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西加奈子さんの小説『サラバ!』

西加奈子さんの小説『サラバ!』



4年程前に読みました。転勤族の家庭で生まれた主人公・圷歩の半生を描く小説です。

幼少期から子供時代、学生、社会人、37歳になるまでを丁寧に描いた作品で、上中下巻あります。

読んだ当時は、それなりに面白かったのですが、そこまで印象にも残っておらず。とにかく、長い!という印象が強く残ってました。

なのですが、ここ最近急激に小説の内容を思い出すようになり、後からジワジワとすごい小説だったなと感じるようになりました。


特にラスト。

主人公圷歩が、家族のことや進路のこと、周りの人間関係のことなどで葛藤することになります。

葛藤しながらも、最後は「小説を書く」ことを志ざします。

ラストの方では、圷歩が書く小説と『サラバ!』の物語が交差する形になります。

圷歩が出会ってきた人や場所、出来事。喜びも悲しみも全てがその人を作っているのだということを強く感じられる作品です。


読んで数年経ってジワジワ印象が蘇る小説は初めてでした。


西加奈子さんの作品、他にもいくつか読みましたが、この人は本当に優しい人なんだろうなと感じます。

文体や物語から、あたたかみが伝わってきます。

西加奈子さん作品だと、他には『漁港の肉子ちゃん』がおすすめです。


やさしい物語に浸りたいとき、ぜひ読んでみてください。


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