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HT Academy ブランディング

5/27から始まった #HALFTIMEアカデミー 。AISTSなどスポーツマネジメントの大学院で教えているような方の話を聞いてみたく参加したのだけど、備忘録代わりにnoteに残していこうと思います。

初回はセビージャFC Vanessa Basoraさんによるブランディングの講義。

Vanessaさんがテニスのアスリートとして競技人生を送ったのち、FCバルセロナでの11年間のキャリアを経て上司のヘッドハンティングの誘いに応じた形でセビージャFCへ加入。加入した2019年当時、クラブには確固としたブランドアイデンティティやストーリーがなかったそう。

そのなかで国内とグローバルでのクラブブランド拡大のために、新たに5カ年計画でブランド戦略を構築し現在実践中。

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・ポイントは戦略国:日本、メキシコ、アメリカ、インド、中国
・デジタライゼーション
・国際的な認知獲得

それを実現した結果として、収益のリターンを見込む。

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上記のようにブランド構築のフェーズを2つに分け、①ブランドの定義と②ブランドアクティベーションを行っているが、その際に大切になったポイントは、

ブランドに独自性を持たせ確立するためにはまずは深く知ること。
「自分たちが何者であり、どんな人がどういう理由でこのブランドに惹かれているのか」このことについて2ヶ月間かけて徹底的なリサーチとクラブ内外でのインタビューを繰り返して、あらゆる角度から「どう見られているのか」の分析をしたそう。

その結果、「これがセビージャらしさだよね」「これを見たらセビージャFCを想起させる」という独自性やクラブの強みは、「野心的なクラブである」「達成したいことを必ず達成する」というスタイルにあると気づき、生まれたのは、〈Never Surrender – 私たちは諦めない – 〉というクラブのアイデンティティを定めた。

決める際に考慮しなければならなかったのは、「それがまだファンではない新しい層に刺さるように「現代的」なものでなくてはならないし、かつ現在のファンにも魅力的に感じられるものでなければならなかった」ということ。

ブランド浸透においてさらに重要なのは、クラブに関わる誰しも全員が、全方位にワンメッセージの下で一貫性を持ってストーリーを語れること。

・日本、アメリカ、メキシコ、中国、インドがグローバルで重点を置いたマーケットだが、何も知られていない国もあるし、少しは認知がある国もあり状況は様々。同じものを一様に展開するのではなく、各国の状況に合わせて代理店と協働しながらコンテンツをローカライゼーションして展開。そのため、言語が出来ればいいのではなく、しっかりとその国・ローカルを理解した上で施策を打てることが大切になってくる。

それでも、どこにいたとしてもブランドの語り口はひとつ。なぜならブランドのポジションニングを同じにしていくため。

①ブランドのポジションを確立しユニークな存在となる
②ターゲットとするオーディエンスにリーチする
③エンゲージメントを獲得することができる

こういった形でのアプローチができるとビジネスの機会は広がっていく。


■そのほかのメモ
・スタジアムにいきたいという人も増えてくるしチケットも売れる。店舗やECでのMDの可能性も広がる。すべてはブランドを起点に循環。ビジネスが回って価値が高まれば、そのビジネスやパートナリングの規模もアップセルしていくことも可能となる

・優勝できるのは毎年1チームだけ。そこを軸にブランド設計してしまうと崩れてしまう。
・ビジネスサイドからすれば、ブランドはコントロールして作っていくことができる。ブランド価値を高めてビジネス規模を上げていけばチーム投資に周りそれがチームの強化に繋がっていく。

・ファンに対して伝えているのは、「クラブは優勝を必ずしますと約束するわけではないし、分からないけれども決して最所から諦めている訳でもない」「私たちは諦めないし、努力と挑戦を続けていくから」という姿勢。


■感想
セビージャFCの歴史を調べてみると、2部リーグに降格しては1部へ這い上がることを繰り返し、2000年代から強化がうまく進み欧州の舞台へ。国王杯で5回・ヨーロッパリーグで6回の優勝を誇るのは、まさにブランドメッセージの通り。

〈Never Surrender – 私たちは諦めない -〉という信念のもと、不可能に思えることがあっても、本当に何かを望むのであれば、必ず道は開けるということを伝えたいと考えています。
セビージャFCをはじめとするこれら全ての活動は、何百万もの人々を喜びと誇りで満たし、あらゆる瞬間に自分自身を超え、不可能を可能にしてきたのです。

今シーズンもリーグ順位は4位だったものの、しっかりとCL出場権を獲得した上で、クラブのアイデンティティ・姿勢が結果にも繋がっていて良い歯車が回っているんだろうなと感じた。

・クラブのリーグ戦無失点継続記録を更新(557分間)
・クラブのシーズン最小失点記録(33)
・アウェイでも6連勝(クラブ新記録)
・リーガの38試合で「24」勝を収め、勝ち点77(いずれもクラブ史上最多)

クラブのアイデンティティと2020年のスポーツシーンにおいてリンクする出来事を動画にまとめたクリスマスキャンペーンがとても素敵でした。これひとつで何かが生まれるということはないですが、しっかりと定めたアイデンティティをストーリーとして愚直に伝え続けていくこと。この積み重ねが強いブランドを作っていくことが感じられた。

セビージャFCは、2020年を戦い続けた人たちを讃えるクリスマスキャンペーンを開催します。セビージャFCが大切にしている〈Never Surrender – 私たちは諦めない – 〉という信念のもと、不可能に思えることがあっても、本当に何かを望むのであれば、必ず道は開けるということを伝えたいと考えています。2020年、決して諦めることなく、栄光を達成した偉大なる7名のスポーツ選手をムービーで紹介。