立憲民主党の地すべり的勝利は馬場代表(維新)のおかげ?

今回の補選の立憲民主党の地滑り的勝利は、自民のガタガタぶりも大きいけど、維新の馬場代表による「ナイスアシスト」がかなり効果的だった気がする。
馬場氏は野党でありながら、与党である自民党を批判するのではなく、やたら立憲民主党にばかりかみついていた。これは裏メッセージとして、

「野党第一党の立憲民主党を叩き潰すのは、我々維新にお任せあれ」と、自民党に秋波を送っていると見られても仕方なかった。私はそう感じたし、自民党もそれを感じ取っていたのではないか。立憲民主党を叩き潰し、安倍政権とも蜜月だった維新ならば、連立を組んだとしても、

忠実な番犬になってくれるかも、と、自民党の中で期待が高まることを、馬場代表は狙っていると私は感じた。そう感じた人は少なくなかったようで、ニュースのコメントにも、「第二自民党」などと書かれているものが少なくない様子。

なぜ馬場代表はこんな愚かなメッセージを乱発したのだろう?おそらく、安倍政権が健在だったときの「成功体験」が邪魔したのだろう。安倍氏は首相在任中、やたらと旧民主党を批判し、民主党政権のことを悪夢のように表現し、それで人気を博していた。馬場代表は安倍氏のその口ぶりをまねたのだろう。

しかし、旧民主党や立憲民主党を叩いて人気を得るという魔法を使えるのは、安倍氏が生きていたからだということを馬場氏は忘れている。ただ、安倍氏が生きていたころの成功体験を忘れられないのも無理はない。何しろ維新幹部は安倍氏と内実、一心同体だったのだから。

馬場氏はついつい、安倍氏健在の時の思い出のまま、立憲民主党を攻撃すれば維新人気は上がる、と勘違いしてしまったのだろう。しかしその方法がうまくいったのは、安倍氏の神通力があったから。安倍氏がいなくなった今、それで上手くいくはずがない、ということに馬場氏は気づいていなかったのだろう。

与党自民党を攻撃せず、立憲民主党ばかりを攻撃することで、結果的に「維新はやはり第二自民党なのか」「ああやって自民党に秋波を送っているんだな」「こんな不祥事を起こしている自民党に秋波を送る維新って何?」という印象を広げるのに、馬場氏の発言は素晴らしい効果を示したものと思われる。

立憲民主党は、馬場代表のこうしたナイスアシストのおかげで、地滑り的勝利を得たものと思われる。そういう意味では、立憲民主党の実力というより、「敵失」な気がする。自民も維新も自滅してくれたおかげで浮上した感じ。まあ、運も実力のうちなのかもしれないけど。

維新が最も輝いていた立ち上げの時期から、私は「安倍党」だと感じていた。もちろん、維新に議員として参画してる人たち、応援してる人たちにそのつもりはないかも知れないが、橋下氏、松井氏、吉村氏の3人は、野党の立場から安倍氏をサポートするつもりで維新を立ち上げたのだと私は見ている。

安倍氏は一貫して、維新びいきだった。一度も敵視したことがない。そうしたことからも、安倍氏と維新幹部三氏は、連携してことに当たっていたのだろう、と私は考えている。しかし安倍氏が亡くなったことで、松井氏は目標を見失ったのだと思う。だから政治から身を引いたのだと私は感じている。

吉村氏はまだ若く、維新は高い人気を誇っているから、「安倍党」という旧来の「使命」をいったん忘れて、政権取りに行く党として再出発を図ることにしたのだろう、と私は見ていた。しかし馬場氏は、いまひとつそうした方針転換が腹に落ちておらず、「安倍党」の時のクセが抜けていなかったのだろう。

「安倍党」の意識を馬場氏が脱却できなかったあたり、風を読むセンスがなかったように感じる。馬場氏はこうした情勢分析ができるだろうか?それができないなら、今後も同じ失敗をやらかす気がする。

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