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理学療法士から見えた政治の大切さ

日本理学療法士協会半田会長による『2020年 職域維持と雇用安定への闘い』というテーマの講演動画を拝見いたしました。
非常に感銘を受ける内容で政治における理学療法士の信念と覚悟が伝わってきました。
これは全ての鍼灸師に知って欲しい金言と感じたのと
一緒に政治×鍼灸zoom活動をしている運営の金井さん

の協力のお陰で私自身でもnoteに書くことに決めました。

まずは切っ掛けになった動画はこちらです

二時間近い内容ですがお時間ある時はぜひ観ていただくことをお勧めいたします。
ここからは金井さん協力の下、特に重要なお言葉を抜き出していき、時間の無い鍼灸師のため要点だけでも抑えていただきたいと思います。

まずは会長在位期間14年の半田会長の挨拶から始まり、2020年は大変な一年であったと語り始めます。
コロナを始めとした問題の他に、保険事業等介護予防の一体的実施というのを厚労省が打ち出したが、その実施者の中に理学療法士が無かった。


PT、ST、OT協会でまとまってリハビリの受け皿となり活動しろと厚労省は言っていたのに梯子を外す気かと、厚労大臣にまで掛け合ったが拒絶されてしまったとのこと、それに対して

会長:それで今度は政治家の方々に相談したらそれをおかしいということで
2 月にリハビリテーション問題を考える議連の総会をやってもらいました。
それで 3 月 3 日にですね厚労省から返事がありまして、議連総会受けて理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の職名を追記します。でそういう返答が 3 月 3 日にあって 3 月 3 日っていうのすごく残っているのは私結婚記念日が 3 月 3 日だったものでずーっとなんか記憶をしやすかったんですけど。
でこの間ですね数カ月間押し問答があって厚生労働大臣から拒否されたことをひっくり返すことができた。なんでそれができたかって言うとですね。
我々の仕事をちゃんと見て理解してた国会議員の人が多くいらしたこと。
私たちの説明に対してそれはそうだよ正しいよと言ってくれた国会議員が多数いたこと。
それはですね。うまくいってさきほども言いましたけども厚労大臣がダメだと言ったことをひっくり返せた。

理学療法士さん達の日ごろの政治活動の成果と言えるものと感じます。
職域を侵されたときどう対応しているか?
我々、鍼灸師の場合だったらどうなっていたか?

半田会長の言葉はまだ続きます。
どうしてこれだけの成果が出せたかに対して、

会長:バックボーンとしてですね全国の会員たちがやっぱり地域でですねやっぱり献身的に頑張ってきたというのがあったと思います。
これがなければですねこの話はひょっとしたら負け戦で終わってたかもわからないです。
そこがしっかりとやれてたあるいはですね、四国のある市の市長さんはですねうちの市では理学療法士さんたちが協力してくれて通いの場を 5 つもやってもらってるんですよ。そのような力も作用したというふうに思います。
ですから日頃からちゃんとした関係をつくってやっておくとですね我々がピンチになったときには救ってくれると。常日頃のやっぱこういう行動がですね。将来を左右するなったということも一つの大きな経験かなというふうに思っています勝利の背景はそこです。会員たちが日頃からがんばってたってことだと思います。

その答えは、理学療法士協会に所属する会員が地域で実績を積んだことによる成果だと答えています。
幹部たちの政治家との付き合いだけでなく組織的な会員による活動が重要となってくるとわかりますね。

