石油は埋蔵量ではなくEROIで考える

私が小学生の頃、石油は30年で枯渇する、と言われていた。しかし中学生になっても、高校生になっても、そして大学生になっても、ずっと30年後に枯渇、で、どんどん先延ばし。このままずっと先延ばしにできたらいいのに、などと私は思う。

実際、石油埋蔵量(推定)は1兆7,324億バレル。これは2020年の石油生産量の53.5年にも上る(※ただし2020年はコロナ禍で極端に石油消費量が落ちた年)。これだけあるなら安心だし、新油田も発見されるだろうし、石油採掘技術も進歩するだろうし、心配ないんじゃない?と考えたくなる。

ただし。石油を採る効率が年々悪化していることに注意が必要。中東で石油採掘が始まった時は、噴水のように石油が吹き上げていたこともあり、採掘するのに要するエネルギーの200倍も石油が採れたという。しかし、シェールオイルになると、その効率は10倍を切るように。

石油採掘に要するエネルギーと、採れた石油のエネルギーの比率をEROIと言うけれど、その数字がどんどん悪化している。このEROIが3を切ると、エネルギーとして意味がないという。ガソリンなどに加工するにもエネルギーが必要なので、エネルギー的に赤字になるから。

たとえ埋蔵量が多くても、EROIが3を切るとそんな石油はエネルギーとして役に立たない。EROIが悪化するばかりの石油資源は、このために「座礁資産」化するのではないかと資本家から恐れられている。投資しても儲けを回収できない資産になりかねない、と。

石油資源を考える際は、埋蔵量ではなくEROIで考える必要がある。投資しても儲からないエネルギーになりつつある石油は、いつ資本家からそっぽ向かれるかわからないエネルギーになりつつある。石油を採掘するには、設備投資が必要なのに集まりにくくなっている。

そんなところから、石油は採れづらくなりそうな気配。埋蔵量だけで考えていると、足元をすくわれる恐れがある。

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