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NFTクリエイターサポートプログラム⑥NFTのクリエイティブとコミュニティの未来

7月20日に渋谷109にてクリエイターを対象に、metaとシンセカイテクノロジーズが運営する"クリエイターレーベルcryptex"共同開催のワークショップイベント「42’LABEL’」のイベントが行われました。5月から3ヶ月間で全6回にわたるクリエイターサポートプログラムがスタートし、今回が最終回となります。

ゲストに、国内人気NFTプロジェクト「NEO TOKYO PUNKS」ファウンダー兼クリエイターのNIKOさん、初代コミュニティマネージャーでシンセカイテクノロジーズCCO・一般社団法人web3コミュニティ協会代表理事のTOMOさん、現コミュニティマネージャーでシンセカイテクノロジーズのSRさんに「NFTのクリエイティブとコミュニティの未来」をテーマにお話頂きました。

また、全6回のワークショップに参加したクリエイターによるNFTプロジェクトアイディアの発表も行われました。



NIKO氏  https://twitter.com/fukusta343

NEO TOKYO PUNKS Founder/Creator

元々は会社員として働いていたが、幼少期より抱いていた漫画家になりたいという夢を諦めきれず、LINEスタンプの販売などクリエイター活動も行う。その中でNFTに出会い、その技術的なおもしろさや、クリエイターとファンの近い距離感、収益を得られるというところに魅力を感じてNFTの世界での活動を始める。2022年4月にNeo Tokyo Punksをリリース。その後は会社員を退職し、IP事業を軸に本格的に活動を始める。

【作品】
THE WOLF NFT
BOX WOLF
META WOLF
NEO TOKYO PUNKS

岡崎智樹(TOMO)氏  https://twitter.com/tomo_web3

デジタルコミュニティを科学することで、再現性高く熱狂的なファンをつくるコミュニティグロースモデルを提唱。お客様のコミュニティ戦略パートナーとして必要不可欠な存在を目指している。
アクセンチュアでITコンサルタントとしてキャリアを積み、2023年にシンセカイテクノロジーズのCCOにジョイン。NEO TOKYO PUNKSや遊戯苑など、さまざまなNFTプロジェクトのコミュニティマネージャーやアドバイザーを経験。
一般社団法人「web3コミュニティ協会」の代表理事として、業界への貢献を目指し、職業の正常化や人材育成に取り組む。


新地 貴浩(SR)氏  https://twitter.com/SRKTK56

【経歴】
2010年3月  鹿児島大学大学院 理工学研究科機械工学専攻 修士卒
    4月  キヤノン株式会社 入社
       - プリンタ商品企画/プロジェクト推進
       - 新規事業企画推進
2023年4月  株式会社SHINSEKAI Technologies 入社

【web3歴】
2022年3月  NeoTokyoPunks NFTホルダー
     10月  Coincheck OASIS コミュニティマネージャー
     11月  NeoTokyoPunks コミュニティマネージャー

「42LABEL」とは

meta×cryptexが主催する、初心者クリエイター向けにNFTを「知る」「持つ」「作る」「売る」という4つのステップに分けて全6回実施するワークショップ形式のイベント。NFTを制作する方法、コミュニティを盛り上げる方法などクリエイターが新たなスキルを学ぶことを目的としています。

metaがクリエイターの活動を後押しするための新たな拠点として2023年3月に運営を開始した渋谷109の8階にある「クリエイターコラボレーションスペース」で開催されます。

NEO TOKYO PUNKS(NTP)とは

NIKO氏
2022年4月にリリースされたNFTプロジェクトです。当時国内では、大規模なジェネラティブNFTプロジェクトの前例があまりない状態でした。アイテム数が2,222枚、オーナー数が約1,200人くらいです。当時は0.03ETH〜0.05ETHで販売して、約2分で完売となりました。

世界観としては、近未来の東京をイメージしています。脳みそをデジタル化する技術を使って不老不死を手に入れようとする権力者と、それに対抗するスラム化された東京出身の少年少女たちのストーリーが主軸となっています。
「AKIRA」や「攻殻機動隊」のような日本のアニメが好きだったので、そこから影響を受けました。特徴は、2,222体全てが主人公となり、明確な主人公がいません。これは既存の漫画やアニメにない特徴です。

現在は、コミュニティと共創していくというところに挑戦をしています。ホルダー1人1人が主体的に関わることでIPを一緒に作れるというような世界観でコンテンツを作っていっているコレクションです。

