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「スゥルタイ氷雪世界樹」の考察|「カルドハイム」スタンダードの注目デッキ1


スゥルタイ氷雪って?

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スゥルタイ(青黒緑)氷雪は「冬の神、ヨーン」を主軸に置いたデッキ。スタンダード、ヒストリックで禁止された過去を持つ「荒野の再生」のような能力を持っているのが最大の特徴。攻撃誘発と発動が遅い、除去されやすい、複数並べられないというデメリットがあるが、クロックになる点、裏面を使えるというメリットも有り、一概に弱くなった「荒野の再生」とも言い難いカードだ。

「荒野の再生」デッキを振り返る

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さて、「ヨーン」について考える前に、過去の「荒野の再生」デッキから着想を得よう。現役時代はどのような使い方をされていたのかについて軽く振れてみる。

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まず1つに、エンドフェイズに土地が起きる事で、行動しても瞬速やインスタントカードを隙無く構えられるというもの。各種除去や打ち消しのほか、「サメ台風」「厚かましい借り手」などのインスタントで使えるクロックを生み出すカードを活用していた。

特にサメ台風は、起動型能力にXマナを含み、荒野の再生によって供給される大量のマナを活用できる点が非常に強力な組み合わせとなっている。

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そして、2つ目が、「荒野の再生」で土地がアンタップするエンドフェイズにマナを大量に出し、「発展//発破」の「発破」を使い超大ダメージを与えるというもの。

先の「サメ台風」も同じだが、要は「インスタントタイミングで撃てる」「大量のマナを必要とする行為」でゲームを終わらせられるのが、「荒野の再生」の強みだという事が分かる。

「自然の怒りのタイタン、ウーロ」単体の強さも「荒野の再生」デッキを後押ししていたが、現在のスタンダードでは禁止されているため、ここでは振れないでおこう。

「ヨーン」によるマナの使い道は?

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それでは、「冬の神、ヨーン」に話を戻すとしよう。

「ヨーン」は攻撃誘発という点や氷雪の縛りがある点で「荒野の再生」よりもマナが出る量は多くなさそうだが、展開しつつ5~6マナくらいを構える場面や、戦闘フェイズ中に10~12マナ程度を出せる展開は多いにあるだろう。

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まず、「荒野の再生」デッキと同じく「サメ台風」や「厚かましい借り手」は構えるカードとして申し分無い仕事をしてくれるだろう。「サメ台風」のサイクリングは相手の攻撃やエンドフェイズにX=4~5程度で使っても、こちらの戦闘フェイズにX=8~10程度で使うのも悪くない。

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その他、「神秘の論争」や「否認」といった打ち消し呪文は当然採用したい所。「アショクの消去」や「崇高な天啓」といった重い分強力な打ち消し呪文も採用圏内ではあるだろう。

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 特に「アショクの消去」は「星界の大蛇、コーマ」や「秘密を知るもの、トスキ」といった「打ち消されない」+「破壊不能」カードに対して有効なので、これらが流行った場合に採用したいところ。

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また、カードアドバンテージを得るためのドロー呪文も数枚採用したい所。カルドハイムで出たドロースペル2種が優秀なので、適量採用しておくと活躍しそうだ。ヨーンによるアンタップが入る都合、コストを分割できる「予顕」ギミックは使いやすいだろう。

世界樹に注目

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そして、現時点で最も注目しているのが「世界樹」とのコンボ。各色2マナずつの計10マナとタップ、自身生贄で、デッキから全ての「神」カードを一見ロマンカードのような10マナ要求の起動効果だが、「世界樹」自身にカラーサポートがあるため、発動するのは難しすぎるということは無さそうだ。

今回のデッキでは「氷雪土地が5つ」と「世界樹」で土地が6つある状態でヨーンが攻撃することで、戦闘フェイズ中に5色2マナずつの計10マナを絞り出す事ができる。

また、「世界樹」は起動効果抜きでもタップインする森として使えるほか、土地6枚以上の時に色サポートになってくれるのも優秀な点。氷雪マナという縛りがある上、3色デッキなので土地事故を多少ケアしてくれるのは嬉しい所だ。

どの「神」を出すのか?

