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キンダーカウンセラーってどんな仕事?

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キンダーカウンセラーの仕事いろいろ。幼稚園、保育園、こども園の先生や保護者の方に知っておいていただきたい記事を集めました。
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記事一覧

新刊「幼稚園版スクールカウンセラー 導入・活用・実践ガイド」2022/8/20発売

〇 政府刊行物に登録されました 〇 ちょうど1年前の2021年8月、学校教育施行法が改正され、幼稚園にもスクールカウンセラーを導入することができるようになりました。 この省令改正を機に、幼稚園や保育園、認定こども園などの就学前施設がカウンセラーの導入を検討しやすいように「幼稚園版スクールカウンセラー 導入・活用・実践ガイド」を執筆させていただきました。 本書では、 幼稚園児にカウンセリング?どのような方法でどのようなことをするの?  「幼稚園のスクールカウンセラー」

乳幼期の発達支援で一番大切なこと

私は、幼稚園や保育園でキンダーカウンセラーや巡回相談員として活動することもある心理士(師)です。キンダーカウンセラーというのは、スクールカウンセラーの幼稚園版のようなもので、先生方が「気になる子」の理解のしかたや関わりかたについて助言したり、保護者からの相談にのるのが主な仕事です。 園でのその子の笑顔を増やすこと。 また、その子がよりよく成長できる方法を、発達心理学や臨床心理学の知見から提供したり、先生や保護者と一緒に考えたりします。 そんな私が、幼児さんの発達支援で何よ

キンダーカウンセラーが子どもの「感覚過敏」に気づくとき~その後の対応まで~

キンダーカウンセラーや巡回相談をしていて、乳幼児さんの感覚過敏に気づくとき。 乳児さんだと、理由がないのに(実際には、大人がわかっていないだけなのですが)泣く、体をよじるなどあらゆる表現を駆使して不快を表明していたりしている時。 幼児さんだと、機嫌が悪くなったり、わがまま(と周囲には見えるよう)な態度をとったりしている時。 に、何らかの感覚過敏があるのでは、と疑います。 具体的な行動で表してくれるとわかりやすいのですが、例えば 〇 聴覚過敏がある場合 両手で耳をふさぐ。

クラスに「聴覚過敏」の子がいることに気づいたら…

この記事は、「感覚過敏」に気づくことの難しさ ~聴覚過敏・子どもの場合~ の続編です。 さて、みなさんのクラスに聴覚過敏の子がいるとわかったら、どうすればいいでしょう? ポイントは、三つあります。 一つは、周囲の大人が正しく理解すること。二つ目は、刺激から守ってあげること。三つ目は、その子が自分で対処できるようにサポートしてゆくことです。 1.「周囲の大人が正しく理解する」 聴覚過敏に限りませんが、感覚過敏は「わがまま」であったり「我慢がたりない」といった誤った認識をさ

キンダーカウンセラーや巡回相談ってどんな仕事?

私は講演会などでお話しするとき、「この中で、キンダーカウンセラーを知っているひとー!」と尋ねて手をあげていただくことがあります。手があがるのは、参加者が100人いたら10人、いるかいないか。 続いて「スクールカウンセラーを知っている人」にも手をあげていただきますが、こちらはほぼ100%手があがります。 ・・・そうなんです。 それほど知名度が低い「キンダーカウンセラー」という仕事を、私はしています。 …悲しい… Kinder(garten)のCounselor?幼稚園児

こどもを観察するとどんなことがわかるのか?私のミスが功を奏した話

私は、キンダーカウンセラーとして幼稚園(や保育園やこども園)を訪問するとき、気をつけていることがいくつかあります。一つは服装です。子どもたちと遊びやすい、汚れてもいいような恰好で行きます。そしてアクセサリーは一切つけないようにしています。幼稚園にはいろんなタイプのお子さんがいらっしゃるので、少しでも危険がないようにとの配慮からです。 しかしある日、私はうっかりミスをしてしまいました。 髪をまとめるのに使っていたヘアクリップを、外し忘れてクラスに入ってしまったのです。 そ

苦手なことを幼稚園や保育園や家だけで何とかしようとするのが難しい理由|運動発達の視点から

noteで「発達ステップアップレッスン」を書かれている長尾まさ子先生の記事を拝見し、思わずつぶやいた以下のツイート。 私の専門は心理学なので、子どもたちの姿を発達心理学や臨床心理学の視点から見て、その子の困り感や問題(といわれる)行動を紐解き、解決に向けて取り組むのが仕事なのですが、子ども、特に乳幼児期の運動の発達は、脳の発達と深くかかわっていることを思うと、「運動発達」も自ずと観察の対象となります。 ☞ 運動発達の大切さ運動発達というのは、いわゆる「運動神経がいい、わる

「感覚過敏」に気づくことの難しさ ~聴覚過敏・子どもの場合~

先日、TLでこんなツイートを目にしました。 発達に偏りがある方が併せて持っていがちな「感覚過敏」。その対象は、五感、つまり聴覚だったり、視覚だったり、嗅覚だったり、味覚だったり、触覚だったりと様々です。 この、なっつんさんのツイートにある「ただそこにいるだけでストレスがたまる」「その刺激に耐えているだけで疲れてしまう」という言葉の重み。私も頭では理解しているつもりでしたが、本当にはわかっていないのだろうなと、ツイートやその下のスレッドを拝見して改めて思いました。 感覚過