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紀里谷和明インタビューVol.4

「新世界」コミュニティメンバーによる紀里谷和明さんのインタビューを毎月掲載することになりました。紀里谷和明さんが普段考えていることや、生き方、創作について熱く語っていただきます。

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日本人が団結できなくなってしまったということについて

質問:「人を信じられなくなってしまった」から団結ができなくなってしまったのではないかと思うのですが、紀里谷さんはどう思われますか。
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【紀里谷】「社会を信じすぎた」のですよ。社会のいっていることを信じるということはルールに従って反してなければ何やったっていいって感じではないでしょうか。
「人を信じられなくなる」ということもスローガンになっている。「人を信じられない」という事はどういう事でしょうか?

【質問者】例えば、家にカギをかけるようになった行動に表れていると思います。鍵をかけないともしかすると家の物を盗まれる、殺される、強姦される。。。

【紀里谷】つまり損得勘定がそこに生まれていますよね。「人を信じられなくなった」ということはそもそも人に期待をしていたということではないでしょうか。つまり損得勘定がそこにあるわけです。人に期待をしていたり、リターンがなかったりということです。信じても戻してもらえない、戻ってこない、つまり、傷つけられるってことだから、信じられなくなるわけではないでしょうか。

 「人を信じられなくなった」ということはそもそも何かを得ようとしていて得られなかったから、そうなったわけではないでしょうか。「愛」の話と同じで、例えば、「恋人は愛していたんだけど、その人が愛してくれなくなった。だからその人のことは愛せない」ということと同じではないでしょうか。

「隣の人にやさしくすればいい」のではないでしょうか。

今日本のマンションに住んでいるのですが、日本のマンションは挨拶してもぜんぜんかえってこないのですよ。返事してもかえってこないから「もう返事しないよ」って思うのか、「でも私は関係なく返事はしますよ」って思うのか、そこに違いがあるのですよ。


 昔の一般論で 「お天道様がみている」というのがありました。ルールではありません。その点、キリスト教の場合は行いによって「地獄に落ちます」又は、「天国にいけます」と言う風にルールがあり、結果論がついてきます。

 日本人は「お天道様がみている」の場合は「だってみられてますから」で終わるんですよ。

そんなことをしたら、「かっこわるいし、美しくないよね」となります。「みられていますよ」と。それだと損得勘定はないじゃないですか。だから「美しい」ということがとても重要だと思います。シンプルに「だって挨拶したいんだもん!」で終わるのですよ。



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  質問:正義について、紀里谷さんのお考えをお聞かせください。

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【紀里谷】正義とは立場によって変わってきますよね。どちらも正義だと思ってやっているわけです。色々な人の考えがありますし、人それぞれの視点があります。しかし、正義から目を背け始めたのが今の日本ではないでしょうか。人それぞれの視点や考えを気にし過ぎてしましまって、正義という概念から外れていると思います。正義には間違っているという事がないですよね。世の中の人は、自分が損をした事に対してはものすごく反応し、戦います。でも、隣の人のこれは間違っていると思った事に対して戦う人は、すごく少ないと思います。


【質問者】今、漫画「鬼滅の刃」が流行っていますが正義を通す人が少なくなったのと関係はあるのでしょうか。主人公の性格は今の日本が求めているキャラクタ ーなのでしょうか。

【紀里谷】「鬼滅の刃」の中に、煉獄さんという自分が死にそうになっても他の人を助ける自己犠牲のキャラクターが出てきます。人々は煉獄さんに憧れるようです。じゃあ自分はそれをするのでしょうか。人気があるキャラクターについては、そんな人がいてくれたらいいなと思っている人が多いと思います。 これは「ドラえもん理論」なのです。ドラえもんがいてくれたらいいなあ、なのですよ。だからと言って、自分が誰かのドラえもんになろうとはしないのです。鬼滅の刃の登場人物のように、こんな人になれたらいいなと思ってはいるかもしれないですよね。けれど、そう思った人々が実際になろうとしているのかというとそうじゃないと思います。
 
 昔は、政治家とヤクザについての漫画「サンクチュアリ」がよく読まれました。その頃「『サンクチュアリ』を読んで政治家になりました!」と言う方が多くいましたが、政治が変わったでしょうか。憧れであったり、スローガンであったりを語るのはいいけれど「実際に動いていますか?」と思います。

【質問者】実際に行動している人がいて、日本は少し変わりつつあると感じたことはありませんか?

