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『おとといの昼間』 野崎浩貴監督在宅映画制作 LINER NOTES #11】

遊戯は伝播し、話者は移ろいゆく。その眼差しは、とても優しい。

稀代の動物園フリークとして名を馳せる野崎監督。午前中:動物園、午後:映画館というルーティンの双極を自粛せざるを得ない状況下での在宅映画制作であるが、普段動物にとても会いに行っていた野崎くんの元には、動物のほうから来訪がある。ささやかな昼下がりの戯れは、しかし、したたかなフレームで切り取られていく。これも、動物の気持ち、動きを熟知した野崎くんの成せる技であろう。小さな空間に向けられる日常を捉えた眼差しには、アジアの映画人がドキュメンタリー映画で、斜陽していく鉱業地帯に向ける視点と同質のものを感じる。人知れず過ぎていく時間を、忘れないようにじっくりと。

おとといの昼間 野崎浩貴.MOV.00_03_25_01.静止画001

Postscript #11 野崎浩貴監督

野崎

・今回の作品の着想は?

2020年1月末に家の庭に尾が曲がった野良猫がやってきた。鳴き声は小さくほとんど鳴かなかったが、日に日に体は大きくなり、庭のあちこちで遊ぶようにもなった。自転車が家の前を通るものなら急いで隠れてしまうほど警戒心が強かったが、僕には危険がないと感じたのか(または利用できる奴と思ったか)甘える仕草をいつも見せてくるので、せっかくなのでカメラをまわしてみたいと思った。

・撮影時のエピソードや裏話を教えてください。

苦労はなかったが、一人でアフレコしているとき、外にいた猫と目が合った。冷静な目でこちらを見ていた。

・今回の作品を制作して実感したことは?

常に感じていたことだが改めて自分の無力さと向き合えた。

・ 在宅映画制作を通して、これからの映画制作に活かせそうなことだと思ったことは?

この質問に関して、色々考えてみましたが、就活生のエントリーシートみたいな回答しか思いつきませんでした。
いいことを書いてやろうという邪念にまみれた就活時代を思い出し、少し複雑な気持ちになりました。

・作品をご覧になった人にメッセージをお願いします。

ネコはメスです。

・その他、感じたこと、考えたことがあれば、教えてください。

在宅で作るという制約から自分が好きなものだけでなく、頼っているもの、自分自身に嫌味を言うなら自分が何に逃げるかがよくわかった。


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『おとといの昼間』

監督 / 野崎浩貴

#SHINPA #在宅映画制作 #野崎浩貴

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