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直面している問題を改善するためのワークショップの進め方

こんにちは、篠原です。私は現在サイボウズという会社でデザイナーとして働いています。以前ワークショップの使いどころや良いところについて紹介する記事を書きました。

今回ご紹介するワークショップはユーザーが直面している本当の問題を明らかにして改善の糸口を見つけることに特化した内容になっています。

「ユーザーから苦情が増えたので改善したい」
そういった相談があった時、要望をそのまま受け止めて改善していませんか?そうすると本質的な問題を解決できないばかりか、最終的に使いづらい製品になってしまうということに陥りがちです。

チームメンバー全員がユーザーの本質的な問題について共通認識を持ち、解決にむけて進むための第一歩としてこのワークショップを活用していただければと思います。

※ワークショップは様々なやり方、定義があります。この記事は私個人の体験に基づく解釈であることを前提に読んでいただければと思います。

🔨準備編

ファシリテーターとしてワークショップを始める前に準備しておくことをまとめました。

1. 事前ヒアリングで問題を深掘りし、整理する

ワークショップのファシリテーターは事前にヒアリングを行い、「誰が」「どのような問題」を抱えていて、「どのような行動段階」で発生しているのかを深掘りして整理しておきましょう。できれば問題を抱えている当事者にヒアリングできるとベストです。ヒアリング後は以下のようにそれぞれ一言でまとめておきましょう。

誰が
営業

問題
顧客とのやりとりに苦痛を感じている

行動の段階
ファーストコンタクト → アポ設定 → 商談 → 商談後(フォロー)

2. 可能であれば当事者にワークショップへ参加してもらう

当事者から直接悩みを聞くことでリアルな情報から根拠を持った改善の糸口を見つけることができます。グループインタビューも兼ねることができるので一石二鳥です。

🤼‍♀️実施編

ここからはワークショップの進め方を流れに沿ってご紹介します。アイスブレイクなど前段部分については以前書いた記事をご覧ください。

1. ジャーニーマップを作り、悩みを可視化(40分)

行動フローを書き出す
準備編の事前ヒアリングで整理した「行動の段階」に沿って当事者にインタビューを行い、行動を付箋に書き出して時系列順に並べていきます。

この作業の良いところは当事者の行動を追体験できることです。そうすることで、より自分ごと化して問題を捉えることができます。

スライド1

心の声を書き出す(感情曲線をつくる)
付箋を使って行動のかたまりごとに気持ちの上がり下がりを表しましょう。

スライド2

2.改善ポイントを探る(20分)

「ここがこうなったらいい」部分に付箋を貼り、理想の状態を書きます。いくつでも書き出してOKです。最低でも1つは書き出しましょう。

スライド3

3. 「こうなったらいい」を発表する(5分 / 1チーム)

グループごとに発表者を決めて「ここがこうなったらいい」部分について発表して気づきを共有しましょう。

ワンポイントアドバイス

このワークショップでは当事者の行動から改善の糸口を見つけることを目的としているため、行動フローと感情曲線のみに絞ったジャーニーマップを制作しました。ジャーニーマップは様々な項目があるのでワークショップの目的に合わせて適宜追加してください。

ジャーニーマップの項目例
・思考
・ペインポイント
・タッチポイント
・写真
・発言引用

👋最後に

ワークショップが終わった後はジャーニーマップを壁に貼り、見返せるようにしておくと改善する問題と理由がいつでも確認できて便利です。付箋のジャーニーマップだと振り返りがしづらいなと感じた場合は以下のようにイラスト化しておくと、ぱっと見で内容を把握できるのでオススメです。

ジャーニーマップをイラスト化した図

ワークショップには様々なやり方があるので、今回紹介した方法もその中の1つとして捉えていただければと思います。

次回は、方向性を探るための調査として行うワークショップについて書く予定です。

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