【紀里谷】全然感じません。つまり、皆さん勇気がない、意気地がないです。全ての物事に対してリスクという言葉を使いますよね。

 そもそも、リスクという言葉は最近使われだしたと思うのです。リスクって英語ですしね。リスクがあるから何もしない方がいいという人で社会は蔓延しています。そうなると何が起こるかというと、イノベーションが起こらないです。そして色々な事が停滞していきます。これは日本だけではなくアメリカでも起きています。

 しかし、その裏側では、そんなことは無視して色々行動している人もいます。それが貧富の差を広げています。例えばシリコンバレーはパワハラの嵐ですよね。競争ばっかりしていますし、日本では外資系の金融会社は物凄い戦いをしています。そして色々な物を手に入れていっていますよ。でも、一般と呼ばれている人たちはフワフワした生活をしていて、「何もできなくてもいいですよ」「先生に怒られなくてもいいですよ」「勉強もしなくてもいいですよ」としているので、貧富の差が開くのですよ。その反対に、一部の人々は徹底して勉強をしますし、仕事もしています。時々思うのは、どちらが騙されているのかなということです。

 こういった事は、専門学校の講師たちと話をしていても感じました。授業をまともに受けない生徒がいると聞いた時に、「じゃあ、その生徒を辞めさせればいいのではないですか」と話をするのですが、学校側は「それでは経営になりません」と言うのです。学校って経営の為にやってるのですね、と思いましたよ。その上、学校は「大丈夫だよ、あなたは監督になれるよ、絵描きになれるよ、ミュージシャンになれるよ」って言うのですよ。でも本当はそんなのでなれる訳がないのです。これを皆さんにお伝えしたいです。

【紀里谷】「働いたら負け」って概念が15年ほど前に流行りましたよね。そのおたく文化が広がり、今もそんな風潮がありますよね。「頑張るのはかっこ悪い」「中二病」の言葉も一緒ですよ。つまり、「ゆるくやりましょう、ゆるくやればかっこいいですよ」と皆さんは言うのです。そんな人たちの給料はたいてい低いです。誰が誰の首を絞めているのでしょうね。少なくともここにいるコミュニティの人達には「それは騙されていますよ」と言いたいです。

 コミュニティの中で、僕はおせっかいなドラえもんをやってるのです。でも僕のお腹から道具は出てこないですし、あったとしても出したくないです。でも何か欲しいものがあれば、こうやったらできるよと助言はします。それでもできない時はもう知りませんよと思います。コミュニティを必要としないなら辞めていってもいいです。「私にはもう必要ありません」と言って辞めていった人もいます。以前は「どうして退会するのかな」とは思っていました。でも、今はそれでいいと思っています。欲しいものがあるのなら、じゃあ手にいれればいいでしょ、と思います。でも、どうしてやらないのでしょうか。

 それをする為に、まずは体を動かす事を勧めたいです。

【紀里谷】そうしていかないと、世の中とんでもない事になっていく……いえ、もうすでになりつつありますね。なぜなら、多くの皆さんが家畜状態だと思うからです。人々は家畜にさせられていて、エサとして色々なエンターテインメントがあって、コンテンツという名の元でエンタメが作られて人々はそれを消費していく訳ですから。あれが欲しい、これが欲しいと言いますが、それは本当にその人が欲しい物なのでしょうか。しかし、その家畜状態に気づかれてしまうと、支配している人が困りますね。幸せな家畜でしょうが、そんな人々が大量生産されています。僕の中ではそれは正義ではないと思います。

【質問者】家畜状態の人についてもうすこし説明してください。

【紀里谷】家畜という定義は自分の欲望、自分の本当の欲望に気づかない人を指すのかもしれませんね。人々には欲しい物がありますが、大抵は周りの人に与えられた欲望なのだと思います。「これいいでしょ?欲しい?」と言われて、「いいな」と思った事を鵜呑みにしてしまっていると思います。今流行っている「鬼滅の刃」なども、ヒットしているので「皆さん好きになりましょう」というように他人から用意されたエサを食べ続けるという事であって、自分は何が食べたいかを考えないまま与えられたエサを延々と食べ続けています。個人の自由ですから、それがいいというのであればそれでもいいのだとは思いますが、私は嫌です。


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インタビュー・製作チーム:Ayako Okura-Walsh、鈴木優帰、遠藤加奈


紀里谷和明 公式Twitter:@kazuaki_kiriya 
コミュニティ 「新世界」 公式Twitter:@shinsekai2020

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