新しいアイデアを創出するイメージ

新しいアイデアを創出するワークショップの進め方

こんにちは、篠原です。私は現在サイボウズという会社でデザイナーとして働いています。以前ワークショップの使いどころや良いところについて紹介する記事を書きました。

今回はサイボウズ デザイン&リサーチで行なっている「新しいアイデアを創出する」ワークショップの具体的な進め方について書こうと思います。

※ワークショップは様々なやり方、定義があります。この記事は私個人の体験に基づく解釈であることを前提に読んでいただければと思います。

🔨準備編

ワークショップを実施する前に準備しておくことをまとめました。

1. お題の解像度をあげる

「新しいアイデアを考えよう!」というお題でワークショップをしても、いったい何について、どのくらい新しいアイデアを考えればいいのか参加者はピンときません。まずはじめに、お題の解像度をあげることから始めます。そこで重要になってくるのが「軸」と「新しさの度合い」です。

「軸」とはアイデアを考える時の根底にあるテーマです。例えばこんな感じです。

・働き方
・企業理念
・モバイルアプリ

この軸は、会社の企業理念に基づき、今までの働き方を変えるようなモバイルアプリのアイデアを考えるワークショップを企画した時に設定したものです。軸を考える時はいくつかキーワードで書き出して、その中から取捨選択すると決めやすいです。軸は1つでも複数でも良いですが、経験上多くても3つぐらいに収めるのがちょうど良いかと思います。

「新しさの度合い」とは5年後、10年後、30年後といった尺度です。「新しい」と聞いて思い浮かべるイメージは人によって違います。事前にどのくらいの未来を想像して「新しい」と感じるアイデアなのか設定しておくと、最終的に出たアイデアの新しさの基準がバラバラだったり、全く新しく感じないといったことを防ぐことができます。

2. 多様性のあるグループを作る

多様なアイデアを出してもらうために、グループを作るときはなるべく同じ特徴の参加者が1つのグループに固まらないように調整しています。

この準備は社内のメンバーで行うワークショップであれば事前にできますが、社外で初対面の参加者が多いワークショップの場合は事前準備が難しいので、当日参加者の様子を見てできる範囲で調整します。

見極めるポイント
・ワークショップに慣れているか / いないか
・初対面同士が多いか / 少ないか
・話をするのが好きか / 苦手か
・場を引っ張るタイプか / サポートするタイプか
・年齢
・性別
・所属部署、会社

3. ワークショップの内容を考える

ワークショップの内容は、お題やアイデアをどこまで掘り下げるかであったり、参加者によっても変わってきますが、基本的に以下の要素は必ず入れるようにしています。

ワークショップに入れる4つの要素
・アイデアの発散
・アイデアの共有
・アイデアの掛け合わせ
・アイデアシートの制作(まとめ)

私はアイデアの発散からアイデアシートをまとめるまで1時間半〜2時間程度で完了できるワークショップを実施することが多いです。

4. 道具を揃える

私がワークショップで使っているアイテムはこちらです。

マストアイテム
・付箋(色違いで2〜3種類、手のひらサイズがベスト)
・黒サインペン
・赤サインペン
・A4用紙数枚
・イーゼルパッドまたは模造紙

あれば便利なアイテム
・ハサミ
・マスキングテープ
・コピック(ペーパープロトタイプ制作に使う)
・ドットシール(投票に使う)

イーゼルパッドは特にオススメのアイテムです。自立式なので発表の時にテーブルに置くことができますし、携帯性に優れ収納にも場所をとらないので非常に便利です。

コピックはペーパープロトタイプを作るときに便利なカラーマーカーです。有彩色1本、無彩色3本ぐらいあると便利です。有彩色は画面内で主張したい部分を目立たせる時に使い、無彩色はナビゲーションやメニューのエリアをざっくりと色分けする時に使います。

🤼‍♀️実施編

ここからはワークショップの進め方を流れに沿ってご紹介します。

1. ワークショップの目的を参加者に共有 (5分)

準備編で作ったお題を参加者に共有して、どのようなゴールに向かってこれからワークショップをするのか認識を合わせます。お題と共に画像を一緒に見せるとイメージがつきやすいので良いです。

ワークショップの目的を参加者に共有

2. アイスブレイク(5分〜10分)

参加者の緊張を解きほぐし、議論しやすい雰囲気作りのために実施します。私は、初対面の人が多い場合は自己紹介系のアイスブレイクを行い、顔見知りが多い場合はグループ名を決めるアイスブレイクを行うことが多いです。

「アイスブレイク」でグーグル検索すると、ネタをあつめた記事が色々出てくるのでその中から合いそうなものを選んでみるといいと思います。

アイスブレイク

3. アイデアの発散(5分)

自分の頭の中にあるアイデアを全て付箋に書き出します。1アイデアにつき1付箋を使いましょう。この段階では完璧なアイデアを出そうとは思わず、思いついたアイデアをどんどん付箋に書いていきます。アイデアが難しい方はキーワードでも良いです。質より量を重視してください。

アイデアの発散

4. アイデアの共有(10分)

書き出した付箋をグループのメンバーに共有します。この時、他人のアイデアを否定してはいけません。似ているアイデアの付箋を見つけたら自分の付箋を近くに貼ってグルーピングしましょう。グルーピングが終わったらアイデア全体を俯瞰して見ます。

アイデアの共有

5. アイデアの掛け合わせ(20分)

アイデア同士を掛け合わせて進化させていきます。一見合いそうにないアイデアを合体させてみると意外としっくりきたり、今までにないアイデアになることがあります。掛け合わせを繰り返し発想をひろげ新しいアイデアを考えていきましょう。

アイデアの掛け合わせ

6. アイデアシートづくり(30分)

5で考えたアイデアの中から1つを選びアイデアシートを作ります。サイボウズ デザイン&リサーチでは以下の要素をアイデアシートにまとめています。イーゼルパッドや模造紙にまとめると発表がしやすくて良いです。

アイデアシートに入れる要素
・アイデアの名前
・誰に
・何と言ってほしい
・ペーパープロトタイプやストーリーボード(ラフでOK)

アイデアシートづくり

7. 発表(5分 / 1チーム)

グループごとにアイデアを発表しましょう。代表者を1名決めて、アイデアシートをプレゼンしてもらいます。発表後は質疑応答時間をとって他のグループからコメントをしてもらうようにしましょう。

ワンポイントアドバイス

ワークショップを実施するときはバッファの時間を必ず確保しておきましょう。特に6の段階で時間が必要になる場合が多いです。だいたい10分〜20くらいのバッファを確保しておくのがおススメです。

👋最後に

ワークショップには様々なやり方があるので、今回紹介した方法もその中の1つとして捉えていただければと思います。

次回は、直面している問題を改善するためのワークショップについて書く予定です。

最後まで読んでいただきありがとうございます!Twitterもやっているので、お気軽にフォローしてください👋 https://twitter.com/shinopara_jp