カルドハイムの両面カードの神々

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まずタイプ「神」を持つカードとして、カルドハイムで実装された青黒緑の3色を持つ上記8種が候補となる。基本的には世界樹から出したいが、できるだけ手札に来ても問題無い神を採用したい。

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「冬の神、ヨーン」はデッキの核なので当然4枚採用されるだろう。「世界樹」はヨーンが攻撃した戦闘フェイズ中に発動できるため、戦闘で討ち取られた後にデッキから即座に出す事ができるのは嬉しい所だ。

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「種族の神、コルヴォーリ」はメインカラーと合致する神で、世界樹から大量の伝説のクリーチャーが並ぶ点とも相性が良いのがポイント。起動能力でヨーンや他の神を手札に加えたり、裏面でマナ加速ができるのも便利な点。

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「祖の神、エシカ」は伝説のクリーチャー全てにマナ能力と警戒を付与できる。裏面は「世界樹」による色サポートが必要となるが、長引いた際にプレイできれば大きなアドバンテージを得られるカードだ。

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「航海の神、コシマ」はシングルシンボルの神で、単体で機能するドロー能力や、機体による展開ができるのが強み。搭乗1なため、起動能力持ちの氷雪小型クリーチャーがクロックになるのも嬉しい点。

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「星界の神、アールンド」は手札の枚数に応じてスタッツが上昇する神で、毎ターン最大2枚を手札に加えられるのが強み。引いてしまった場合、基本的には裏面で出すことになるだろう。ブリンクして表にする事でテンポ良く出せるが、採用は悩みどころな枠。

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「嘘の神、ヴァルキー」は2マナでピーピングハンデスにオマケ付きと破格のクリーチャー。素引きしても前方確認しつつ手札を落とせる上、起動能力でコピーになれば2枚目のヴァルキーを出しても自壊しない。裏面で出す機会は稀だが、単純な強カードなので、問題無く採用できるカードだろう。

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「死の神、イーガン」は6/6の接死持ちクリーチャー。3マナと軽いが、早いターンに出すのは厳しい。裏面で出した場合「冬の神、ヨーン」の裏面「霧氷杖カルドリング」とシナジーするのがポイント。世界樹で出せば問題無く打点として活用できるため、1枚程度は採用しても良いだろう。

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「恐怖の神、ターグリッド」はハンデスや布告除去系のカードと組み合わせる事で真価を発揮するカード。表面が世界樹から持ってきたいデザインでは無いが、裏面の「ターグリッドのランタン」がかなり強力。着地4マナで毎ターンハンデスか生贄を要求しつつ、「ヨーン」による余ったマナをつぎ込めば1ターンに複数回起動する事もできてしまう。かなり強力なカードなので、こちらも十分採用圏内だろう。

テーロスの神も検討

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世界樹でリクルートできる「神」には「テーロス還魂記」で登場した神話レア5種や、「多相」のクリーチャーも含まれる。とはいえ、特にテーロス神に関しては多色デッキでありクリーチャー化しづらいため、採用候補としては少々弱いと考えられる。

「深海住まいのタッサ」については、ブリンクする対象が悩みどころ。「星界の神、アールンド」を裏面で出した際に役に立つ能力だが、Cip能力持ちは多くないため、強力に使うことは難しそう。

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「荒涼とした心のエレボス」は、アドバンテージ源として活用できる。氷雪の小粒クリーチャーが多く、自身を生贄にする「死霊堤の司祭」があることや、これらを墓地から唱えられる「霧氷杖カルドリング」の存在から相性が悪くもないだろう。枠が空いていたら1枚採用は検討しても良さそうだ。

「鋭い目、ナイレア」についても、クリーチャーが多めに入るデッキな都合、採用しても悪く無いだろう。「コルヴォーリ」や「エシカ」といった緑ダブルシンボルのカードもあるため、他2枚と比べて顕現しやすそうなのもポイント。こちらも1枚採用を検討しても良いだろう。

多相クリーチャーもリクルート可能

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世界樹からリクルートできるクリーチャーには「多相」を持つクリーチャーも含まれる。カルドハイムには多くの多相クリーチャーがいるが、氷雪デッキで使えそうなのは主に上記の3種。

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「万物の姿、オルヴァール」については、主に非ピーピングのハンデスに対する対抗策。「恐怖の神、ターグリット//ターグリットのランタン」や、「悪ふざけの名人、ランクル」「死の飢えのタイタン、クロクサ」といった既存のカードが流行るようであれば投入がサイドボードからの投入が検討される。

