないことには、結婚する条件がそもそも整わない。

現代は昔よりもっとひどい状態と言えるかもしれない。長男でも結婚できないから。昔は長男だと実家の家業があり、長男であればその仕事を引き継いで食べることができた。だから家族も養えた。しかし今や長男も低収入の勤め人。これでは結婚できない。むしろ親の世話もセットだから余計厳しい。

竹中平蔵氏による、国民低収入化の社会デザインは、徹底して国力を削ぐ政策になっているように思う。返す返すも残念。

文献は
・鬼頭宏「人口から読む日本の歴史」
・暉峻衆三「日本農業100年のあゆみ」

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