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【ぶらり散歩】まったく表情の違う2つの秋葉原を歩く

平日の夕方。仕事はすでにほぼ片付いた。今日はどこを散歩しよう。
もっと事前に候補を考えておけばよかった。行き先を検討する時間がもったいない。何はともあれ適当に電車に乗ってみよう。そうすれば何かがどこかでインスピレーションをもたらしてくれるかも知れない。

山の線に乗り、路線図をぐるっと見回してみる。と、これまでなぜかノーマークだった駅が浮かび上がった。

秋葉原

なんとなく敬遠していたような気がする。オタクっぽいイメージからか。いつもの自分としてはこの街に来る理由など一つもなかった。

だが、今日は興味が優った。インスタで日本のことを発信しているエアトラベラーとしては、秋葉原はおさえておくべき場所の一つだろう。自分が観光客になった気分で街を歩いてみよう。

降り立つのは初めてではないが、仕事以外の目的で来たことはないし、最後に来たのは6年くらい前のことだ。改めて「手ぶらで」眺めまわしてみようじゃないか。

街を歩きながら見渡す時、街もまたボクを見つめている。溶け込むのか、浮くのか、柔らかいのか、刺々しいのか。五感では察知できないような「気」というものが街にはある。特に東京は、駅を降りるたびに異なる気を感じる。秋葉原はどうなのか。

めぼしい場所を2、3ピックアップして歩き始める。この街が誰のどんな心を引きつけるのかを見ていくとしよう。

改札を出るなりチカチカと忙しなく明滅するネオン、超大型モニター、アニメとゲーム、オタクっぽい外国人に日本人、そしてメイドが目に付く。ボクはどれとも縁がない。ただ、そこに漂う熱気、ディープさが尋常でないことは肌が感じている。非現実的な、うるさい街だ。

なんと刺激に満ちているんだろう。サブカルというものが濃縮されにされまくってムンムンしている。この街に溶け込んでいる人たちの目や歩き方は、概ね強い好みやこだわりを持っているように感じられた。

街頭でビラ配りをしているメイドに目を向けてみる。じっと見るとこちらが恥ずかしくなりそうでチラ見しかできない。チャンスが作れれば話しかけてみたい気もして、思い切ってカメラを向けてみたが、目があった途端に営業スマイルはスッと消える。まぁ、こっちが感じ悪く見えるよね。。それ以前にそもそも相手にされていない感じがして少し寂しくなった。

やっぱ無理だな、メイドカフェ。勝手に闇を感じてしまう。ちょっと入って体験してみたい気もするが、独りではちょっと勇気が足りない。

ラーメン屋もイカれていた。こんなラーメン屋、秋葉原にしか存在し得ない。ボクは「豚野郎」ではない。が、すごく人気があるようだ。

だいたいが…ジブリ以外に好きと言えるアニメはほとんどない。ONE PEACEやドラゴンボールなどジャンプ系だけかな。エヴァンゲリオンはまだマシだが、上のラーメン屋にあるようなタッチのイラストが性に合わない。加えて、ヘンテコなエロさを纏った少女の生意気な命令口調やツンデレな態度も鳥肌がたつ。。きっとボクの人間がアップデートできていないのだ。

昔はアニメといえば、手塚治虫や藤子不二雄だったし、宮崎駿が頭角を現したアルプスの少女ハイジだったり、未来少年コナンだったり、ルパン三世だったじゃないか。あの垢抜けない、けど手触り感のある素朴なタッチはどこへ消えたのか。声優もみんなAV女優のようだ。

とかなんとか心でぶつぶつ言いながら、それでも「メッカ」のまんだらけに潜入してみる。

一歩足を踏み入れるや否や、コスプレの従業員が「買取はこちらで〜す」と声を上げ、太めのフランス人軍団がエレベーター前に行列していた。単に暖房が効きすぎているだけとは思えない、むわ〜んとした妖気が充満している。

ここには載せられないフィギュアや同人誌の写真も撮ったが、好き嫌いを横に置けば、アートとしてのクオリティは目を見張るものがある。繊細なディテール、カラーリング、突拍子もないポージングやプロポーション。現実味のない造形は生っぽいエロさを超越していて、そのイマジネーションのたくましさと手先の器用さに驚嘆するのみだ。ここには他の追随を許さぬレベルまで何かを追求し続ける深い文化がある。

予想はしていたもののやや食傷気味になってしまった。

どう考えてもボクにとっては心躍る街ではなく、警戒心というか「そっちじゃない」という気持ちが拭えない。この場所の深さと熱気にたじろいでしまったチキンは、エリアを変え、もう一つの秋葉原へと歩みを進めることにした。


神田明神

なんで、こういうものがありながら、先ほどのような気違い染みた喧騒が共存しうるのか。面白い。

ここは商売繁盛の神様、神田神社通称、神田明神
名前こそ知ってはいたが、まさか秋葉原が近いとは。

大きくはないが、意外にけばけばしくゴージャスだなぁ!という印象を持った。おそらく日中は初詣に来る企業人や商売人で賑わっていただろう境内も、夜は人影まばらで静まり返っている。暗闇に赤々と照らし出される楼門や本殿、立ち並ぶ提灯は、いつものごとく千と千尋の世界に迷い込んだかのようだ。


この地を鎮守することなんと1300年!
文字通り気が遠くなるような歳月を経て、地域に大切に崇められ、今なおこれほど美しい姿でいることに感動を禁じ得ない。

やはり2次元よりもリアルな寺社仏閣…考えてみれば、ある意味どちらもヴァーチャルな世界なのだなぁ…しかし、もしもあのようなキャピキャピした神社ができたらと思うと、少々ゾッとする。

神域で清められ、ホッとしたのも束の間、再びあの喧騒を通って家路につかねばならない。そう思うと、少しぐったりとしてしまう冬の一夜であった。


今日の秋葉原散歩はいかがでしたでしょうか?
行ってみたいというよりも、偶然何かに導かれるように思いつきで訪れたカオスの世界。引き込まれたらどハマりしそうだけれど、その分アクの強さにとっつきにくさを感じてしまったひよっこです。

今回もお楽しみいただけましたらスキをお願いします。
また次回の散歩でお会いできるようフォローもお気軽に。

ではまた!

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