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初アガサ・クリスティー、『ナイルに死す』読了

はじめまして、しのざきと申します。

ちょっとしたきっかけからSNSにて読書アカウントを開設し、勢い余ってnoteまで開設してしまいました。

アガサ・クリスティー著『ナイルに死す』を読了しましたので、書評サイトに投稿した記事の共有と、入りきらなかった感想を投稿していきたいと思います。


上記は書籍投稿サイト『本が好き』に投稿した書評になります。

なにぶん初めて書評を書くことに挑戦してるので拙いものですが……。


さて、作品全体の総評は上記サイトに投稿しておりますので、よろしければそちらを読んでいただけましたら幸いです。

少し切り込みたい登場人物がいたので、ここではそちらに触れたいと思います。


リネット・リッジウェイ。


あえてこちらの姓で呼びますが、彼女は本当にサイモンを愛していたのでしょうか?


冒頭、ジャッキーに連れられてやってきたサイモンに、リネットが一目惚れしたと取れる描写がありました。
エジプト旅行が始まってからも夫婦仲睦まじく、(実際は違かったわけですが)お互い愛し合う夫婦の様な描写がされていたように思います。


しかし私は、どうしてもリネット・リッジウェイという女性が、端的にいうなら一目惚れをするようなキャラには見えないのです。
聡明で賢く、容姿にも資産にも恵まれていた彼女なら、同じように容姿に恵まれた男性との出会いにも事欠かないでしょう。


ではなぜ、サイモンだったのか。それほどまでにサイモンの容姿が好みだったのか。はたまた運命を感じたのか。
明確に描写がない以上可能性はどれもあり得ますが、個人的にはそのどれでもないと考えています。

リネットは序盤から、なんでも持っている女性と揶揄されていますし、実際その様な描写もされています。


しかし彼女が死ぬまで、結局手に入れることが叶わなかったものが明確にひとつだけ存在しています。
サイモンの愛です。


彼の愛は最初から最後までジャクリーヌのものでした。
なんでも持ってるはずのリネットは、「真実の愛」だけは持っていなかった。
だから奪った。奪えば手に入ると思っていたのだと思います。
それがサイモンである必要はなかったのではないでしょうか。


むしろ、親友であったジャッキーが傾倒するほどの相手だったからこそ魅力的に映っていて、だからこそ奪ったのではと感じずにはいられないです。


本文で、リネットとサイモン、ジャッキーの関係は月と太陽に例えられていました。
しかし哀れなことに、リネットはサイモンにとっての太陽にはなれなかった。
それでもジャッキー同様、申し訳ないが心から同情する気には私はなれないなと思います。



長々と綴ってきましたが、私はアガサ・クリスティーの作品を本という形で触れるのは今回が初めてになります。

ではどんな形で触れたことがあるのかと言いますと、一つは8年ほど前にとある劇団が公演をしていた、戯曲『ねずみとり』であります。


芝居はもともと好きでしたが、ミステリーに関してはアニメやゲームの世界でしか触れてこなかった私にとって、その戯曲との出会いはあまりにも衝撃的だったことをよく覚えています。
綿密に練られた伏線が役者の熱演と共に回収されていく様を見せつけられ、気がつけば翌日も同じ劇場で同じ芝居を見ておりました。

さて、アガサ・クリスティーのいう作家の才能の一端をこの時味わったわけですが、残念なことにその熱は長くは続きませんでした。
もちろん戯曲のすばらしさは今でも鮮明に心に残っていますが、クリスティーの他の作品を読むには至らなかったわけです。

それから数年後、次はテレビでクリスティー作品と再会することとなります。


フジテレビで放送されていた『オリエント急行殺人事件』。
こちらは映画の地上波放送ではなく、三谷幸喜脚本の翻案作品の方です。


キャラクターや舞台設定こそ日本風にアレンジされていますが、事件の概要自体は基本的に原作通りです。二夜にわたっての放送で、後半は犯人側の視点として書き下ろされていました。


かなり豪華なキャスティングで、フジテレビとしても相当気合を入れていたのだと思われます。(ちなみにこの作品の影響もあって私のポアロの脳内イメージは完全に野村萬斎です)
番組のCMでアガサ・クリスティーの名前を耳にした時、ふと以前『ねずみとり』を観た時の衝撃を思い出し、よし見てみるか、と番組を予約したのです。
内容に関しては割愛しますが、結果として大変満足しました。


しかし結局のところ、前回と同じく本を読むまでは至りませんでした。
読書が嫌いなわけではなかったのですが、元々ハリー・ポッターのような児童書寄りのファンタジーを好んでいた事もあり、堅苦しさや小難しさを感じていたのも一因だったのだと思います。

そして現在。


いざクリスティーの作品を読もうと決意した要因は多々ありますが、大きなきっかけとしては「はじめての海外文学2020」になります。


2018年にも行われていた同イベントに興味本位で参加したことがあり、今年はコロナ禍の影響でオンライン開催するとのことで自宅で視聴しておりました。
その後SNS上で情報収集していたところ、推薦図書の中に『ナイルに死す』があり、さらにオンラインで読書会が行われるらしい。


まあそんな感じで、「今こそ読む時なのではないか?」と思い立ったが吉日、電子書籍サイトに登録して電子版を購入し、「せっかく読むのであれば書評を書こう」と数年前に登録したきりの書評サイトにアクセスし直し、使っていなかったTwitterアカウントを整えて今に至ります。

ズボラ人間の私にしては驚きの行動力ですが、始めてしまえばとかくこんなもののような気もしています。
ちなみに書評に関しては、自分の考えをアウトプットするのに苦手意識を感じていた自分への挑戦的な意味合いもあります。

そんな経緯もあって、読書(メイン)用アカウントを立ち上げました。
まだまだ書評には慣れませんし、至らない、幼稚な文章しか書けませんが、ほんのわずかでも誰かの目に触れれば、そして交流の輪が広がればいいなと思っています。
とにもかくにも、三度目の正直としてアガサ・クリスティーの世界に足を突っ込んだ以上、彼女の作品を中心に読書の時間を増やしていけるよう、のんびり頑張ります。

#読書の秋2020 #ナイルに死す

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