去年8月の介護保険改定に関してもリハ職の職域を侵す内容が検討されました。

それに対して

会長:介護給付費分科会が始まってみるとそれに一人だけが看護師 6 割以上にすることに反対する人が 1 人だけいました。あとは黙っているか賛成意見述べる人。賛成意見述べる人が 3 人、反対意見述べる人は 1 人という状況です。
で、その間それがあってからですね、しばらく私もいろんな数字を見たりしましてこれはまずいってようやく思うになってですね、それで介護給付費分科会が 3 対 1 のままであったら厚労省はそれはもうそのまま多数決で行ってしまう。
ここをなんとかしなければ、はしにも棒にもかからないよねということで具体的には言いにくいのですけども、いろんな活動をしてその次の介護給付費分科会は賛成 4 団体、反対 5 団体と逆転に成功したわけです。でこれ非常に大きかったと思います。
でそれはですねなんでそれができたかっていうとやっぱり日頃からの真摯なお付き合いをしている方々がちゃんと話を聞いてくださったということが大きかったというふうに思います。
もう一つ次にやったことは何かというと、署名活動を展開しました。
署名もですね、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が署名するのはあまり意味がないんで利用者の署名を 10 万票以上集めてくれ。10 日間で。お願いしたところですね 10 万。
10 日間で 10 万だったら 1 日 1 万じゃん。1 万人一人分でいいじゃん。って簡単そうに言いましたけど大変だなと思いましたけど。関わってくれた人たちに見事にですね 10 万票以上の署名を集めていただきました。

政治的な活動以外にも他組織との付き合いや組織力を生かした戦略も功を奏しています。
ちなみに鍼灸業界では組織力が非常に低く、鍼灸業界団体が分裂しているため真似することは困難です。

会長:政治家の方々の本当に意味での信用を得ておかないといけないし、ただ単におべんちゃらで付き合ってたってダメだと思うし、彼らにやっぱり厚労族の人たちは国家ビジョンがあるんですよね。しっかりと貢献しているところそれがあってこそ彼らも協力してくれるというわけですから。彼らのパーティー券買ったからとかそういうことではダメだというふうに思います。やっぱり国が求めていることに対して貢献すべきは貢献する。そのことが基
本的に大事だろなぁと今回改めて思ったところです。

最終的に決め手となったのは政治です。
国が鍼灸に求めているものはなにか? それさえも我々末端は理解しているでしょうか?

会長:やはり政治というものが世の中の全てを握ってるんだということにつ
いてです
ね、やはりこれからもですね会員の方々の理解を深めていかなければいけないというふうに思っています。
これまぐれで今回 2 つがうまくいったわけではない。
日本理学療法士協会の会員が増えたこれが重大な要素だと思います。
十数万になってきた。これがさらに 20 倍になっていけばもっと力が出せます。さらにいろんなことでですね力がやっぱりついてきたというのは言えると思う。
そういう意味で言うと一番大きな団体というのは日看協、日本看護協会であることは間違いなくこれはずぬけてガリバー級の大きさです。その次が日本医師会。
その次は我々ですよね。会員数でいけば。ですから 3 番目の立場にあるということも事実です。


司会者の方から昔は日本理学療法士協会と日本看護協会は『蟻と戦車』と例えられたとのこと

会長:看護協会 70 万超えてますからいまだに数の上では 7 分の 1 です。
ただやっぱり看護師さんと我々仕事が違いますので、我々が担うべきところしっかりやりつつ、そしてやっぱり仕事をめぐってですね我々は我々の主張を正しくしていくということが必要だと思います。そこで正しくなければ絶対に負けますどっかで。

同じ医療業種でも鍼灸と比べて図抜けてることが分かります。
我々、鍼灸師は日本鍼灸師会の会員数が約6000名

全日本鍼灸マッサージ師会の会員数は約10000名

鍼灸師は併せて約16000名の規模ということになります。
組織力、政治力に関して他医療職とは勝負になりません。
つまり、看護師、理学療法士があはき業の良さを知り、あはき業も兼務すると本気で攻勢を仕掛けてくれば全く相手にならず職域を持っていかれるでしょう。
まさか、そんな、MC先生の考え過ぎと思っていますか?
半田会長はしっかり答えています

会長:日本の医療体制というのは法律的に縦割りでピシッを決められてるんですよね
先進諸国の法律体系見てもそこまで日本ほどにいろんな職種がこんなキチキチと決められていることがあんまりないんですよ。ですからつばぜり合いが起こりやすい環境にあることも事実だと思います。
例えば、アメリカの理学療法士の教育が 6 年間教育になってますけども、そこについては法律で縛られてないんですね。日本では身分法などできちんと書き込まれている。でまた仕事の中身もきちっと書かれているわけですよね。
厚労省としてはそれぞれの専門職を守るということが一つのうたい文句で縦割りがきちっとしているかもしれないですけれども、そういうことを考えずに日頃の仕事はできるんでしょうけども一つの職能団体としてなったら法律にもとづいたようなところとか境目でも非常に問題になってくるんですよね。ですからそこの所が一つの大きな要因かな

