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NFTクリエイターサポートプログラム②NFTプロジェクトのクリエイティブパターン

5月25日に渋谷109にてクリエイターを対象に、metaとシンセカイテクノロジーズが運営する"クリエイターレーベルcryptex"共同開催のワークショップイベント「42’LABEL’」のイベントが行われました。前回から3ヶ月にわたるクリエイターをサポートするプログラムがスタートしました。

今回のゲストは日本の代表的なNFTプロジェクトである「ギャルバース」のクリエイター、大平彩華さんに来ていただきました。

今回は「ギャルバース」の成り立ちや「NFTプロジェクトのクリエイティブパターン」というテーマのもと、実際にイベントで話された内容や来場された方々の声を取材してきたのでぜひご一読ください。


「42LABEL」とは

meta×cryptexが主催する、初心者クリエイター向けにNFTを「知る」「持つ」「作る」「売る」という4つのステップに分けて全6回、年2回実施するワークショップ形式のイベント。NFTを制作する方法、コミュニティを盛り上げる方法などクリエイターが新たなスキルを学ぶことを目的としています。

metaがクリエイターの活動を後押しするための新たな拠点として2023年3月に運営を開始した渋谷109の8階にある「クリエイターコラボレーションスペース」で開催されます。

Ayaka Ohira(大平彩華)
https://instagram.com/_ayakaohira_
https://twitter.com/ayaka_oohira

映像ディレクター/アニメーター/NFTアーティスト

ノスタルジックなアニメーションを主体とした映像作品を中心に制作し、これまでm-floCHAINOABAD HOPJP THE WAVYなど多くのメジャーアーティストやHIPHOPアーティストのMVを手掛ける。また自身がディレクター兼リードアーティストを務めるNFTプロジェクト「新星ギャルバース」が世界最大NFTプラットフォームopenseaで24時間ランキング1位を記録する。

ギャルバースの成り立ち

もともと私がNFTに触りだしたのは、2021年夏に友人の草野から誘いを受けてNFTの制作を始めたのがきっかけですね。そこで「2人で何か作りたいね」という話をしていてギャルバースが少しずつスタートしていきました。
当時、openseaを見たら猿の絵(BAYC)とドット絵(cryptpunks)が爆発的に売れてて、「なんでこれが売れるんだろう」と話し合ってて、最初はギャルバースもドット絵で描こうとしていました(笑)しばらくして草野の息子(zombie zoo keeper)が自由研究でNFTを制作していろんな人に買ってもらったことでだんだん売り方などをインプットしていきました。
そんなときに後のfounderのDevin氏から「ぜひ一緒に作りたい!」という声をいただいてDevin氏がプロジェクトの運営メンバーにジョインしました。彼がDropboxの開発デザインを担当していてテックを得意としていたこともあり、NFTでジェネラティブを作るという方向性がクリアになってプロジェクトのスピード感が増しましたね。その他にも「ギャルバースのキャラクターでアニメを作る」ということをロードマップに組み込んだり、ジェネラティブの作品数にも意味を持たせたほうがいいという助言を受けて作り込んでいきました。ギャルバース達が元々1つの惑星から分裂して8888体になってそれぞれの惑星に辿り着いたという設定を考え、そうする事によってギャルバースのNFTホルダーが、自分のギャルの物語を二次創作的に作ることが出来き、コミュニティが盛り上がると考えました。もう一人の運営メンバーであるJack氏はさまざまなNFTプロジェクトやDAOのコミュニティに精通しており、コミュニケーション面で強かったのでギャルバースのコミュニティ周りは彼にお願いしていました。そういったメンバーのおかげでどんどんコミュニティも大きくなっていきました。


ギャルバースの作品へのこだわり

制作自体は「bueno」というジェネラティブツールを使用して制作しました。
それまでのジェネラティブNFTプロジェクトではレイヤーが15個ほど、パーツの合計が200〜500個ぐらいが大半でした。ギャルバースに関してはレイヤーだけで24個、パーツの合計が2500個ほど作ってかなり多めに作っちゃいました。後ろ髪、前髪、アホ毛など髪の毛だけで6レイヤーぐらい作りました(笑)。で、制作したパーツを全て突っ込んで最初に生成してみた画像がこれですね。(下記写真)
もうゴチャゴチャになってしまったんです。本業の仕事もあったので半年ぐらいかけて制作したのでとても楽しみにしていたのにとてもガッカリしちゃいました(笑)。そこからどうすれば違和感なく満足いく仕上がりになるのかなど(特定のパーツ同士を組み合わせないなど)のルールを「bueno」に落とし込んでいくという作業をしていきました。
2回目で生成したもので他のメンバーは納得した画像が生成できたのですが、私だけ反対してボツになりました。クリエイターとして満足いくものを作成したかったので妥協はしたくなかったんです。有り難いことに他のチームメンバーも納得してくれてようやく3回目で今のギャルバースの作品が完成しました。
ギャルバースは「bueno」を使用しましたが、現在は無料で使用できるものも出てきていると思うので新しくジェネラティブ作品を作成する方は調査したほうがいいかもしれませんね。

また、レア度という点では他のプロジェクトは派手な見た目やキレイな色使いの作品など明らかに希少性があるとわかるものが価値が高いことが多かったのですが、ギャルバースの場合は「レア度が低いものでもレアっぽい」という声を購入者からいただいていて、希少価値ではなくかわいいもの、自分が気に入ったものが価値になっていった印象なのでこだわって制作してよかったと思いました。女性に限らず男性もツイッターのアイコンにしてくれたりしていてとても嬉しいですね。