2023年4月には、2ndコレクションとして「ROARS」もリリースしました。世界観の設定としては、NTPのキャラクター達の相棒となっています。NTPで熱い盛り上がりのコミュニティができたので、そこを拡大したいという狙いであったり、NTP自体の価格が上がっているため、もっと手軽にコミュニティに参加してもらいたいという想いがあり、ROARSを創りました。

ファンアートの盛り上がり

NIKO氏
NTPではファンアートが盛んに行われています。リリース当時から、NFT界隈のクリエイターの方々を筆頭に、作品やプロジェクトを作って頂いています。NTPのファンアートは販売もできます。こういったファンアートを通して、NTPの認知がさらに広がっていきました。これも、今までのIPにはない特徴かなと思います。

ファンアートがたくさん生み出されることの一つの理由として、やはりコミュニティの熱さがあります。現在、NTPのDISCORDには現在約8,400名が参加してくれています。DISCORD内には”ギルド”と呼ばれる、小さなチームみたいなものがいくつか存在するのですが、そのギルドロゴもメンバーが作成してくれました。

各ギルドの中で、ロゴを用いたグッズ等を作成して販売したり、ギルド内でNFTプロジェクトが出来上がってそれを販売したり、ギルド内で盛り上がって楽しんでいることもあります。

ー各ギルドのロゴを見ていると、ダークな世界観があるなと感じるのですが、そのような世界観になったのはなぜですか?

NIKO氏
戦略的にやった部分もあります。NTPのような大きなコミュニティの中でコミュニケーションをとっていくと、なかなか認知し合えない状況もあります。そこで、チーム分けをすることで、よりホルダー間の相互コミュニケーションが円滑にできるようになるんじゃないかと考えました。カラーギャング的な感じですかね。NTPの世界観ともマッチさせた感じですね。

コミュニティの中には、ギルド以外にもクリエイターチームだったりストーリーチーム、Englishサポートのようなチームもいくつかあって、イベントの演出を考えたり、Discord内で海外ホルダーのサポートを英語で行なったりして活動しています。どのようにしたらコミュニティが盛り上がるのかと考えた際、様々なスキルを持った人たちがいるので、その人たちがどうやったらコミュニティで活躍できる場を設けたいと、また、報酬を支払う設計図ができたときに、コミュニティ内での経済圏ができるんじゃないかという思いもあり、そのようなチームを作りました。

一部はボランティアでしてくれることもありますが、クリエイティブを創る時などは、発注をして報酬をお支払いしています。

SR氏
Englishサポートチームなどは、チームが結成される前から自主的に活動を行なってくれていました。それを見ていて、「チーム化すると、よりモチベートするんじゃないか?」ということで話をしたら「ぜひ」ということでチームとなりました。チーム化をしたことで、より結束が固まったり、チーム内で切磋琢磨してくだっさっています。ずっとボランティアだと難しい部分もあるので、ゆくゆくは報酬設計などを考える必要も出てくると思っています。

NIKO氏
こういう形で、ホルダーとコミュニティを共創していくことをテーマにNTPは活動をしています。「大人たちの遊び場」のような雰囲気もありますね。みんな楽しみながら参加してくれてます。

コミュニティとの共創で実現した「山梨×NTPプロジェクト」

NIKO氏
山梨県が水素エネルギーの開発に力を入れており、「水素エネルギーの開発」をテーマに、NTPで漫画を作ることで、漫画とIPを通してPRをしていけないかということで「山梨×NTP」のコラボをすることになりました。
コンテンツの作り方が特徴的で、主人公の名前と作品のタイトルはNTPホルダーから募集して採用しました。また、漫画の最後の一コマのセリフはTwitterで募集して採用しました。コミュニティと一緒に作った作品です。

SR氏
また、漫画に登場するキャラクターは実際に2,222体のNTPキャラクターの中から選ばれていて、それぞれホルダーがキャラ設定などをしているので、「このキャラはこうは言わない」みたいな熱い盛り上がりもありました。

NIKO氏
自分の持っているキャラクターが漫画の中で活躍するというのも、ホルダーにとっては嬉しいことですよね。ストーリーもホルダーと運営で一緒に考えました。ストーリーや文章を考えることが得意なホルダーもいるので、そういうスキルを活かせる場としてNTPのIPを使ってもらいました。
山梨県側としても、ホルダーに作品作りに関わってもらうことで、ホルダーが山梨のことを調べて、知ってもらうことができるんです。例えば、主人公の名前は山梨県の土地に由来する名前にしようと調べたりしていました。

ーこのような大きいプロジェクトになると、コミュニティ内での取りまとめが難しくなることもあると思うのですが、どのようにまとめていったのですか?

