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スマホにはCOCOAを!

今週に入って当院の発熱外来の患者さんが急増。発熱1日だけの元気な人がコロナということもありました。感染経路は不明です。京都府のホームページをもとに、1週間毎での新規患者数を振り返りました。7月に入り、1週間ごとに新規患者数は約2倍になっています。懸念していたように、当初20代から始まった流行が、幅広い年齢に広がってきたのが分かります。

みんな新しい生活様式で頑張ってます。今のレベルでも生活が苦しい人はたくさんいる。でもこのままでは感染増加の勢いは止められないでしょう。そして感染が広がると今より苦しくなります。今日から4連休。Go-toも始まりました。コロナは無症状でもうつりますし、世界的流行があるので、完全に撲滅することは不可能です。目標は地域単位で実行再生産数(一人の人が何人にうつすか)を1以下で維持すること。そのための生活様式を試行錯誤しながら持続可能な落とし所を探し続けることです。

  Lancetに載った、イギリスの4万人以上のデータをもとにしたシミュレーションでは、社会的距離を保つ政策と、接触者の追跡/隔離の両方が必要であることが示されました。接触者の追跡は手作業では膨大な労力が必要となり、患者が増えると追跡が不可能になります。その論文では、手作業の調査でなく、スマホアプリを使った接触者の追跡と、陽性家族全体の隔離を合わせると、感染を47%減少させることが示されました。
 感染拡大の原因となっている若い世代はスマホ世代と重なっています。最も行動範囲が広く、接触が追いにくい世代でもあります。この世代から、ハイリスク世代への拡大をいかに抑えるかが重症者を減らす鍵になります。

  PCRを無症状の人にも大量にやればいいんだ!という人もいますが、同じ論文内で人口の5%を無作為に抽出して検査をしたシミュレーションも検討されていました。残念ながら、人口の5%というとてつもない数を、しかも毎週検査してみても、感染率は2%しか減少しませんでした。莫大な労力とお金を大多数の無症状者にかけてはいけない。限りある資源をどれだけ効率的に接触者対策に回せるかの方が大事です。

外食、旅行、イベントなどに参加するためにはアプリのインストールを必須にする。それは持続可能です。検査が陰性や検査をしていない有症状者の社会的な隔離も法的な裏付けが欲しいところです。ロックダウンや緊急事態宣言のような劇薬を使わなくてもいいように、やれることをもっとしっかりやりましょう。

奇跡的に今流行しているウイルスが弱毒変異を起こしていることを祈っています。

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