見出し画像

NFTクリエイターサポートプログラム③NFTのコミュニティ

6月8日に渋谷109にてクリエイターを対象に、metaとシンセカイテクノロジーズが運営する"クリエイターレーベルcryptex"共同開催のワークショップイベント「42’LABEL’」のイベントが行われました。5月から3ヶ月にわたるクリエイターをサポートするプログラムがスタートしました。

今回のゲストはシンセカイテクノロジーズCOOのTOMOさんに来ていただきました。

今回は「NFTのコミュニティ」というテーマでコミュニティの作り方、育て方についてお話いただきました。実際にイベントに来場された方々の声なども取材してきたのでぜひご一読ください。


「42LABEL」とは

meta×cryptexが主催する、初心者クリエイター向けにNFTを「知る」「持つ」「作る」「売る」という4つのステップに分けて全6回、年2回実施するワークショップ形式のイベント。NFTを制作する方法、コミュニティを盛り上げる方法などクリエイターが新たなスキルを学ぶことを目的としています。

metaがクリエイターの活動を後押しするための新たな拠点として2023年3月に運営を開始した渋谷109の8階にある「クリエイターコラボレーションスペース」で開催されます。

TOMO氏 https://twitter.com/tomo_web3
デジタルコミュニティを科学することで、商品やサービスの熱狂的なファンを創出し、お客様のコミュニティ戦略パートナーとして必要不可欠な存在を目指している。
アクセンチュアでITコンサルタントとしてキャリアを積み、2023年にシンセカイテクノロジーズのCCOにジョイン。

NEO TOKYO PUNKS遊戯苑など、さまざまなNFTプロジェクトのコミュニティマネージャーやアドバイザーの経験を活かし、高い再現性を持つコミュニティ構築や運用サービスを提供。一般社団法人「web3コミュニティ協会」の代表理事として、業界への貢献を目指し、職業の正常化や人材育成に取り組む。

コミュマネ、モデレーターの仕事

一般的にはモデレーターの上位職がコミュニティマネージャー(コミュマネ)と思われがちですが、全く別の職種になります。コミュマネは運営チームのマネジメント、コミュニティの改善など数字の目標をしっかり定めてプロジェクトの運営をコントロールしていく役割です。一方モデレーターはコミュマネがやろうとしている施策を最前線で実行していく役割です。例えるなら「コミュニティ内のインフルエンサー」ですね。web2では 最初にコンテンツがあってそれに熱狂した人がファンになっていきますが、web3では生きがいを伝えていくことが大事だと思っています。抽象的に聞こえると思いますが、これには理由があって、そこを日々研究しています。

コミュマネ、モデレーターの見つけ方

SNSを使って、フォロワー様から探すという形になります。現状ここが弱い部分で、求人サイトなどがないのでどうしても最初は人力で探すという状態ですね。ただ、1人コミュマネを見つけるとその人が別のコミュマネやモデレーターを採用してくる流れになるのでまず1人信頼できる人を見つけてお願いするのが良いと思います。また、コミュマネやモデレーターのモチベーションも大事になってきます。人件費がかかるとしても最初に運営が資金を保有しているプロジェクトは多くありません。その場合、プロジェクトに対しての思いや熱量が高い方でないと長く続かないと思います。なので運営がコミュニティに貢献していると感じられるようなコミュニティ設計をしていかないといけません。

web3コミュニティの特徴

web3のコミュニティでは「生きがい」が大事になってきます。好きで、得意で、必要とされ、稼げる。これらを満たすと「生きがい」へと到達するのですが、この中でも”必要とされること”については、コミュニティ側から明示的に伝えないといけない部分になります。主体的にコミュニティを楽しみ「生きがい」を感じる体験をするのが、web3コミュニティの特徴だと思います。

web3コミュニティの作り方

ビジョンや価値観の浸透と、活動余白のデザインの2つが重要になってきます。

web3コミュニティの定義として「同じ価値観を持つ人と主体的に活動する」というものがあります。なので同じ価値観を持っている人を見つける方法としてアートやNFT作品を用います。「この作品がかっこいい」「この行動はカッコよくない」などアートを通すことで簡単に分かります。なのでコミュニティに入ってくる人はあらかじめ価値観のフィルダリングが行われているので話が早いです。具体的な事例として、「新星ギャルバース」は少女アニメのような世界観、「NEO TOKYO PUNKS」などはサイバーパンクあふれる世界観でとてもわかりやすいです。また、太田雄貴氏がfounderを務める「Sports3」というプロジェクトではアスリートのセカンドキャリア問題をweb3の力を使って解決していくという価値観があるのですが、見てくれる人により伝わりやすいようにパワーメッセージと絵で価値観をわかりやすいような工夫をしています。