NIKO氏
運営側にマネージャーがいました。実はすごく大変で、漫画を作ったことのない素人ばかりだったので、プロの漫画家さんに聞きながらやっていきました。深夜までミーティングをやることもありました。そういう部分も含めて、一つの実験として、このプロジェクトをやらせていただきました。

デジタル×フィジタル「NOLF」

NIKO氏
コミュニティ側でできた事例の1つでファッションブランド「NOLF」があります。
これは運営側発信ではなく、コミュニティ側発信でできたものです。

2ndコレクションのROARSの話をコミュニティ内でした時に、裏原宿のストリート感を落とし込みたいという想いを伝えたところ、ちょうどその世代の方がいて。もともとブランドを立ち上げたいという夢があった人たちが、2050年に流行っているブランドとしてROARSにそのファッションを纏わせて、現実世界でも実際に着れるファッションブランドを作ったらいいんじゃないかという話になりました。
今は私が動いていますが、事業計画やECサイト制作、モデルの撮影もコミュニティ内でホルダーの皆さんが行なっています。

コミュニティとの共創

NIKO氏
NTPというプロジェクトは、「コミュニティと一緒にIPを共創していく」がテーマです。
自分のスキルを活かしたい時に使えるプラットフォームのような使い方ができるんです。
正直、最初はこのようなコミュニティになるとは想像もしていなかったです。「描きたい作品をNFTにできたら楽しいだろうな」とか、「あわよくばこれでご飯が食べれたら…」という気持ちだったので、まさかここまでコミュニティと共創できるとは思っていなかったです。

NFTコミュニティは何が起こるかわかりません。コミュニティ内で色々なところで色んな話が出てくることもあります。その時に、ちゃんと受け止める姿勢が、プロジェクトの発展のために大切なことだと思います。

NTPの魅力1:熱量の高いコミュニティ

NIKO氏
イベントを開催した際には、日本だけでなく、台湾のホルダーさんも遊びに来てくれたことがあります。オリジナルの帽子を作って被ってきてくれた方もいます。デジタルコミュニティではあるんですが、フィジカルでのコミュニケーションも取るためのツールとしてもNTPを利用することができるんです。

SR氏
最初ホルダーが熱狂していたのは、あくまでもNIKOさんのクリエイティブのみだったんです。なので、Discord内も結構カオスで、雑談チャットでなかなか発言しづらかったり、ついていけないホルダーがいる状況もありました。その後、当時コミュマネだったTOMOさんから、ギルドシステムを作って、熱量を分散させて盛り上げていこう思っているというような話がありました。その時に、モデレーターをやってくれる人を探しているという話もあって、当時は「ギルドって何?」というレベルだったのですが、NIKOさんのクリエイティブプロジェクトに貢献したいという気持ちが自分の中にあったので、とりあえず手を上げてみました。そこから、「ギルドの中でロゴを作ろう」「実在する東京の場所でアジトを決めよう」などのお題が運営側から投げられてきて、それを考えていくうちに自然とリーダー格の人が誕生していったんです。

TOMO氏
僕ら運営側では、どうやったら2,222体のホルダーに楽しんでもらえるか、ホルダーが主体的に動くにはどうしたらいいのかを考えました。その中で「全員が主人公」という合言葉を作り、それをより具体化するためにチームを分けたんです。チーム分けは、キャラクターがきている「服」で分けました。そうすると、「あっちのチームに入りたいから、あの服を着ているNFTを購入しよう」というホルダーも現れたんです。自分たちが考えて、動いていいんだということを浸透させていった形ですね。

SR氏
そこから、NIKOさんのクリエイティブに熱狂していた人たちが、ギルドの活動に熱狂し始め、ギルドの中の友達と会えることに熱狂し始めていく、熱狂する対象がどんどん広がっていったんですよね。

NTPの魅力2:ユーザー参加型のコラボ企画

TOMO氏
山梨県コラボでは、サイト制作の依頼もありました。10万円での発注だったのですが、ホルダーさんが手を上げてくれて依頼をしました。制作に時間がかかっているなと思っていたところ、100万円相当のものすごいサイトが出来上がったんです。制作を担当したホルダーさんは、お金ではなく、NTPコミュニティのみんなのためにやりたかったと言ってくれて。「他人事」ではなく「自分事」で動いてくれるんです。