とは言えコロナ禍でもあるので

会長:今もうコロナとの戦争中なんですよね。新型コロナとの。
その時に医療職が 1 人ずつ縦割りでそこだけやってたらいいという状況じゃないんですよ。
一時的でもですねそこ少し緩和をして総力を挙げてコロナと戦う態勢作らないといけない。
ていうふうにも言ってるんですけど、先ほどの張本さんの質問と一緒で、
縦割りこそが今度のそのコロナの対策においても一つ大きな課題になっているというふうに思います。だから今こそですね 1 回すべての医療職と言われる人たちがコロナといっしょに戦うんだと、チームなんだっていうことをしっかり今こう心に刻めばですね将来的にはそういうことでつばぜり合いをしなくてすむような関係ができたらいいかなというふうに期待をしているところですけど。

コロナ禍では一時休戦して手を取り合いたいとの考えです。
つまり、医療職域による攻防は毎日起こっているという意味でもあります。
そういった業種間の協力と緊張の間で、業界団体の役割を半田会長は自分なりの答えを出してらっしゃいます。

会長:日本理学療法士協会に役割は会員の安全保障だ。
安全保障となんぜこれ普通安全保障って言葉国と国の間で使われるんですけど他国の侵略から守る。あらゆる方策を尽くして守るということが安全保障だ。
これこそがですね私は日本理学療法士協会のこれからの役割だろうという風に去年 1 年間の経験から確信めいたものがちょっと芽生えてきているところですね。
でまだそのしっかりと理論づけられてないところがあるので今一生懸命それをスライドに起こして考えている悩んでるってが楽しく悩んでるところで。
会員の方々の安全保障をやるのが。
安全保障するためには会員たちがやっぱり臨床的にも科学的にも高いレベルでないと闘いにならない。それは一つそうだ。武器がいると。武器が戦う兵士を強くする。
もう一つは外向けた時にどう戦いしますか。
データも入れますよね。鉄砲やそれ大砲で撃っちゃうんじゃなくってどういうその戦い方があるのか。それはすべて会員の安全保障に帰結するというふうに今私は思っているところです。

その考え方というのは 2019 年あるいは 2020 年私の中にはなかったです。
けど去年 1 年間コロナと戦い、先ほど説明した 2 つをやってみてですね、
組織って何のためにあるのか。会員の安全保障だというのが今 14 年を経験したところの私の決断です。

以下は、live動画での質問への回答をしていますが、そこでもたくさんの金言が散りばめられていますので、動画をご覧になることをお勧めいたします。

以上の内容いかがでしたでしょうか?
合間合間に私の考えも挿入されていますが、
私が鍼灸業界において政治や業団に対する想いは、
鍼灸師一人一人が自ら考え言葉を発していくこと。

半田会長のような力強いリーダーを待望するのでなく
個人事業主としてその点において医師と同等の立場にある我々は、
個人への責任が重要になってきます。
業団に入会しない、政治連盟の活動に無関心、それは他の医療職では考えられないことと、半田会長の言葉で分かったと思いますが、
理学療法士や看護師、医師のようになれ! と私は考えません。
鍼灸師には鍼灸師の自由がある。しかし、自由にはその自由を維持するための大きな責任が一人一人に課されている自覚を持ってほしい。

日本鍼灸師会の会長、全日本鍼灸マッサージ師会の会長、のせいで今の鍼灸業界の惨憺たる現状があるわけでないのです。
我々、一人一人の鍼灸師の自覚さえあれば今に繋がっていることを理解してそこから新しい未来があると感じます。
トライ&エラーの最初は失敗を失敗と認められる事から始まるのです。



私達は政治×鍼灸に関して情報交換と感想共有しているオープンチャットを開設しています。
業団に入るのが金銭的、心情的に難しい方などが利用してくださることも期待しております。
自由を維持する責任を共有し話し合いませんか?

政治×鍼灸 zoomの活動に関して別記事もあります。
お時間ある時に良ければ


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