活動余白のデザインの部分では、コミュニティメンバーが自分から積極的に活動してもらうために心理的安全を示す必要があります。「こんなことやって怒られないか」「私ばかり話しすぎだと思われないか」など不安に感じると思うので全然大丈夫だということを伝えることが大事です。また、白紙の紙を渡されても動けないのである程度こういうことをしていくというガイドラインの設定が必要になってきます。例えば、共通のIPを使って夏をテーマにした絵を描く、などです。具体的にはリアルイベントを開催して皆で写真撮影するなどです。こういった施策で皆さんが自発的に宣伝してくれるのでやらされてる感がないんですよね。コミュニティの皆で盛り上げていこうという思いがより多くの方を巻き込んでいくことに繋がると思います。
また、ファンアートではただ単にIPの絵を描くのではなく、ストーリーとコラボレーションさせた作品なども面白いです。

web3コミュニティのツールはDISCORD

web3コミュニティのツールではDISCORDを使用します。
元々ゲームをしている方たちが好んで使用するツールで僕も使用したことがありませんでした。DISCORDの良いところはいろんなBOTを導入できるのでそのコミュニティにあったカスタマイズができるところです。オリジナルのスタンプも作成できたりするのでコミュニティのNFT作品のスタンプを作成して送り合ったりして楽しんでいますね。

熱量の多いコミュニテイができるまで

私が「NEO TOKYO PUNKS」を実際に運営していた体験から熱量の多いコミュニティができるまでには3段階あると考えました。

第1段階はコミュニティフェーズといって、推進チーム主導でコミュニティを立ち上げて様々な施策を打つことです。実際に行った施策としてはそれぞれの部署となるギルドシステムを構築してコミュニティメンバーが自由に楽しめる環境を設計しました。ですが、この状態では一方的に出したコンテンツを楽しんでもらっているだけの状態です。

第2段階はDAOコミュニティフェーズといって、ユーザーを巻き込んで推進メンバーと一緒に活動していくことです。
あるタイミングで私や運営メンバーが退くタイミングになったときにギルドのメンバーが「自分たちでやるしかない」と自発的に行動を始めたタイミングがありました。そこで生きがいを感じ出したメンバーが多くなって熱量が高まったんですよね。それは狙って出たものではなかったのですが、この気づきから今では推進チームとして入った後、コミュニティが脱皮しやすいような仕組みを構築段階から取り入れています。1番わかりやすいのは「学生時代のクラブ活動」です。高校2年生のときは先輩がいるので練習メニューや試合などでも先輩が活躍しますが、先輩が引退すると自分たちでやらないといけないし、活躍できるチャンスが増えるのでその感覚に似ています。今思うと、学校はとても良くできたコミュニティだと思います(笑)

第3段階はDAOフェーズとなり、ユーザー主導で主体的に活動をすることです。推進メンバーが何も言わずとも自分たちでイベントを企画したりしていくことになればとてもいいですね。

「NEO TOKYO PUNKS」で実際に起こった事例でいうと、山梨県とコラボして予算10万円でサイトを作るというものがありました。予算も納期も限られていたのでライトなサイトを想定していたら中間報告で10万円以上のものが出てきて、最終的に100万円相当のクオリティのサイトを作ってくれました。当然、山梨県側もとても喜んでくれてコミュニティ内でもとても盛り上がりました。サイトを作ってくれた人に聞くと、「普通にお金をもらっていたら制作しなかった。コミュニティのために頑張りたかったから制作した」と話していました。その人にとって生きがいという部分まで到達していたから起こった事例で私も嬉しくなりました。まとめると、「価値観を伝え、仲間と出会い、共に活動する」ということが大事になってきますね。