SR氏
山梨県の公式Twitterで、NTPコラボのインプレッションやいいね数がすごい数になったんです。山梨県の方もびっくりされたと思います。

NIKO氏
ツイートにも「実際に山梨県に行きたくなりました」というコメントがついたり、ホルダーが主体的にかかわることで、山梨県が好きになり、実際に足を運んだりということもありました。

TOMO氏
NFTを使ったマーケティングの新しい特徴ですよね。従来のデジタルマーケティングでは、なかなかここまでいかないと思います。コミュニティのメンバーが、自分たちで制作したものを世の中に展開したい、山梨をもっと深く知りたいといった想いを込めて、リツイートやコメントをする。なかなか今までのデジタルマーケティングではできない、新しい形のマーケティングですね。

NIKO氏
NFTってまだ怪しいイメージがあることも多いんですよね。そのイメージを払拭するためにも、自治体と一緒にやることには大きな意味があると思っています。今回の山梨県との事例があることで、他のNFTプロジェクトと自治体がコラボできやすくなるというところを作れたのは良かったなと思います。

NTPの魅力3:フィジタル(フィジカル×アパレル)

NIKO氏
NFTの価値ってなに?という議論があるんですが、フィジカルのアイテムと掛け合わせることで価値を感じやすくなるんじゃないかと思っています。その中でも、ファッションとの組み合わせはすごく相性が良い。

今後はTシャツにNFCチップをつけて、かざすとすぐにROARSのデジタルフィギュアを見ることができたり、出すコレクションでフィギュアが変わっていって、コレクションしたくなったりというようなアイテムも考えています。デジタルフィギュアはARで動画を撮影できたり、メタバース上でアバターとして使用できたりも良いですよね。
活用事例をつくるために、企業とのコラボもどんどんしていきたいなと思っています。

NTPの未来

NIKO氏
NTPは2050年の世界がイメージとなっています。「2050年の東京を一緒に創造しよう」というテーマでコミュニティと一緒にIPを加速させたいですね。
また、NFTをさらに浸透させるためには企業との共創も不可欠です。企業にNFTに興味をもってもらえるような施策を行い、NTP×コミュニティ×企業の3つの軸でIPを育てていきたいです。

クリエイター・NFTクリエイターを目指すみなさんへメッセージ

NIKO氏
私自身、最初からこういうプロジェクトになるとは想像していなくて、みんなと一緒にワイワイしていたらこうなったという感じです。なのであまり難しく考えずに、まずは楽しいことをやってみると、みんな着いてきてくれたりするので、まずは自分が作りたい世界観とかを表現していくことが大切だと思います。NFTはそういうことを表現できる場所です。

42LABEL参加者によるプロジェクト発表

5月より全6回にわたって開催されたワークショップに参加された9名によるプロジェクトの発表が行われました。

それぞれが個性溢れるプロジェクトを発表。NTPのお三方もとても興味津々に発表を聞いていらっしゃいました。
そして今回は9名のプロジェクトの中から、新世界DAO賞が2名選出されました!
選ばれたプロジェクトは・・・

河原 晴間さん 滞在プログラムをベースにした離島プロジェクト「東京都離島区NFT ReTalken」

マツヤマイカさん ファンコミュニティ「Matsuya Maika Club」

おめでとうございます!
どのプロジェクトも魅力的で、審査員のNIKOさん、TOMOさん、SRさんもかなり悩んでいる様子でした。

参加者の声

「様々なテーマでNFTのことを学ぶことができたので良かった」「クリエイターさんのお話を直接聞けたことで、自分のやりたいこと、やるべきことがだんだんと明確になってきた」という声を聞きました。

まとめ

全6回を通して、NFTの作り方、届け方、コミュニティ作りなどを学ぶことができました。いかにホルダーさんを巻き込んで共創していけるかという点もNFTプロジェクトでは大切ですね。

3ヶ月にわたるワークショップにご参加されたクリエイターのみなさん、本当にお疲れ様でした。そしてご参加いただきありがとうございました。
‘42LABEL’は今後もワークショップを開催予定です。お知らせはcryptex公式TwitterアカウントInstagramシンセカイテクノロジーズ公式Twitterアカウントで行いますので、ぜひフォローよろしくお願いします。


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