アウト?セーフ?
自分が審判員をしているつもりで考えてみてもらえればと思います。
早速本題に入りましょう。
◆ 走者が一塁踏んでないんだけど?
あなたはこの試合の一塁審判です。
打者はボテボテの内野ゴロを打ち、一塁へ猛ダッシュしてきます。
野手はと言えば、打球がボテボテなので思い切り前進してボールを拾い懸命に一塁へ送球します。
野手からの一塁への送球が一塁に届く前に打者は一塁を駆け抜けました。
しかし、この走者は一塁ベースを跨ぐように駆け抜けたので一塁ベースに触れていませんが、駆け抜けた直後に一塁手もボールを捕り損ねていてボールは転々としています。
さぁ、一塁審判であるあなたはセーフの判定をすべきでしょうか?それともアウトの判定を出しますか?
何もしないのが正解です。
MLBのマニュアルでは一旦はセーフの判定を出すらしいですが、日本では走者が塁に触れていないのだからセーフではないという考え方です。
また、野手の方もボールを持って塁に触れていませんから走者はアウトにもなっていません。
もしかするとベンチや観客からは 「どっち?アウト?セーフ?」 と疑問の声が飛ぶかもしれませんが、その時に、 「ベース踏んでないよ!」 なんてことは絶対に口走ってはいけません、アウトでもセーフでもないのですからそのまま何もしません。
そして、野手が一塁に触球する前に走者が一塁へ戻り一塁ベースに触れたら初めてセーフです。
もし野手が、走者が一塁に戻る前にボールを持って塁に触れるか走者にタッグすれば走者にアウトを宣告します。
◆ 走者が本塁踏んでないんだけど?
今度は一塁ではなく本塁での話です。
打者が外野へヒットを打ったので二塁にいた走者が三塁を踏んで一気に本塁へ走り、外野からの返球と走者が本塁に入るタイミングが重なりクロスプレイになりました。
捕手は走者にタッグしましたが空振りとなりノータッグですが走者も走者でタッグをかわそうとしたことで本塁に触れ損ねています。
さぁ、球審はアウトをコールしますか?セーフをコールしますか?
一塁同様に何もしません。
また、通常であれば野手が走者にタッグをしようとして空振りになった場合にはセーフと同じジェスチャーで 「ノータッグ」 をコールしなければいけませんが、本塁でこれをやると 「セーフ」(つまり得点になった)という誤解を招くので決してノータッグのコールはできません。
クロスプレイの瞬間もその後もそのままプレイを流して注視し、
タッグより先に走者が本塁に触れ直せばセーフ、走者が触れ直す前に捕手が走者にタッグすればアウトを宣告します。
尚、走者は本塁に触れ損ねたことに気付かないままベンチの方へ下がる場合には、捕手は本塁ベースに触球しアピールできます。
アピールが認められれば走者アウトでこのプレイでの得点はありません。
では、捕手も何もしない、走者も触れ直さないままでプレイが続いたらどうなるのか?
走者は本塁ベースに触れてはいませんが、触れたものとみなされ得点となります。
もちろんアウトにはなっていませんのでアウトカウントにも影響はありません。
◆ 走者のスライディングでベースが飛んだ
高校野球や社会人野球では固定式ベースを使うことが殆どですので滅多にありませんが、学童野球や少年野球ではよくある光景です。
ベースが移動式(地面の上に置くだけ)なので、走者がスライディングをした勢いでベースが動いてしまうんです。
動いただけなら良いのですが、ベースが動いてしまうと走者の足はベースから離れてしまうので、その間にタッグする野手がいたります。
そのような場合、あなたが審判なら走者にアウトを宣告しますか?
それともセーフを宣告するでしょうか?
正しい処置としては、走者による走塁の勢いでベースが動いてしまったりスライディングの勢いで元の位置にベースがないような場合には、
元々のベースの位置に走者の体(または体の一部)があるのならその走者はセーフであり、またその走者に対してプレイをしてはいけないと決められています。
ですので、走者の触塁の方がタッグよりも早かったのであればその時点でセーフであり、その後でベースが離れたからといってプレイをしてはいけないと野手に対して注意してあげましょう。
走者が意図的に離塁して元々のベースのあった位置から離れたことが明らかである以外はタッグプレイは無効です。
またこんなケースもあります。
走者一塁の時、打者が長打を打ち一塁走者は二塁を蹴ってさらに本塁まで進み、打者は一気に三塁へ走りますが、二塁ベースが一塁走者の走塁で元々の位置とは違う場所にありました。
なので打者走者は元々二塁ベースが置かれていた場所を踏んで(ベースを踏まずに)三塁へ達しています。
この場合、守備側から二塁を踏んでいないとのアピールがあっても、二塁を担当した審判が「走者は二塁の正しい位置を踏んでいた」と判断すれば走者はセーフです。
特に学童の場合はこのようなケースは珍しくありませんので、
動いてしまったベースを踏んでいても、元々の正しい位置を踏んでベースを踏んでいなかたっとしてもアウトにする理由はないと考えて良いと思います。
判断が難しいようであれば4審で協議して判断するのもありですね。
◆三本間のランダウンプレイで
これは難しいケースだと思います。
走者三塁のとき、三塁走者のリードが大きかったので投手が三塁へ牽制球を投げたところ三本間でのランダウンプレイとなりました。
何度か三塁方向と本塁方向への行ったり来たりが繰り返されたあと、
意を決した走者は一気に本塁へ突入します。
また野手の側も捕手へボールを投げて本塁でのクロスプレイとなりました。
ところが、捕手がちょうど本塁ベースの直前走路上でブロックする形となっていたため走者は捕手を大きく迂回して本塁に手で触れようとスライディング、捕手は捕手で迂回する走者にタッグをしようとミットを伸ばします。
結果、捕手によるタッグは空振り、走者もギリギリ本塁ベースには手が届かなかった、
この瞬間、あなたが球審ならどのような判定を下すでしょうか?
・先述の事例のように塁に触れていないのでセーフはコールしないし
ノータッグもコールしない
・ラインアウトで走者にアウトを宣告する
・捕手に対してオブストラクション(走塁妨害)を適用し得点を認める
・4審で正しい判定を協議して判断する
どの方法も正しいと言えますし、どの方法も間違いかもしれません。
ただひとつ、注意すべき点があります。
捕手が走路上でブロックをする形となったのであればコリジョンルールを適用して走塁妨害、走者に対してスコアを認めるのはもちろんありです。
但し、このケースで走者は本塁に触れ損ねています。
従って守備側からアピールがあれば走者はアウトとなり無得点です。
ですので、オブストラクションを宣告した際に走者に「ユー、スコア」 をコールするのは構いませんが、もしも走者が「本塁には触れているのだから再度触れる必要はない」 と誤認識していた場合にはそのままベンチに下がるかもしれません。
ですから必ず本塁に触れているかいないかは引き続き確認しなければいけません。
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