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紀里谷和明インタビューVol.2

 「新世界」コミュニティメンバーによる紀里谷和明さんのインタビューを毎月掲載することになりました。紀里谷和明さんが普段考えていることや、生き方、創作について熱く語っていただきます。

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ーー「夕陽を観る会」を企画されて、「感じる」ことを大事にしてほしいという紀里谷さんのメッセージがありました。行ってみての感想をお願いします。
 ※「夕陽を観る会」とは、コミュニティで、去年に行なわれた行事で、夕陽を観るだけのために集合した、「感じる」ためのイベントです。

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【紀里谷】「夕陽を観る会」では、こうなるのだろうなと思った通りになりましたよね。「夕陽を観る会」での後に話をしたので、そこにいた人たちは理解したと思うのだけど、結局夕陽を観に行きますってことがイベントになってしまっているわけです。その日は曇っていたから、そんなに夕陽も観えませんでした。観ているとみんな、くっちゃべっているわけです。まあそれはそうですよね。同じ会のメンバーだからね。でもそこでいつも思うのだけど、なんで君たちは喋っているのですかと。

 社会が強要するあるべき姿っていうものがあって、「沈黙」を嫌うのです。人がいるときにそのなかで「沈黙」が起きてしまうと、それはもういけないことなんだと思ってしまう。自分が嫌な気持ちになってしまう。だから、べらべらどうでもいいことを喋っている。
 喋りまくっているから「感じる」ことができないわけです。それが日常おきている。人と喋ることもそうだし、携帯電話をいじることもそうだし、スマホをいじることもそうだし、ゲームをやることもそうだし、つまりマインドが常に常に動いているわけです。それが動いているということは「感じる」ことができないのです。

 途中で私語はやめて、しゃべらないでと伝えましたが、そこから彼らはどう思ったか、「感じた」かは知りません。でもそれは夕陽だけじゃなくてもいいわけです。その日はすごく寒かった、その寒いっていうのも「感じる」ことじゃないですか。
 感じているとは何が起きるかというと過去の記憶にアクセスが始まるんのですよね。子供のころこんな寒い日があったよねとか、それって運動会の朝だったなとか、ものすごい感情にアクセスしてくるわけです。そうすると、ものすごい「豊か」なものが発生していくわけです。自分の中から、湧き上がってくるのです。
 それって素晴らしいことなのに、それをべらべら会話したりする事で、殺しているわけですよ。多くの人たちが、それが勿体ないなと思います。夕陽でなくても星空でもできるし、いろんなことでもできるし、そういうきっかけを作ってほしいなと、それをわかってほしいなっていのが凄くありました。だからそういう企画をしました。


ーー「沈黙は美」と言いますものね


【紀里谷】自分が感じないとね。「沈黙は美」と言いますよねっていうのもそれもスローガンになってしまっている。そこも怖いところです。「美」もわかっていないのに語っているのです。僕の中では「美」「愛」は同じなんです。「愛」と同じように「美」もものすごい使われるけれども、ほとんどが誤解ですよね。美容の美は「美」ではないですし。女の子がやろうとしている頭の美は「美」じゃないですし、僕にとっては。
 それも含めて、言葉であったり、マインドであったり思考であったり非常に気を付けないと奪うよね。「感じる」ことを、すごい奪ってしまう。 



ーー東京とか都会の雑踏としたところにいると「自然の美」というのを見出すということは難しいと思います。精神的にその美にアクセスするには、都会の人たちはどうすればいいのでしょうか。


【紀里谷】それも訓練です。(夕日を観る会の後で)結局行くところがなく、15人と大勢いましたから渋谷で集まることになったんです。一番いやな状況でした。そこには「美」なんてものは全くありませんでした。
 しかし、僕は「それでも全然大丈夫だよ」ってことを言いました。なぜなら、そこを超越したビジョンというのがあると思ったからです。もちろん自然の中にいたほうが感じやすいです。でも実際問題として少し変なこと言いますが、見えているすべてのものは「粒子」からできて いて「原子」「電子」があって「粒状」のものでしかないんです。振動の仕方が違うだけで、木も机も「同じ素材」からでできているのです。
 「自然は美しい」と言うけれど、「自然」と本当に向き合っていると「自然」は美しいだけではなく、とても「厳しい」ですよね。例えば、砂漠なんかに放り出されたら何日も生きていけませんし、水の中に放り出されたらあっという間に窒息死する場合もありますよね。それに、土の上の草木は美しいけれど、土の下は養分の奪い合いです。動物なんて殺し合いをしているんです。
 「自然」にはその「厳しさ」はありますよね。その「厳しさ」を嫌う人がいますが、極めて不自然だなって逆に思ってしまいます。なぜなら「自然」はとても「厳しい」からですよ。「自然」の営みなんて殺し合いだと凄く思います。

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インタビュー・製作チーム:Ayako Okura-Walsh、鈴木優帰、遠藤加奈


紀里谷和明 公式Twitter:@kazuaki_kiriya 
コミュニティ 「新世界」 公式Twitter:@shinsekai2020

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