チームでプロジェクトを運営するメリット

私達の場合、NFTに詳しいデビン氏やコミュニティに強いジャック氏が運営メンバーに入ってくれたことが本当にラッキーなことでした。
ジェネラティブの良さはチームを組めたりコミュニティを大きく持てることだと思います。
本当に絵が描くのが好きで作品を売りたいだけであれば1枚絵(1of1ART)で売るのもいいと思うのですが、私達の場合は「作品を購入することでアニメ制作に参加できるコミュニティチケットを持てる」という意味合いが強いので大きな目標を達成したい場合はおすすめですね。二次創作もホルダーには著作権を解放しているので、公式で優秀者には賞金が出る「ギャルバースアート祭り」というイベントを開催していて、ホルダーさんが3D作品やを作ったり、私より絵が上手な人が作品を描いてくれたりしてとても盛り上がっています。


作品を売っていく上で大事なこと

今はストーリー性や過程が大事だと思います
例えば、アイドルのオーディションなどでメジャーデビュー前の過程や選考シーンを視聴者にありのまま届けることで自然とファンがつき、応援してくれる人が増えていると思います。ギャルバースも現在している施策などをありのままコミュニティに公開してアイデアを募ったり、意見を聞いたりなどを意識しているので応援してくれる方が増えていると思います。

Q.最初に買ってくれた人はだれか

ギャルバースでは最初に買ってくれた人が存在しないですね。1of1ARTとは違い、一斉に販売を開始して数日後にリビールという販売方式だったので最初に買ってくれた人はわからないんですよね。ただ、*先行販売券(ミントリスト)は親交のあるプロジェクトや、ミントリストを獲得できるイベントを開催したりして事前にお配りしていました。

*ミントリスト=販売時間に確実に買えるという権利のこと。

Q.宣伝の工夫はどんなことをしていましたか

ギャルバースを完売させるためには作品数が膨大なので事前に拡散をしないと売り切れないと考えてしっかり準備していました。セールする前から他のプロジェクトとパートナーシップを結んだり、コラボをしたり色んな施策をしてましたね。私はものづくりは得意ですが売り込むのが苦手なので、チームを組めたことは本当によかったです。ただ、誰彼かまわずコラボするのではなく、コラボ相手にどういった信念があるかなどを判断してコラボするのが大事だと思います。

Q.自分の得意なことがNFTプロジェクトでどう発揮されていますか

私の場合、得意なことはクリエイティブです。元々ノスタルジックや作風やギャルカルチャーを取り入れた作品を作っていました。昔流行っていたものが今ブームになりやすくなっているので、そういった意味ではいいタイミングでした。NFT作品を作りたいという方は、トレンドになって売れそうなものを作るのではなく、自分が信じる作品で勝負するのがいいと思います。NFTは市場的に波があるので冬の時代がきたとしても自分が本当に好きで作ってる作品であればブレずに作り続けることができるし、投機目的だけではない本当にコアなファンが出来やすいので自分のアイデンティティを大事にしてほしいと思います

Q.大変だったこと、困ったこと、解決策

私はチームメンバーで唯一英語が話せませんでした。そこで実感したことは、英語ができる人は色んな情報や記事を読めて情報をキャッチできるので情報の流動が激しいNFTの世界ではとても重要だということです。
ただ、英語が話せなくても通訳を雇えばいいし、チャット上では翻訳ツールの「deepL」で翻訳してコミュニケーションがとれるので意外となんとかなります。

Q.どこで売れるという確信を持ちましたか

作品を描いている時に売れると思いました。描いている途中で「かわいすぎる!」と思って動悸が止まりませんでした(笑)。当時、女性が好きそうなNFT作品がなかったというものもありますし、90年代の懐かしさを持つ作品がでてきたら絶対にみんな興味を持ってくれると思いました。

Q.もし今、1からNFTプロジェクトを始めるとしたら何から始めますか

もし私が1人でNFTプロジェクトをやりたいとなった場合、とりあえずNFTを買ってみたり、他のコミュニティに入っていくと思います。自分の作品とシンパシーを持つ作品を買ってみてホルダーと交流を持ち、自分のやりたいことを声に出してやってみることが大事かと思います。NFT市場は手探りでやっている人がほとんどなのでみなさん優しいですから、Twitterでメンバー募集という旨を発信したり、積極的に声をかけるのが大事だと思います。

Q.今後の目標はありますか

何十年も愛されるキャラクターにしていきたいなと思っています。私は意外とNFTにこだわりはなく、一つの表現手段としてNFTがあったという考え方なんですよね。NFTでコミュニティを大きくしてより大規模なことがしたいですね。
コアなファンがいてくれたらNFTの市場が下がろうが何も怖くなくなります。
ギャルバースが大好きと言ってくれる方がありがたいことに増えているので自信を持てるので皆さんも本当に自信のあるものを作って欲しいです。

参加者の声

日本を代表するNFTプロジェクトのクリエイターのお話が聞けるということもあって、いつも以上に積極的な質問をされていました。「あやかさんの話がとてもためになったので自分も積極的に発言したり、NFTプロジェクトのメンバーを募っていきたい」という声もあり、大変有意義な時間になったようです。

まとめ

今からNFTプロジェクトを作っていく方は、トレンドで売れそうなものを作るのではなく、自分が本当に自信が持てる作品を作り上げていくこと、ブレずに継続するメンタル面も大事だということがよくわかりました。また、チームメンバーも積極的に声を出して募っていくことが思いもよらない出会いをもたらすことがある可能性があるので大事になりそうですね。

次回イベントについて

6/8(木)に5回目の「42LABEL」クリエイターサポートプログラム第3回目を実施いたしました!
クリエイターサポートプログラムは全6回となっておりますので、最後までお楽しみに!


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