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長編連載小説「クラリセージの調べ」

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「澪標」鈴木澪の妊活編です。
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#甥っ子

連載小説「クラリセージの調べ」2-2

 キッチンの小窓から、幼稚園の制服を着た皇太郎くんが玄関に駆けて行くのが見える。車をオー…

may_citrus
6か月前
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連載小説「クラリセージの調べ」2-3

 母屋の庭には、お義父さんが孫のために作った2メートル四方の砂場がある。子供用の小さなシ…

may_citrus
6か月前
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連載小説「クラリセージの調べ」2-4

「じゃあ、行ってくるわね~。お父さんには言ってあるから、何かあったら、声かけるといいわ」…

may_citrus
6か月前
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連載小説「クラリセージの調べ」2-5

 朝から蝉の鳴き声が喧しい土曜日。結翔くんは部活の指導に出かけた。夏休みも終わりに近いの…

may_citrus
6か月前
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連載小説「クラリセージの調べ」2-6

 紹介状なく特定機能病院を受診したので、保険外療養費に3000円ほど取られることを気にしつつ…

may_citrus
5か月前
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連載小説「クラリセージの調べ」3-8

 情報は目に入るものの意味を変えていく。  後は焼くだけのグラタン皿二枚にサランラップを…

may_citrus
5か月前
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連載小説「クラリセージの調べ」4-2

 アロマディフューザーから、クラリセージの香りが流れる。パソコンに取り込んだ曲から、クリスティーナ・アギレラのHurtを選び、連続再生にする。芳香は暖房の風に流され、調べを奏でるようにたゆたう。腰痛と子宮が収縮する痛みも手伝い、ソファから立ち上がる気力が湧かない。落胆しているのに、好きな香りに包まれる開放感を覚える自分が滑稽だ。  カーテンの隙間から漏れる夕陽が時間とともに弱々しくなり、宵闇が黄昏時を飲み込んでいく。自然の営みと歌声は、直線的な時間の流れを教えてくれる。私だ

連載小説「クラリセージの調べ」4-8

 料亭での食事会から、夫への気持ちは振り子のように揺れ動いている。  結婚以来、夫への…

may_citrus
3か月前
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連載小説「クラリセージの調べ」5-6

 梅雨明けの猛暑日に、臨月の絹さんが皇太郎くんを連れて母屋に帰ってきた。すずくんの予測通…

may_citrus
2か月前
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