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『リモートフィクションガール』 アベラヒデノブ監督【在宅映画制作 LINER NOTES #15】

男女の会話は二転三転、なにを信じていいのか判らない不穏な世界へ突入する・・・

数年前、モテない男の雄叫びがジャパニーズカルチャーを牽引した瞬間があった。そんな倒錯した花吹雪の中で、自己肯定感を満たしてしまい、その後、そんなことが嘘だったみたいに進化し続ける世界のOS(オペレーティングシステム)の変化に戸惑い、困惑する永遠の少年(つまりおじさん)がいる。彼の名は、アベラヒデノブだ。そんな彼の(時を経て新たに諦念の要素がブレンドされた)心象風景を、最先端のOSとも言えるビデオ通話で目撃できる在宅制作映画が、『リモートフィクションガール』だ。もうアベラの分身とも言える、この劇中の男の雄叫びは誰の心も打たないだろう。 その残酷な時間差トリックは、メタ的なセンチメンタルで作り手自身を包み込んでいる。しかし、今作でアベラヒデノブは、その地に安住することを良しとせず、物語の語り手としてのプライドを発露する。この映画は、常に観る者の予想を裏切り、物語が転がり続けているのだ。そう、物語が転がり続ける限り、サークル・オブ・ライフの営みは続き、アベラ監督のもとにいつか新たな花吹雪が舞うはずだ。

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Postscript #15 アベラヒデノブ監督

アベラ

・今回の作品の着想は?

緊急事態宣言後、引きこもり生活を重ねゆく日々、先の見えない不安と孤独に苛まれ、「寂し…」と思いました。生活の様式が変化し、失職の恐れもある中で非常に浅瀬の欲望かと思いきや、日々その想いは増していき、生存本能に訴えかけてくるほどに。きっと全国にもそういった男性は続出しているだろうと、リモートでのビジネスも進化するだろうと、理想のリモートレンタル彼女というものも今後は…あ、これだ、と思いました。

・撮影時のエピソードや裏話を教えてください。

僕たちは完全リモートで撮影しておりました。リハーサルを行い、1発本番の想いでキャストの眞嶋さんと海老沢くんにスタートをかけると、2人は実に舞台の本番さながら素晴らしいお芝居を披露してくださいました。
これは良い!決まった!なんて、興奮を抑えきれずに映像を確認すると、眞嶋さんの声は聴こえるのですが、海老沢くんは腹話術氏を失った人形のように口パクで…音声が収録できていなかったのです。
大変ショックでした。その後、1発目の新鮮さを取り戻す長い闘いが始まりました。
キャストも僕も、1度目に垣間見た桃源郷の在処を探し求める血眼の旅人のようでした。

・今回の作品を制作して実感したことは?

他監督の皆さまの作品を拝聴し、創意工夫に大変刺激を受けました。リモートという手法を選んだのは僕なのですが「画を映す」と書いて映画、やはり絵力の工夫は必要だと再確認しました。YouTubeでの公開、サムネイルの力強さ、タイトル、最初の5秒、ありとあらゆる要素をジャンボジェットの速度と強度で展開しなければ!映画を構成する全細胞を、高密度の変態性で、埋め尽くさなければ!と、言いつつ、今回の作品は、じっくり観て貰えたら絶対オモろい!て思ってるんで、観てー!

・ 在宅映画制作を通して、これからの映画制作に活かせそうなことだと思ったことは?

身の回り、半径1メートルでも世界情勢は動いていて、4畳半の部屋にもピラミッドの頂点にも「今この瞬間」が同時に存在している。僕にとってはむしろ4畳半の方が圧倒的に頂点なので、ピラミッドよりも価値がある。コペルニクス的転回の発見、というよりも、今後は馬鹿正直さを脱ぎ捨ててもっと変態的な観察力を養い、半径1メートルのサークルから宇宙規模の物語を紡いでいきたいな、と思います。

・作品をご覧になった人にメッセージをお願いします。

本日はご来場いただき誠にありがとうございます。
もしも「蛍の光」の2度目まで観ていただけたなら、本望です。感想などございましたら、TwitterのDMでもツイートでも何でもかまいません。タイムラインでも勝手に☆をつけても褒めちぎっても、ちぎらなくてもかまいません。是非とも、心の中で感じたことなどございましたら、知らせて頂けますと幸いです。観客の顔の見えない、ネット上映ですので、ぜひとも。それでは、お帰りの際、足元に十分にご注意下さいませ。ありがとうございました。

・その他、感じたこと、考えたことがあれば、教えてください。

彼女が欲しい!
欲しい、という表現に男の卑しさが現れておりますね。人類皆兄弟姉妹。そんな壮大なテーマが、テーマにすらならないほどに豊かな未来が訪れますように。

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『リモートフィクションガール』

監督・脚本 / アベラヒデノブ

キャスト

眞嶋優
海老沢七海

#SHINPA #在宅映画制作 #アベラヒデノブ

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