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また、コピー能力を発動するための、自身のクリーチャーを対象に取るスペルも優秀なものが複数搭乗している。特に「吹雪の乱闘」は1マナで使える優秀な除去ソーサリーで、氷雪スペルであることから「霜の占い師」から手札に加えられるのもポイント。ただし、強力なパーマネントがほぼ伝説のクリーチャーなため、この能力はさほど機能しなさそうだ。

「領界渡り」については、部族デッキの緩いアドバンテージ源として活躍が期待される。ただ、このデッキは積極的に神を唱えたい訳ではないので、採用は見送られるだろう。

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最も採用されそうなのは「仮面の蛮人」だろうか。ちょっとしたコストはあるが、環境に増えそうな各種エンチャント(英雄譚)や、リクルートに刺さる「風化したルーン石」、各種神の裏面アーティファクト等を対処できるのがポイント。こちらもサイドボードへ投入すると良さそうだ。

「仮面林の結節点」型の可能性も?

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新たなアーティファクト「仮面林の結節点」を置いていれば、世界樹からリクルートできるクリーチャーの制限は無くなる。なんでも好きなクリーチャーを出せるため、コンボの可能性は格段に広くなる。

ただし、複数枚引いた時が非常に弱い点と、コンボに必要な枚数が増える点から、相当強力なデッキ構成にしないと活躍させるのは難しそう。特に、ヨーンでマナ加速をして世界樹を使った場合、攻撃フェイズが終了しているため、「タクタクの瓦礫砦」などで速攻を付与してもそのターンに倒し切る事はどちらにしてもできないという点が気になるところ。(下環境ならいくらでも終わらせる手段はあるだろうが…)

「結節点」型について考えるとキリが無いので、他の方にお任せしたい。

問題点

全除去対策が必要

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世界樹で大量の神を場に出してもそのターンに勝てる訳ではないのが最大のネックと言える。場にだした後は、しっかり打ち消し等を構える必要がある。そのため、打ち消し呪文は「否認」効果は最低限内蔵してあるものを選ぶと良いだろう。青マナが無くても守れる「英雄的介入」も採用候補となるだろうか。

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タフネスが5以上になる神が複数体含まれるため、全体除去のうちダメージやマイナス修正系では壊滅には至らなそうだ。もっとも困るのは「ドゥームスカール」や「空の粉砕」に加えて「絶滅の契機」だろう。特に「絶滅の契機」に関しては、受けられるのが打ち消し系のみなので、特に気をつけて立ち回りたいところ。

一度捲られるとデッキの神が消える

「世界樹」で多数の神をリクルートしたい都合、デッキの中の神は基本的に1枚ずつの採用となる。「世界樹」はデッキからしか出せないため、デッキに神がいないとただの土地となってしまうのが難点。「荒野の再生」デッキにおける「自然の怒りのタイタン、ウーロ」のような、継続的なクロックとなれる第2の勝ち筋の採用は必要と言えるだろう。

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考えられるとすれば「背信の王、ナーフィ」だろう。氷雪の小型クリーチャーのサイズを上げられるロードだが、氷雪3マナを払う事で、好きなタイミングで墓地から蘇生させられる能力を持つ。タップ状態なので出したターンのブロックには使えないものの、一度墓地に落としてしまえば追放されない限り継続的に打点を刻めるのはかなり優秀。こちらもデッキに1~2枚は採用しておきたい。

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他の勝ち筋として、プレインズウォーカーを使うのも良いだろう。ヨーンによって出したターンも呪文を構えられるため、他のデッキに比べて維持もしやすそうだ。現行のスタンダードプールだと上記4種が使いやすそう。多色な分強力な「悪夢の詩神、アショク」や「呪われた狩人、ガラク」を使うのが良さそうだ。

色事故を起こす可能性

土地のほとんどを氷雪土地にしたい上、3色デッキになっているため、色事故の可能性が非常に高い。マナベースについてはプレイしつつ調整していく事が必須となる。(現時点では分からない)

現時点の想定デッキリスト

世界樹型

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サイドボード用のカードについては環境次第なため、追々考えるものとする。

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あとがき

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