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タワマンに住む人、タワマンで働く人について

私はいまタワーマンションに住んでいる。

タワマンというと見栄っ張りだとか成功者とか成金とか強烈風なイメージがあるようだが、実際はそんなことはない。
実際、墨田区の普通の質素なマンションより今の住まいの方が安かった。
もちろん高い部屋、都心エリアなどはまた違う層が住んでいるのだと思うのだけど。

よくいう階数マウントなんてものは存在しないし、ほとんどの人が「普通」なのである。

一般的なマンションと違うのは、一棟で五百から六百世帯と規模が大きいのでそこで働く人が多い。

デベロッパーの下の管理会社の社員である所長を筆頭に、ロビーカウンターにいるコンシェルジュ、管理人、警備員、清掃スタッフ、各階のゴミを下に移動させる人、常駐だけでもこれらの人々が働いている。
週一、月一で来る植栽などの業者を合わせたら相当数の人がタワーマンションで働いている。

不思議なのは、一部の住民は彼らのことを見下しているのである。

自分が雇った人ならともかく、彼らに対して上からものを言うのはおかしい、と私は思う。

彼らは住民のお手伝いさんでもなんでもないし、職場が人の住まいなだけ。
もし私が外で仕事をすることがあればその業種になるかもしれない。
そこで住民に偉そうにされたら嫌だなぁ。

その「もし」が起こったのである。

隣のタワマンの最上階にママ友Tが住んでいる。
そのタワマンには住民専用のカフェがあったのだが撤退。
空き家となったそこに、Tの夫が友人が経営している老舗弁当屋の弁当を売ろうと言い出した。
ちょうどコロナ禍で、リモートワークの人が増えたので需要もあるだろうと。

諸々契約をし、東雲という立地上、なかなか通える人がいない、誰か売り子やってくれないかなぁ?
と言われた。
私はやはり近隣のタワマンに住む専業主婦のママ友A子さんに声をかけ、やってくれることになった。
しかし、毎日はちょっと。とのことで週に一,二回私が売り子をすることになったのである。

お弁当はすごく人気であっという間に売り切れる日々が続いた。
売り子を終えて、Tと少し仕事に関係する話があったのでロビーラウンジで話をしていた。

するとよく知っている管理人が現れ、
「Tさん、◯◯さん、お弁当売ってる人がロビーを使っているってクレームきちゃったんだよ、申し訳ないけど別のところで話してもらえるかい?」と。
聞くと些細なことですぐクレームをつけてくる名物住民の方だったようだが、なるほど、今の私はここの来客でもなんでもなく働いてる人だったのだ。

確かにスタッフがロビーで寛いでいたらおかしいよな。
でも住民の客であれば使う権利はあるはず。
数年前のだけどこの件はクレーマーの方が正しいのかな。

しかし働いてる人を見下すマインドは嫌だな。

そんな彼らは今日も
「おはようございます」
「こんにちは」
「いってらっしゃいませ」
「お帰りなさいませ」
と爽やかな笑顔で挨拶してくれる。

終わり



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