Q.熱量の高いコミュニティを形成する上で価値観を全体に上手く共有する施策としてどのようなものがあるか。

ボイスチャットで自分たちの価値観を共有する施策を毎週行っています。モデレーターの方に依頼して価値観の共有を繰り返し行っています。新しい方々が随時コミュニティに入ってくるので同じことを伝えています。

Q.コミュニティを第2段階に移行するという決め手は何か

私自身は「もっと成長したい」という思いがあって退任したので、タイミングは難しいですね。抜けるタイミングと考えると判断が難しいのですが、例えばNEO TOKYO PUKNSの場合、ギルドの数を増やしたりすることで調整し、新しい風を入れることが出来るのではないかと思います。やっぱり皆さん色々施策などをやりたいという思いがあるのでそこを理解してあげると上手くコミュニティが円滑に進むと思います。

Q.コミュニティが生まれやすいキーワードとは

一言でいうと、「自己実現」ですね。これだけ聞くと単純そうなんですけど、マズローの5段階欲求でも最も上位なのでこれをできるようにちゃんと実装していくことが重要になってきます。

Q.仲間作りで失敗しないためには

「価値観の擦り合わせ」です。コミュマネではあまりないのですが、モデレーターの場合だと就任してもらったけど、価値観が合わないときは交代してもらっています。それぐらい大事ですね。どうしてもNFTは投資的価値がつきやすいので投資のアドバイスが多くなったりして自分たちとやりたいことの方向性がズレてしまうと仕事を続けていくことがお互いストレスになってきます。コミュニティメンバーなら良いんですが、モデレーターの方とそういう価値観が合わないのは中々難しいのではないかと思います。モデレーターを依頼する前に価値観のすり合わせを入念に行っても実際に動いてみてやっぱり合わないということもあるので難しい部分ではあります。コミュニティからコミュマネやモデレーターを選ぶ場合は「NFTを購入しているかどうか」が判断軸として重要になってきます。ある程度のお金というハードルを乗り越えて作品を購入しているのは共感してくれているいうことなので1つの指標にはなります。

Q.コミュマネやモデレーターから声をかけられるパターンはあるか。また、声をかけられるためにやるといいことはあるか

これは実際にあります。おすすめは声をかけられやすいプロフィールにすることですね。私も最初コミュマネをするときは自分から声をかけていました。クリエイターさんのプロフィールは個性があってとても魅力的なので声をかけていいのかどうか迷っちゃうんですよね。なので「〇〇応募中」など声をかけやすい欄があると他のコミュマネやモデレーターも嬉しいと思います。

Q.コミュマネやモデレーターは顔出しをする必要はあるのか

Web3のカルチャーとして顔出しはしなくて良いという風潮があるので出さなくていいと思います。ただ、出したほうが信用度に繋がるとは思うので出したほうがメリットはあると思います。

参加者の声

参加者の方からは、「コミュニティの作り方や広げ方、なぜコミュニティが重要なのかがとても具体的にイメージできてすごく良かった!」、既にファンコミュニティを抱えているクリエイターの方も、「今回のお話を参考に、ファン同士のコミュニケーションの機会を作っていきたい」という声が多く、NFTプロジェクトを運営する上で欠かせない「コミュニティ」について理解が深まった声がとても多く聞こえました。

まとめ

「価値観を伝え、仲間と出会い、共に活動する」この言葉に集約されていると思います。多くの方が困っている仲間の見つけ方では「価値観」が同じかどうかが重要になってきそうですね。その1つの基準として自分のNFTを購入してくれているかどうかを見たほうが良さそうです。また、熱量の多いコミュニティを作るためには自分たちがあえて離れることで自発性を促すことに繋がるのでコミュニティの熱量が上がってきたと感じたら運営から離れてみましょう。

次回イベントについて

6/22(木)に「42LABEL」クリエイターサポートプログラム第4回目を実施いたしました!
第5回目は7/6(木)に開催予定です。
クリエイターサポートプログラムは全6回となっておりますので、最後までお楽しみに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?