非農業と農業のタッグ

日本では、農業と非農業が反目し合う形になりやすい。農家は補助金をたんまりもらっているんだろう、と思われたり、非農業は農業の苦労をわかっていないと思われたり。自分たちより得をしている、ズルをしている、楽をしていると思ってるフシがある。しかし、そんないがみ合いをしてる場合ではない。

日本で唯一戦えていた世界産業、自動車産業が激変する気配。電気自動車になれば部品が減り、下請け企業は仕事を失うと言われる。トヨタなどでなくても電気自動車なら作れるという。自動車自体の台数も自動運転の普及で減るという。日本が世界に売ることができる製品を失うことになる。

状況としては明治維新の頃に似る。当時、日本は売るものがろくになかった。米や茶など農産物、多少の工芸品を輸出するくらいで、圧倒的な商品というものを持たなかった。そんな中でも日本は西洋列強に飲み込まれまいと、必死に売るものを探し、開発を進めた。

これまでは、自動車産業が儲けてくれ、それで大量の食料を海外から輸入することができた。しかしいよいよ、売るものがさしてない状態になる。そんな中でどうやって海外から食料を調達すればよいのか?非農業も必死の努力をしなければならないことになるだろう。

農業は、非農業が稼ぎきれず、海外から食料を輸入できなかった分を、国内生産して補う必要がある。農業の頑張りが非農業を支える。
非農業が頑張ると、どうしても国内農業だけでは力不足な分、食料を海外から輸入できる。農業と非農業は補完的役割となる。

農業はできるだけ食料をたくさん作ることで非農業の負担を軽くし、非農業はできるだけ海外から稼ぐことで食料を輸入し、農業の負担を軽減する。こうした相互補完関係になる。これからの日本は、非農業も食料安全保障の一翼を担う意識を持たざるを得ないだろう。

農業は非農業に「負担を軽くしてくれてありがとう」、非農業は農業に「負担を軽減してくれてありがとう」、そんなふうに支え合い、助け合う必要が出てくる。今後の日本は、農業と非農業が反目し合うのではなく、互いに健闘をたたえ合う関係へとシフトしていく必要があるように思う。

たとえ非農業の、食料に関係ない仕事に思えても、それが日本社会を支えるものであるなら、食料安全保障の一端を担っていると言ってよい。農家であろうと非農家であろうと、食料安全保障は一人ひとりの力で成し遂げるものだと思う。

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