連載小説「クラリセージの調べ」5-9
裕美のブログに書かれた「最愛くんの奥様」は時間が経っても頭に残り、ふと思い出して不愉快になる。いっそ、反論コメントを投稿してやろうかと何度思ったかわからない。自分がネットに嫌な投稿をされてみると、身に覚えのない誹謗中傷を書かれ続けるすずくんが、どれほど傷ついているかと心配になる。あのような書き込みが就職活動にどれだけ影響を及ぼすのだろうか。
北風は傷だらけの心を切り裂くように冷たい。白っぽい空を見上げると、陽は分厚い雲の隙間からうっすらと差すだけだ。洗濯物は乾きそうにな